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業界レポート 建築材料、鉱物・金属材料等卸売業

今回は弊社独自で行っている業界レポート「建築材料、鉱物・金属材料等卸売業」を取り上げたいと思います♪

業界レポートとは、リスクモンスターの心臓部であり、格付などの与信指標を生産・保守を行う「データ工場」が集計・分析しており、業界ごとの市場概要や業界動向、与信管理のポイントなどをまとめたレポートです。

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※2020年8月公開「業界レポート 建築材料、鉱物・金属材料等卸売業」

(1) 市場概要

① 営業種目
‣ 建築材料
‣ 化学製品
‣ 鉱物・金属材料
‣ 再生資源

② 業界規模
総売上高 119 兆 160 億円
上場企業数 58 社
非上場企業数 47,284 社

③ 業界サマリー
主に「建築材料」、「化学製品」、「石油・鉱物」、「鉄鋼製品」、「非鉄金属」、「再生資源」の6つに分類される。

‣「建築材料卸売業」
木材・竹材卸売業、セメント卸売業、板ガラス卸売業、建築用金属製品卸売業、その他の建築材料卸売業

‣「化学製品卸売業」
塗装卸売業、プラスチック卸売業、その他の化学製品卸売業

‣「石油・鉱物卸売業」
石油卸売業、鉱物卸売業(石油を除く)

‣「鉄鋼製品卸売業」
鉄鋼用製品卸売業、鉄鋼一次製品卸売業、その他の鉄鋼製品卸売業

‣「非鉄金属卸売業」
非鉄金属卸売業、非鉄金属地金卸売業、非鉄金属製品卸売業

‣「再生資源卸売業」
空瓶・空缶等空容器卸売業、鉄スクラップ卸売業、非鉄金属スクラップ卸売業、古紙卸売業、 その他の再生資源卸売業

(2) ビジネスモデル

建築材料、鉱物・金属材料等卸売業は、取扱製品が多岐にわたっているため、企業数および従業員数が最も 多い、建築材料卸売業を中心に述べることとする。 建築材料卸売業の取引の特徴は、以下の3つに分けられる。

① 施主から部材メーカーに至るまで多層構造を形成している。 施主からの発注を元に、流通過程にある各製品の仕様が決定するため、工事期間中に仕様の変更・追加・ 減額が発生した場合、すべての工程に影響が及ぶ。

② 一部の建築材料卸売業者は、単なる卸売業に留まらず、仕入れた建材を最終製品である建物の部品へ 加工する「加工・工事業」の役割も担っている。

③ 建物の部品加工を請け負うケースがあるため、複数の契約形態が存在する。
‣ 購買契約 :規格品や広く一般に市販されている市販品を対象とする売買契約
‣ 製造委託契約:最終製品の仕様を指定して製造を委託する契約
‣ 材工一式契約:建築資材と工事作業人を、建築材料卸売業者が手配する契約

建築材料卸売業の一般的な流通形態を図で表すと以下のとおりとなる。

(3) 業界動向

建築材料卸売業の販売額推移をみてみると、バブル崩壊直後の1991 年をピークに右肩下がりとなっており、2009 年には前年に発生したリーマンショックによる景気悪化の影響で、販売額は急激に落ち込んだ。

近年は、建設資材の高騰や人件費の上昇により、工事費全体が増加基調にある。また、産業廃棄物の約 20%が建設廃材といわれている中で、不法投棄対策として一定規模以上の工事の際に、建設業者に対して分 別解体や再資源化を義務づける「建設リサイクル法」も建設業者のコスト増加に繋がっている。

販売先であ る大手建設業者からのコストダウン要求が強まることで、斯業種の採算悪化が懸念される。

(4) 財務指標分析

(安全性分析)
斯業種全体における自己資本比率、流動比率、固定比率、借入依存度などの安全性指標は、卸売業全体とほ ぼ同水準にあるといえる。一方、建設材の加工を手掛ける企業においては、卸売専業の企業と比べ、加工設備 の投資に伴う借入が増加しやすくなっている。

(収益性分析)
近年の建設資材価格高騰により、売上高総利益率は、卸売業全般よりやや低い水準となっている。また、建 設材料の販売先が、ゼネコンなど自社に比べて規模の大きい場合には、価格決定力が弱いため、利益率が低く なってしまうケースもある。

(効率性分析)
棚卸資産回転期間は、卸売業全体と比べて短くなっている。要因としては、取扱商品の納期が工事計画に合 わせて決定されるため、在庫を事前に抱えて販売することが少なく、メーカー直送や加工業者から工事現場へ 納品するケースが多いことが挙げられる。

また、取引先が支払・回収サイトの長い建設業界であることから、 売掛債権回転期間・買掛債務回転期間は、卸売業全体と比較して長期となっている。

(5) 与信限度額の考え方

■与信限度額の設定方法
与信限度額とは、取引において自社が許容する信用供与の最大額であり、いかなる時点でも超過してはなら ないものである。与信限度額は、「必要かつ安全な範囲内」で設定する必要がある。必要な限度額は、取引実 態を基に算出し、安全な限度額は、自社の財務体力や取引先の信用力(格付)を基に算出する。

●与信金額(必要な限度額)
実際の取引において、必要となる与信金額。建築材料、鉱物・金属材料等卸売業に対して発生する与信取引としては、建材商品や材料の販売等での「売買取引」が挙げられ、継続取引における必要な与信金額は、以下 のとおり算出される。

与信金額 = 月間の取引金額 × 回収サイト

取引を行う際には、自社の取引条件が斯業界の平均水準から大きく乖離していないか、確認すべきである。 買掛債務回転期間の業界標準値が「斯業界の平均的な支払サイト」を表しているため、「月間の取引金額×買 掛債務回転期間の業界標準値」によって、与信金額の基準とすることができる。

建築材料、鉱物・金属材料等卸売業に対する平均的な与信金額
=月間の取引金額×2.2 か月

●基本許容金額(安全な限度額)
基本許容金額は、自社の財政がどの程度の貸倒れまで耐えうるかを予め計ることで、自社の体力を超える取 引に対する牽制機能を働かせるものであり、自社の財務体力と取引先の信用力を考慮して算出する。

一例とし て、自社の自己資本額に対して、取引先の信用力(格付)に応じた割合を安全な限度額とする方法がある。

基本許容金額 = 自社の自己資本額 × 信用力に応じた割合
(例 : A 格 10%、B 格5%、C 格3%、D格 0.5%、E 格 0.3%、F 格0%)

●売込限度額(安全な限度額)
販売先において、自社との取引シェアが高くなり過ぎると、自社が取引から撤退することが困難となる恐れ がある。そのため、取引先の信用力(格付)に応じて取引シェアに上限を設けるべく、取引先が抱える買掛債 務額の一定割合を売込限度額として設定する方法が考えられる。

売込限度額 = 買掛債務額 × 信用力に応じた割合
(例 : A 格 30%、B 格 20%、C 格 15%、D格 10%、E 格6%、F 格0%)

仮に、取引先の売上高情報しかなく、買掛債務額が不明な場合であっても、業界標準値を用いて売上高総利 益率(13.0%)と買掛債務回転期間(2.2 か月)から、以下のように買掛債務額を推定することができる。

買掛債務額 = 売上高/12[月商] ×(1-0.13)[原価率] × 2.2(か月)[買掛債務回転期間] = 売上高 × 0.159
(例:売上高 100 億円・A格の場合:100 億円×0.159[買掛債務額]×30%[信用力に応じた割合]=4.77 億円)

(6) 与信管理のポイント

建築材料、鉱物・金属材料等卸売業は、販売先である建設業界の景気動向に業績が左右されやすい。そのた め、取引の際には、主要な営業品目や、取引割合、販売先の業界動向を把握することが重要である。

また、建設業界の倒産件数は、減少傾向にあるとはいえ、依然として高い水準で推移しており、注意深く取 引先の資本関係や系列状況などの確認を行う必要がある。特に建築材料、鉱物・金属材料等卸売業の販売先に は、ゼネコンなど力関係の強い企業が多いため、不利な取引になっていないか、取引条件が変更されていない かといった点に注意したい。

建築材料、鉱物・金属材料等卸売業は、月ごとの受注高に差が生じやすいため、決算時期によって売掛債権 や買掛債務の保有高の変動が大きくなりやすい。決算時点で保有する債権債務や棚卸資産などが、当期の受注 高と比較し、適正な水準にあるかを確認する必要がある。

また、他業種に比べて手形取引の割合が高い業界であり、手形割引による資金調達が一般的であるため、融 通手形の発生やグループ会社の破綻に伴う連鎖倒産には十分に注意が必要である。こうした事態を避けるた めにも、日ごろから取引先の仕入先や販売先を把握し、その信用力の確認をしておきたい。

周辺環境の変化が大きく見込まれている業界であることから、与信管理を行う上では、以上の点を踏まえて迅速に変化を捉えられるようにしたい。

【参考資料】
経済産業省:「平成 28 年商業統計調査」、「建材・住宅設備産業取引ガイドライン」 国土交通省:「住宅着工統計」 総務省統計局:「平成 30 年経済センサス」 中小企業庁:「平成 30 年中小企業実態基本調査」 建設業ハンドブック 2019(一般社団法人 日本建設業連合会) 業種別審査事典(一般社団法人 金融財政事情研究会)
業界レポート 建築材料、鉱物・金属材料等卸売業 2020.08

本日の内容は以上になります。
次回もお楽しみにでは

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