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ストレスを溜めないための整心論〜ビジネスパーソンの日々の再起動13

私はこんな人


誰にでもある認知の偏り

アスリートと同じく、ビジネスパーソンにも「心技体」のコンディショニングが大事です。タイトルは「再起動」としていますが、調子が悪くなってからの手法だけでなく、普段の活動についてもお伝えしてまいります。本日は、「心技体」の「心」に関係がある話です。前回、「認知の偏り」について、お伝えしました。この偏りそのものは、程度の差こそあれ、誰にでもあるものです。ただし、ストレスが溜まりやすい人は、この偏りの程度が、極端なものになりやすいと言われており、私もそれを実感したことがあります。本日は、その一部を具体的に見てみたいと思います。と言っても、前回ご紹介したものだけで、下記の10通りありましたので、今回は、そのうちの①と②について、触れてみたいと思います。

①べき思考
②オールオアナッシング
③極端な一般化
④結論への飛躍
⑤個人化
⑥過剰な拡大解釈
⑦ラベリング
⑧フィルタリング
⑨ポジティブ要素の否定
⑩自分の感情による根拠づけ

リワークでは、このような認知の偏りについても勉強します。

「べき思考」と「オールオアナッシング」

①べき思考


この思考は、その名の通り「〜べき」という言葉に置き換えることができます。例えば、「私は、あなたに〜してあげたから、あなたは、御礼を言うべき」とか、「私は、客なんだから、店員は、私の要求に何でも応えるべき」などです。

一見、当然な話で、これのどこがマズいのかと思う人もいるかも知れませんが、これも程度というものがあり、行き過ぎるとストレスを高めやすくなります。

「私は、あなたに〜してあげたから、あなたは、御礼を言うべき」について言うなら、これは、確かに相手側にも問題があるとは思いますが、残念ながら、御礼を言うべきことかどうかの判断は、相手側次第なのです。「そんなの許せない‼️」という方、まあ、私も、あまり許したくない相手になりますが、相手は、それで失ったものがあるのです。それは、あなたからの信頼です。人前でやっていれば、周囲からも信頼を失います。「信頼を失うような哀れな人なんだな…」と頭の中で整理すればいいのです。この辺りの思考法は、今の私にとっては、普通ですが、昔の私なら、「やっつけてやろう」として、かなりのストレスを溜め込んでいました。どうやって、この思考法を手に入れ、気持ちのブレを少なくしていくかというのが、「整心論」の真髄ということになりますが、その具体的方法は、後日、詳述します。今は、その方向性だけお伝えします。

もう一つの例、「私は、客なんだから、店員は、私の要求に何でも応えるべき」に対しても、同様です。顧客だからと言って、お店の人に何でも要求していいということは、当然、あり得ません。でも、こういう人々は、世の中に、かなり多数います。先程のケースでも言えることですが、商店では、顧客への対応を一定の水準で行うことが求められていて、あまりに雑な対応なら、顧客は離れるだけです。つまり、要求が通らないのが気に入らないなら、その商店で買わなきゃいいだけの話です。逆に、商店の側は、「そこまで対応する必要はない」という話なのかもしれません。したがって、両者ともイライラする必要はないのです。ところが、「べき思考」に支配され過ぎていると、自分の「〜べき」にとらわれ、相手をその枠の中に無理矢理引っ張り込もうとしてしまいます。しかし、相手も、あなたと同じで、自由な思考と行動をする人間なので、その枠の中に入るかどうかは、不明なのです。これが、「べき思考」により、ストレスが高まるメカニズムと言えます。

②オールオアナッシング


これも、ストレスを溜め込みやすい思考の一つですが、物事を「白黒」
「○×」「勝ち負け」などで捉え、片方を完全否定します。要は「二項対立」で物事を捉えるわけです。当然、「対立」を産みやすく、相手をやっつけようとします。ところが、相手もそれなりに抵抗しますので、ここにストレスが生じます。それに、相手が大人しくやっつけられるタイプの人物でない場合どころか、逆襲してくるタイプや、やっつけたくても、やっつけられない相手だった場合は、更にストレスは高まります。

例えば、あなたが考えた企画書案があったとします。そして、他のメンバーが考えた企画書案があるとします。こんなとき、オールオアナッシングの思考の人は、「自分のもの以外は、全否定」してきます。表立って否定しない場合でも頭の中では、否定していますから、相手の案が採用されようものなら、とてつもないストレスに見舞われます。

相手のいいところも上手く取り入れた「3つ目の案」を考えることができれば、かなりストレスが軽減されるのですが、そもそも自分の案に執着しているので、3つ目の案を考えることが難しい状態です。これは、対立した案を基に「より良い案」を考えるという発想さえあれば、自然と3つめの案を考えることにもなり得るのですが、オールオアナッシングの傾向のある人にとっては、それも難しく、結果として、ストレスを抱えることになっているということでもあります。(方法は後述)

対処の仕方


「認知の偏り」は、思考のクセ、思考の習慣のようなものなので、大きなストレスがかかる場面以外でも注意することにより、よりストレスがかかりにくい思考法を工夫していました。特にリワーク中は、そうでしたが、今でも注意して生活しています。本格的にやろうと思ったら、認知行動療法で使われるコラム表を使用することや、マインドフルネス瞑想が有効ですが、それは、別の回に譲るとして、本日は、もう少し手軽にできる方法をご案内したいと思います。

「べき思考」「オールオアナッシング」への対処


この思考は、私にもありました。それは、楽だからです(笑)
楽な理由は、「○と×」で判定して、一つだけ決めて、それを徹底すればいいだけだからです。ただし、楽なのは、考えた瞬間だけで、その後は、ストレスに見舞われることが多く、相手を力で抑え込もうとしたり、逆に、自分を押し殺してしまい、結局、楽にはなりません。

ここで問題なのは、「二択」にして、それ以上の選択肢を考えていないということです。

極端な場合、「生か死か」「死ぬべきは、私なのか相手なのか」などとなっていきます。自殺未遂経験のある方からも、この話は聞いたことがあります。

発言や意見が極端な人っていますよね?実際の会話でも、SNSの書き込みでもありますね?彼らは、無自覚かもしれませんが、ストレスを感じているのです

つまり、ここでの対処方法は、

「3つ目以降の選択肢を考える」
できれば
「3つ目以降の選択肢を関係者に相談する」です。

最初は、3つ目以降を考えるのは、それも苦痛です。

それを習慣にできるように、少しずつ考えます。
とは言え、そんなに簡単ではないという方のために、3つ目以降の選択肢を考えるときのヒントを考えてみました。

例えば、企画案の場合、
①タイミングを変える
②中間的な案を考える
③場所を変える
④工程を分割してみる
⑤メンバーを加える
⑥暫定措置を進める
⑦目的や背景を洗い直す

他にもあると思いますが、企画案がまとまらなくて困るのは、あなただけではないのです。まずは、このような観点から、3つ目以降の選択肢を考えてみてください。
ストレスに対処するだけでなく、周囲からの評価も上がるはずです。


本日のまとめ

本日は、認知の偏りのうち、「べき思考」と「オールオアナッシング」を紹介し、その対処方法を考えてました。

いつもよりも、長い文でしたが、お付き合いいただき、ありがとうございました。

皆さまそれぞれにとっての「最高の日」を過ごせるヒントになれば幸甚です。

また次回以降も、よろしくお願いします。

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