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業界レポート 窯業・土石製品製造業

今回は弊社独自で行っている業界レポート「窯業・土石製品製造業」を取り上げたいと思います♪

業界レポートとは、リスクモンスターの心臓部であり、格付などの与信指標を生産・保守を行う「データ工場」が集計・分析しており、業界ごとの市場概要や業界動向、与信管理のポイントなどをまとめたレポートです。

こんにちは、佐々木正人です!
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(1) 市場概要

① 営業種目
‣ 板ガラス、ガラス容器、理化学用・医療用ガラス器具等
‣ セメント、生コンクリート(生コン)、コンクリート製品等
‣ 陶磁器・同関連製品、建設用粘土製品、耐火物、炭素・黒鉛製品、研磨材等

② 業界規模
総売上高 16 兆 7,641 億円 上場企業数 54 社 非上場企業数 13,140 社

③ 業界サマリー
窯業・土石製品製造業は、取扱製品ごとに以下の3つに大別される。

‣「ガラス製品製造業」(市場規模:約3兆 4,875 億円)
ガラス製品製造業は、製品別に「板ガラス製造業」、「ガラス製品製造業」、「ガラス繊維製造業」の3つに区分され、板ガラス製造業のシェアが最も大きい。

国内においては大手企業の寡占状態となっており、上位5社(AGC、日本板硝子、HOYA、日本電気硝子、セントラル硝子)で業界売上高全体の約9割を占めている。 一方、ガラスびん製造業、卓上用・厨房用ガラス器具製造業、理化学用・医療用ガラス器具製造業等は、 中小零細企業が多い。

‣「セメント製品製造業」(市場規模:約5兆 2,673 億円)
セメントは、大部分が建設用のコンクリート製品に加工され、約 70%が生コンとなる。セメント製造には、大規模なプラントが必要となるため、国内においては大手企業のみが生産を行っている。

一方、セメントを材料にしたコンクリート製品製造業は、中小企業が多く、特に建設用生コンの生産業者のほとんどが中小零細企業となっている。

‣「陶磁器製造業」(市場規模:約4兆 5,990 億円)
陶磁器の用途は、生活用品(家庭用品)と産業用品(衛生陶器、タイル等の建築用材、電気用品、特殊用品、 ファインセラミックス等)に大別される。 産業用品では、大手メーカーも供給者となっており、特に衛生陶器製造業では、TOTOとLIXILの大手2社による寡占化が進んでいる。一方、生活用品では、家内工業的な中小零細企業が多い。

(2) ビジネスモデル

【ガラス製品製造業】
中心をなす板ガラス製造業は、用途別に「板ガラス」と「液晶パネル用ガラス」(テレビ、スマートフォン用など)に分けられる。

「板ガラス」の大部分は、建設会社や自動車メーカー向けで、板ガラスメーカーと特約した卸売会社に販売され、卸売会社はさらに建設会社、自動車メーカーなどの大口需要家や小売業者に販売している。

【セメント製品製造業】
大手のセメント会社が生産したセメントは、全国に約 1,500 社ある販売会社(専門商社など)を経由して、 生コン製造会社やコンクリート製品製造会社に販売される。

製造された生コンやコンクリート製品は、大部分が建設会社に販売される。 セメントの主要原料となる石灰石が九州や中国地方に偏在しているため、セメント工場も西日本に集中している。

一方、セメント需要は関東などの都市部が中心であるため、重量物であるセメントは、タンカーなどを使用して全国のサービス・ステーション(SS)へ一次輸送され、トラックなどを使って各地へ二次輸送されている。

生コンは、品質を保つため、日本工業規格(JIS)によって製造から 90 分以内に建設現場で使用することが定められている。

そのため、販売地域の拡大は難しく、必然的に生コン製造会社は中小企業が中心となっている。また、最終製品の販売先は、大手ゼネコンなどの建設会社であり、自社よりも規模の大きいケースが多いことから、条件交渉の面で不利になりやすい。

(3) 業界動向

【ガラス製品製造業】
ガラス業界全体でみると、国内市場は減少傾向にある中、大手企業は生き残りのため、世界的な規模でのM&Aを活発化させている。

2020 年の年初に発生した新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、大口需要者である自動車業界や建設業界等では市場が急速に冷え込む中、ガラス業界においても経営環境の悪化が懸念される。

【セメント製品製造業等】
セメント需要は、バブル期の 1990 年をピークに大幅に縮小している。2000 年代には改正建築基準法の施行やリーマンショックなどから、一時は需要が大幅に落ち込んだが、近年は、東日本大震災の復興需要や東京オリンピック関連のインフラ整備によって、やや持ち直していた。

しかしながら、新型コロナウイルスの影響により、大口需要者である建設業界等では市場が急速に冷え込んでいることから、ガラス業界と同様にセメント業界でも経営悪化の懸念が広がっている。

セメントの出荷先は 70%以上が国内向けであり、大手のセメント製造会社各社は製造コストの削減や物流の合理化、合併などの業界再編によって、生き残りを図っている。一方、財務体力に乏しいコンクリート製品製造会社は、地域経済の景気動向に依存しがちであり、人手不足もあって厳しい状況が続いている。

また、陶磁器製造業では、新型コロナウイルスの影響による衛生陶器(トイレ・同部品等)の調達難から、 今後、重要部品は特定の国への依存が回避され、国内回帰や調達先の分散化が図られていくことになるだろう。

(4) 財務指標分析

(安全性分析)
窯業・土石製品製造業の中核であるガラス製品製造業、セメント製品製造業は、装置産業であるため、多額の設備投資が必要であり、製造業全体と比較して固定比率が高くなっている。

また、装置産業であることから設備投資を継続して行う必要があり、金融機関からの借入が増加しやすいため、借入依存度は製造業全体よりもやや高い水準にある。

(収益性分析)
ガラス製品製造業、セメント製品製造業の経常利益率は、製造業全体と比べやや高い水準になっている。板ガラスやセメント、生コンなどの製品は差別化が難しいものの、製造コストの削減や物流の合理化等を図ったことが一因として挙げられる。

(効率性分析)
ガラス製品製造業、セメント製品製造業の設備投資効率は低水準である。特にセメントは、大規模な生産設備を要する一方、長期の貯蔵が困難であるため、生産過剰になりやすいことが要因であると推察される。

(5) 与信限度額の考え方

■与信限度額の設定方法
与信限度額とは、取引において自社が許容する信用供与の最大額であり、いかなる時点でも超過してはならないものである。与信限度額は、「必要かつ安全な範囲内」で設定する必要がある。必要な限度額は、取引実態を基に算出し、安全な限度額は、自社の財務体力や取引先の信用力(格付)を基に算出する。

●与信金額(必要な限度額)
実際の取引において、必要となる与信金額。窯業・土石製品製造業に対して発生する与信取引としては、原材料や生産機器の販売等での「売買取引」が挙げられ、継続取引における必要な与信金額は、以下のとおり算出される。

与信金額 = 月間の取引金額 × 回収サイト

取引を行う際には、自社の取引条件が斯業界の平均水準から大きく乖離していないか、確認すべきである。 買掛債務回転期間の業界標準値が「斯業界の平均的な支払サイト」を表しているため、「月間の取引金額×買掛債務回転期間の業界標準値」によって、与信金額の基準とすることができる。

窯業・土石製品製造業に対する平均的な与信金額 = 月間の取引金額 × 1.7 か月

●基本許容金額(安全な限度額)
基本許容金額は、自社の財政がどの程度の貸倒れまで耐えうるかを予め計ることで、自社の体力を超える取引に対する牽制機能を働かせるものであり、自社の財務体力と取引先の信用力を考慮して算出する。

一例として、自社の自己資本額に対して、取引先の信用力(格付)に応じた割合を安全な限度額とする方法がある。

基本許容金額 = 自社の自己資本額 × 信用力に応じた割合
(例 : A 格 10%、B 格5%、C 格3%、D格 0.5%、E 格 0.3%、F 格0%)

●売込限度額(安全な限度額)
販売先において、自社との取引シェアが高くなり過ぎると、自社が取引から撤退することが困難となる恐れがある。そのため、取引先の信用力(格付)に応じて取引シェアに上限を設けるべく、取引先が抱える買掛債務額の一定割合を売込限度額として設定する方法が考えられる。

売込限度額 = 買掛債務額 × 信用力に応じた割合
(例 : A 格 30%、B 格 20%、C 格 15%、D格 10%、E 格6%、F 格0%)

仮に、取引先の売上高情報しかなく、買掛債務額が不明な場合であっても、業界標準値を用いて売上高総利益率(24.1%)と買掛債務回転期間(1.7 か月)から、以下のように買掛債務額を推定することができる。

買掛債務額 = 売上高/12[月商] × (1-0.241)[原価率] × 1.7(か月)[買掛債務回転期間] = 売上高 × 0.108
(例:売上高 100 億円・A格の場合:100 億円×0.108[買掛債務額]×30%[信用力に応じた割合]=3.24 億円)

(6) 与信管理のポイント

【ガラス製品製造業】
ガラス製品製造業においては、大手メーカー系列下での下請受注生産か、自社製品主体の見込生産であるかの把握が必要である。 大手メーカーの系列であれば、受注は比較的安定しており、グループとしての信用力も考慮することができ る。

一方、自社製品主体である場合には、全体の商流を把握するため、仕入先・販売先の特定と、それぞれの業績もチェックしておきたい。 また、ガラス業界は、主原料の珪砂やソーダ灰、石灰などを輸入に依存しているため、円安相場の場合には、 原料費や輸送費が利益を圧迫する要因となり得る。主原料の価格動向、為替動向にも留意が必要である。

【セメント製品製造業】
大手企業中心のセメント製造業者に比べ、生コンやコンクリート製品製造業者は、中小・零細企業が多く、 財務体力に乏しいケースがあるため、斯業種の中でも重点的に与信管理を行う必要がある。

生コン製造業は、商圏が狭く地域経済の動向に左右されやすいため、販売先の業績や特定の販売先に対する依存度を把握しておきたい。特に、販売先が大手ゼネコンなどの大規模企業である場合には、価格や取引サイト、納期などの条件面が不利になりやすいため、可能な限り取引条件等を把握するよう努めるべきであろう。

また、商品の差別化が難しい製品であることから、きちんと利益の出せる収益構造になっているのかも確認しておく必要がある。そのほか、生コンは地域によって価格差が大きく、地域内の協同組合・工業組合の影響力が強いため、取引先が組合に加入しているか、組合は組織としてきちんと機能しているかなども、是非とも確認しておくべきポイントであろう。

【参考資料】
財務省:「平成 30 年度法人企業統計調査」
総務省統計局:「平成 30 年経済センサス」
一般社団法人 セメント協会 業種別審査事典(一般社団法人 金融財政事情研究会)

本日の内容は以上になります。
次回もお楽しみにでは

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