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業界レポート 輸送用機械器具製造業

今回は弊社独自で行っている業界レポート「輸送用機械器具製造業」を取り上げたいと思います♪
業界レポートとは、リスクモンスターの心臓部であり、格付などの与信指標を生産・保守を行う「データ工場」が集計・分析しており、業界ごとの市場概要や業界動向、与信管理のポイントなどをまとめたレポートです。

こんにちは、佐々木正人です!
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(1)市場概要

① 営業種目
‣自動車・同付属品製造業  ‣鉄道車両・同部分品製造業
‣航空機・同付属品製造業  ‣船舶製造・修理業、舶用機関製造業
‣産業用運搬車両・同部分品・付属品具製造業(フォークリフト等)
‣自転車・同部分品製造業

② 業界規模
133 兆 6,028 億円
上場企業数79 社
非上場企業数12,969 社

③ 業界サマリー
輸送用機械器具製造業は、自動車、鉄道、航空機、船舶、自転車等の輸送用機械と、その付属品を製造する事業者を指す。その中でも、市場規模から中心になるのは自動車製造業である。

(業界としての特徴)
‣輸送用機械器具製造業は、日本の全製造業の中心となる業界であ る。 全製造業に対する 輸送用機械器具製造業の 商品出荷額 の 割合 は約2割 と 最も 高 く 、 そのうち約9割 は 自動車製造業 が占めている 。

‣自動車製造業の頂点に位置する 自動車完成車メーカーは、組立・加工業であり、大規模な工場と大量の部品を必要とするため、関連業界への波及効果が非常に高い。

‣自動車完成車メーカーは、 世界規模での競争に直面しており、現在は高い競争力を維持しているが、今後は新興国の開拓と、環境対応や自動運転など新技術開発が必要となる。新技術開発には多大な研究開発費が必要になるため、個社での対応が困難な場合には、資本提携や業務提携を通じて、グループ化を図り、共同開発を行うことも重要な選択肢となる 。

‣自動車部品メーカーは、大手自動車メーカーの系列企業、独立系企業、海外系企業に分かれ、系列部品メーカーが企業構成の大きなシェアを占める。系列部品メーカーは、完成車メーカーの業績に動向が左右されるため、業界内でも系列の自動車メーカーの業績によって、好不況の差が生じる。

(2)ビジネスモデル


輸送用機械器具製造業の中心は自動車製造業であり、斯業界は、自動車完成品メーカーを頂点としたピラミッド構造となっている。

自動車完成品メーカーの下に、部品メーカー(1次~3次)や素材メーカーが連なっている。部品メーカーは、システム部品やモジュール部品などの主要部品を提供する1次部品メーカー、個別部品を提供する2次部品メーカー、その下請の3次部品メーカーで構成されている。

自動車完成品メーカーは、自社に必須の主要部品を内製化し、それ以外は1次部品メーカーや2次部品メーカーと共同で企画・開発を行っており、規模や技術力において世界的なメーカーも多い。部品メーカーは、ピラミッド構造の上位に位置する1次部品メーカーの利益率が高く、下請となる3次部品メーカーは利益率が相対的に低い。

さらに、部品メーカーに原材料を供給する素材メーカーがあり、自動車に使用する原材料のうち、鉄鋼材料が70%、合成樹脂が7%、アルミニウムが5%を占めており、他にゴムやガラス、繊維など、産業の裾野が非常に広い。

(3)業界動向


日本の自動車メーカーの世界生産台数は、2000年から2019年までの19年間で、1,643万台から2,854万台と1,211万台(73.7%)増加している。内訳としては、国内生産が1,014万台から968万台と、約5%減少し、海外生産は629万台から1,885万台と、約3倍に増加している。

少子高齢化や若者のクルマ離れにより、国内市場は需要の減少傾向が見込まれるため、日本の自動車完成品メーカーの成長ドライバーは海外市場に推移している。特に、新興国を中心に需要拡大が見込まれ、新興国を中心とした海外需要をいかに取り込めるかが、今後も成長を継続できるか否かの鍵となる。

そのため、現地における新たな部品メーカーなどのサプライヤーを開拓し、現地で調達・生産・販売をワンストップで進めることにより、生産コストや物流コストを減少し、消費者に満足させるデザインや品質を適正価格で提供することによって、利益を確保していくことが重要な課題になる。

近年の新型コロナウイルスの感染拡大は、自動車業界にも甚大な影響を及ぼしており、世界中の工場が休止状態に追い込まれ、国内メーカーの生産は、2020年度第1四半期で前年同期比2~3割減少した。

しかしながら、2020年度第2四半期以降回復基調へと転じ、トヨタ自動車やスバルの中国生産は、前年実績を上回る勢いで推移しているなど、国内市場も下期で前年実績を上回る水準まで需要が回復している。


自動者業界で100 年に1度の大変革もたらすトレンドとして、CASE(ケース)が注目されている。

CASE は、Connected(コネクティッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(シェア・サービス)、Electric(電動化)の4 つの頭文字をとった造語であり、CASE に関わる他業種間の技術開発競争が加速している。その中の自動運転レベルにおいては、6段階に分けられており、2020 年時点でレベル3である条件付自動化まで実用化に至っている。

自動車に対する概念や競争相手が大きく変化する中、自動車完成車メーカーはモビリティサービスのプロバイダーに転換することによって生き残りをかける一方、グーグルやソフトバンクなど各国の大手IT系企業を含めた連携の成否が、将来の盛衰に影響を及ぼすことになろう。

(4)財務指標分析

(安全性分析)
自己資本比率や借入依存度などの安全性指標は、製造業全体と比較して優良な水準にある。海外ビジネスの拡大などの資金需要が高く、長期に渡って安定的に資金調達できるように十分な自己資本を確保しつつ、高い安全性を確保していることがわかる。

(収益性分析)
売上高総利益率は、製造業全体と比較して6.7ポイント下回っており、製造業の中では比較的低水準にある。一方、売上高営業利益率は製造業全体とほぼ同水準であり、売上高経常利益率では製造業全体を上回っていることから、販管費の管理や営業外収益において他の製造業と比べて優れていることが窺える。

総資本経常利益率においても、他の製造業より高い水準であり、設備を効率的に稼働し、収益を生み出している様子がわかる。

(効率性分析)
売掛債権回転期間、棚卸資産回転期間などの資本効率を図る指標においても、輸送用機械器具製造業は、製造業全体と比べ、短期間であり、効率面でも優れている。ジャストインタイム生産方式に代表される、必要最小限の在庫を維持することにより、資本効率を高め、収益を生み出していることがわかる。

(5)与信限度額の考え方


■与信限度額の設定方法
与信限度額とは、取引において自社が許容する信用供与の最大額であり、いかなる時点でも超過してはならないものである。与信限度額は、「必要かつ安全な範囲内」で設定する必要がある。必要な限度額は、取引実態を基に算出し、安全な限度額は、自社の財務体力や取引先の信用力(格付)を基に算出する。

●与信金額(必要な限度額)
実際の取引において、必要となる与信金額。輸送用機械器具製造業に対して発生する与信取引としては、原材料や部品等での「売買取引」が挙げられ、継続取引における必要な与信金額は、以下のとおり算出される。

与信金額 =月間の取引金額 × 回収サイト

取引を行う際には、自社の取引条件が斯業界の平均水準から大きく乖離していないか、確認すべきである。買掛債務回転期間の業界標準値が「斯業界の平均的な支払サイト」を表しているため、「月間の取引金額×買掛債務回転期間の業界標準値」によって、与信金額の基準とすることができる。

輸送用機械器具製造業 に対する平均的な与信金額 =月間の取引金額 × 1. 59 か月

●基本許容金額(安全な限度額)
基本許容金額は、自社の財政がどの程度の貸倒れまで耐えうるかを予め計ることで、自社の体力を超える取引に対する牽制機能を働かせるものであり、自社の財務体力と取引先の信用力を考慮して算出する。一例として、自社の自己資本額に対して、取引先の信用力(格付)に応じた割合を安全な限度額とする方法がある。

基本許容金額 =自社の自己資本額 × 信用力に応じた割合
(例 : A格10%、B格5%、C格3%、D格0.5%、E格0.3%、F格0%) ●売込限度額(安全な限度額)

販売先において、自社との取引シェアが高くなり過ぎると、自社が取引から撤退することが困難となる恐れがある。そのため、取引先の信用力(格付)に応じて取引シェアに上限を設けるべく、取引先が抱える買掛債務額の一定割合を売込限度額として設定する方法が考えられる。

売込限度額= 買掛債務額 × 信用力に応じた割合
(例 : A格30%、B格20%、C格15%、D格10%、E格6%、F格0%)

仮に、取引先の売上高情報しかなく、買掛債務額が不明な場合であっても、業界標準値を用いて売上高総利益率(15.2%)と買掛債務回転期間(1.59か月)から、以下のように買掛債務額を推定することができる。

買掛債務額 =売上高 / 月[商 ] × 1 -0. 152 原価率 ] × 1.59 (か月)[買掛債務回転期間 ]
=売上高 × 0. 113
(例:売上高100億円・A格の場合:100億円×0.113[買掛債務額]×30%[信用力に応じた割合]=3.39億円)

(6)与信管理のポイント


自動車完成品メーカーと自動車付属品メーカー(部品メーカー)に分けて、輸送用機械器具製造業における与信管理上のポイントを把握する。

(自動車完成品メーカー)
輸送用機械器具製造業は、世界中に事業拠点があるため、国内事業だけでなく、海外を含めた連結で、過去からの業績の推移を確認し、収益力や収益構造を確認することが必要である。

収益への影響が大きい為替変動に対して、柔軟に対応できる生産体制や生産設備を構築しているかも重要である。グローバルな生産体制を構築している場合には、為替変動への対応力が高く、収益の下振れリスクが低い。また、中核となるマザー工場において、最新の生産設備を保有している場合には、1つのラインで複数商品を生産できるため、生産効率が高まる。

商品の生産過程において、品質・コスト・納期を適切に管理し、資本効率を高め、収益性の維持・向上につなげられているかを確認する。特に、需要に見合った生産を行うことで、在庫管理が徹底できているかに注意する。

利益の中から研究開発や設備投資といった、将来の競争力を確保するための投資ができているかにも注意する。

ブランドや商品ラインナップ、デザイン、性能(環境・安全)、グループ内における提携関係や資本関係などについても確認し、将来に渡って事業を継続し、収益を確保できるかを判断する必要がある。

リコール時には初動対応が重要であり、安全性やコンプライアンスが重視される中、企業の姿勢が問われる。問題発生時のリーガル対応も含めたリスク管理が重要となる。

(自動車付属部品メーカー)
自動車完成品メーカーの系列企業であるか、独立系企業であるかを確認する。系列企業の場合には、親会社の業況や人的・資本的なつながりを把握し、親会社への売上依存度を確認する。

自動車製造業のピラミッド構造のどのポジションに位置するのかを把握する。同一部品を扱っている競合他社と比較し、その企業の差別化ポイント(技術開発力、価格競争力、小ロット対応、短納期対応など)を確認する。特に中小企業の場合には、将来の技術開発を担う人材育成に力を入れているかも把握する。

仕入先として部品メーカーを評価する際、安定供給の側面から、製造工場を複数有しているかを確認し、製造工場が一つである場合には、災害時のBCP対応として代替候補先のリストアップも必要となる。

参考資料
財務省:「平成30年度法人企業統計調査」
一般社団法人 日本自動車工業会
業種別審査事典(一般社団法人 金融財政事情研究会)
業界地図(東洋経済新報社)

本日の内容は以上になります。
次回もお楽しみにでは

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業界レポート 輸送用機械器具製造業 2021.07


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