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今回は弊社独自で行っている業界レポート「設備工事業」を取り上げたいと思います♪
業界レポートとは、リスクモンスターの心臓部であり、格付などの与信指標を生産・保守を行う「データ工場」が集計・分析しており、業界ごとの市場概要や業界動向、与信管理のポイントなどをまとめたレポートです。

こんにちは、佐々木正人です!
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(1)市場概要

① 営業種目
‣管工事業
‣電気通信、信号装置工事業
‣電気 工事業
‣機械器具設備工事業
‣その他の設備工事業

② 業界規模
総売上高30兆 3,288 億円
上場企業数 50社
非上場企業数151,005社

③ 業界サマリー

建設業は、建設業法に基づく許可を受けて建設を行う事業者を指し、工事を総合的に行う「総合工事業」、設備部分を請け負う「設備工事業」、 部分的な工事を請け負う「職別工事業」に大別される。

設備工事業は、工事内容によって、管工事業・電気工事業・電気通信、信号装置工事業・機械器具設置工事業・その他の設備工事業に分類され、 企業 数としては 、管工事業と電気工事業が全体の8割を占めている。

管工事業は一般管工事、冷暖房設備工事、給排水・衛星設備工事等、電気工事業は一般電気工事、電気配線工事が主な事業内容 である 。

(業界としての特徴)
‣業績は、民間企業の設備投資動向に影響を受けるほか、公共工事を主体に事業を行っている場合には、政府や地方自治体の政策などの影響を受けやすい。

‣バブル崩壊後の建設市場の長期停滞等により労働環境の整備が遅れており、長時間労働・休日出勤等が常態化している。

‣地場の中小サブコンは供給過多の状態にある。

‣若年層の入職率の低下によって、高齢層の割合が高くなっている。


(2)ビジネスモデル


設備工事業は、多岐にわたるため、企業数の8割を占める「電気工事業」と「管工事業」のビジネスモデルについて記載する。

(電気工事業)
送電線、配電線、照明、情報関連機器等の設置・修繕に関わる工事を行う。電気工事業者は、電力会社に関わる電気工事の下請会社、電気メーカーの系列工事会社、JR の鉄道用電気設備工事の下請会社、ゼネコン・商社の兼業会社、一般需要家につながる工事会社、及びこれらの下請会社に系統が分類される。

(管工事業)
給排水、衛星、冷暖房、空気調和等のための設備設置や、管を使用して水、油、ガス、水蒸気を配送するための設備設置を行う。管工事業の形態は、個人住宅や小規模木造建築物の管工事を行う「町場型」と、中規模以上の管工事を中心に、専業化した工事を行う「野丁場型」の大きく2つに分類される。町場型では、建設業者の下請工事を担うことが多い。

設備工事業は、発注者が建築工事と電気工事を別々に発注する「分離発注」と建築会社に工事を一括して発注する「一括発注」に区分される。官公庁は、分離発注が主流であり、電気工事業者が元請企業となる。民間工事は、一括発注の割合が高く、建築業者の下請工事を請け負う。

(3)業界動向


設備工事業の完成工事高は 2008 年リーマンショック後の景気後退により、急減したものの、 東日本大震災の復興需要 、防災減殺の国土強靭化、東京 オリンピック前の施設設備 需要 等により好調に推移し ている。

しかしながら 、新型コロナウイルス感染拡大によって 、 民間工事が減少しており、 電気工事業を中心に斯業種のコロナ関連倒産が発生している。

内容別でみた業界の特徴として、電気工事業は2009年から分離発注が増加し、 電気工事業者が元請企業となる場合が多くなっている 。一方、管工事業は、建築業者の下請企業となる場合が依然として多いことが見てとれる。

設備工事業における当面の問題は、人材の確保である。 電気工事業では、特殊技能を要する電気工事技能者の人手不足、管工事業では、配管技能工の人手不足が喫緊の課題となっている 。

また、 若年者の入職率が低いことから就業者の高齢化が進み、足下では55歳以上が35以上を占める一方、29歳以下が1 0程度と他産業に比べ高齢者の割合が高い状況 。 設備工事業の生産体制を将来にわたって維持していくためには、若年者の入職促進と定着による円滑な世代交代が不可欠であろう。

(4)財務指標分析


(安全性分析)
設備工事業は、元請企業となる割合が半数以上であることから、自己資本比率や借入依存度など安全性に関する財務指標は概ね総合工事業と同様の水準となっている。

(収益性分析)
斯業界は、売上高総利益率から売上高当期利益率まで、総合工事業に比べ、概ね高い利益水準にある。また、完成工事高に対する外注費の割合を示す完成工事高対外注比率は、総合工事業の38.8%に対し、斯業界は28.8%と10ポイント低くなっている。

総合工事業に比べ、下請けを使わずに自社で工事を完遂させる割合が高いことから、完成工事高対外注比率が低い結果につながっている。

(効率性分析)
建設業において、棚卸資産には未成工事支出金や資材等が計上される。元請けとなる総合工事業は最も工期が長く、工事代金の回収に時間を要するため、未成工事支出金が下請け企業に比べて多額となる。そのため、斯業界においては、総合工事業に比べて棚卸資産資産回転期間が短期であると思料される。


(5)与信限度額の考え方


■与信限度額の設定方法
与信限度額とは、取引において自社が許容する信用供与の最大額であり、いかなる時点でも超過してはならないものである。与信限度額は、「必要かつ安全な範囲内」で設定する必要がある。

必要な限度額は、取引実態を基に算出し、安全な限度額は、自社の財務体力や取引先の信用力(格付)を基に算出する。

●与信金額(必要な限度額)
実際の取引において、必要となる与信金額。 設備工事業者に対して発生する与信取引としては、 建設資材などの 「売買取引」が挙げらる。長期にわたる工事の場合、定期的な売買が発生するケースもあるが、基本的にはスポット取引が中心となり、 必要な与信金額は、以下のとおり算出される。

与信金額 = 取引金額 × 回収サイト

取引を行う際には、自社の取引条件が斯業界の平均水準から大きく乖離していないか、確認すべきである。買掛債務回転期間の業界標準値が「斯業界の平均的な支払サイト」を表しているため、「月間の取引金額×買掛債務回転期間の業界標準値」によって、与信金額の基準とすることができる。

設備工事業に対する平均的な与信金額 = 月間の取引金額 × 1. 2 か月

●基本許容金額(安全な限度額)
基本許容金額は、自社の財政がどの程度の貸倒れまで耐えうるかを予め計ることで、自社の体力を超える取引に対する牽制機能を働かせるものであり、自社の財務体力と取引先の信用力を考慮して算出する。一例として、自社の自己資本額に対して、取引先の信用力(格付)に応じた割合を安全な限度額とする方法がある。

基本許容金額 = 自社の自己資本額 × 信用力に応じた割合
(例 A 格 10 %、 B 格5%、 C 格3%、D格 0.5 %、 E 格 0.3 %、 F 格0%)

●売込限度額(安全な限度額)
販売先において、自社との取引シェアが高くなり過ぎると、自社が取引から撤退することが困難となる恐れがある。そのため、取引先の信用力(格付)に応じて取引シェアに上限を設けるべく、取引先が抱える買掛債務額の一定割合を売込限度額として設定する方法が考えられる。

売込限度額 = 買掛債務額 × 信用力に応じた割合
(例 A 格 30 %、 B 格 20 %、 C 格 15 %、D格 10 %、 E 格6%、 F 格0%)

仮に、取引先の売上高情報しかなく、買掛債務額が不明な場合であっても、業界標準値を用いて売上高総利益率( 26.0%)と買掛債務回転期間 1.2か月)から、以下のように買掛債務額を推定することができる。

買掛債務額 = 売上高 /12[ 月商 ] × (1 - 0. 249 )[原価率 ] × 1. 3 (か月) [買掛債務回転期間 ]
=売上高 × 0. 0 81

(例:売上高100 億円・A格の場合: 100 億円× 0.0 81 買掛債務額 × 30 信用力に応じた割合 2. 43 億円)


(6)与信管理のポイント


設備工事業の与信管理は、元請企業となるか、下請企業となるか、さらに下請企業の場合でも、受注元が建築業者か電気工事業者かによって、利益率や取引条件が異なり、注意すべきポイントが異なる。

工事代金の回収は、工事出来高での回収、もしくは工事完成後の一括回収となる。公共工事の場合は、着手金として一部の支払いを受け、残りは工事の出来高に応じて、及び工事完成後に回収するなど、工事の受注元によって取引条件が異なる。

工事資金の回収までは、下請工賃などの建て替え負担が生じるため、手元の資金に余裕があるか、資金調達余力はあるかなど、資金繰りに問題がないか把握に努める。

民間工事は、一括発注の割合が高く、ゼネコンの下請受注となる場合が多い。特に地場の中小設備工事業者は、下請企業が大半を占めており、過当競争状態にあるため、収益力が悪化し財政状態が脆弱となっている企業が目立つ。

また、公共工事は年度別予算に基づくため、発注体制の整わない4~6月には受注が少なく、夏季から年度末にかけて工事が集中する傾向にある。工事の期ずれや大型案件の受注状況によって、完成工事高が左右されることから、売上高の変動が大きくなりがちである。

なお、建設業者が公共工事の入札に参加する場合、経営事項審査の点数を上げようと粉飾操作が行われるケースがあるため、斯業種においても注意が必要である。決算操作は工事高、利益、資産の過大計上や、負債の過小計上などが主に利用されることから、与信判断の際には注視しておくべきポイントといえる。

【参考資料】
総務省「建設工事施行統計調査」
総務省「労働力調査」
建設業ハンドブック2020 (一般社団法人日本建設業連合会
財務庁「令和2年中小企業実態基本調査(令和1年度決算実績)」
業種別審査事典(一般社団法人金融財政事情研究会)
日本経済新聞社:「 2021 年版 日経業界地図」
東洋経済新聞社:「2021 年版 会社四季報業界地図」

本日の内容は以上になります。
次回もお楽しみにでは


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業界レポート 設備工事業 2022.01


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