見出し画像

当事者が納得することが、何よりも大事。そのことが見えなくなるのが現場。

ご利用者さんの悩みや不安は、当事者にしか、わからないことが多いと思います。ご利用者のその気持ちをわかることはできないけど、理解しようと常に意識してご利用者と携わっています。その悩みや不安は、その方にとってはすごく重大なものとして感じているから。ご家族、ひょっとしたらスタッフ!?からすると、「仕方がない」ことであったり、「大したことがない」ことかもしれなくても。その気持ちを察することが自立支援する上で重要であると感じています。

圧迫骨折で手術を受けられたCさん 女性(81)

R1.9 脊柱圧迫骨折し、体幹コルセットにて固定。

『足腰を鍛えて、自分のできる事(家事など) していきたい。ふらつきを無くしたい...』

このような状態から、R2.1よりRitaのご利用が始まりました。
R2.2に体幹を固定していたコルセットが外れた頃に、第1次緊急事態宣言。誰もが正体不明のコロナ感染に怯える事態が起こり、Cさんも3〜6月の間、ご利用されませんでした。

ようやく感染者数が少なくなり、ご利用を再開した矢先。定期受診すると圧迫骨折が原因で後弯変形が生じているため、低侵襲脊椎固定術(XLIF)を勧められ、R2.7に手術を受けられました。

スクリーンショット 2021-09-15 17.32.14

スクリーンショット 2021-09-15 17.31.59

その後、R2.9からご利用再開しました。長期間の安静もあり、誰かに掴まりながら歩いている状態でした。ご利用回数を重ねるごとに歩くことは良くなってきましたが、『背中に板のようなものが入って、常に重だるく痛みが取れない。すぐ横になってしまう』と。

納得できない定期受診

Cさん「お医者さんは、私が痛いといっても、手術後から私の体を触らない。レントゲンを見て「大丈夫」との一言で、痛みについては『仕方がない』と・・・」

このようなやりとりを受診の度にやっていたそうです。医師に対する信頼が、だんだん不審に変わっていってるのが会話の中で読み取れました。ただ、スタッフもどのように対応して良いかわからず、話を聞くことしかできませんでした。

不安が募る毎日

ご本人しかわからない、理解し難い痛み…”このまま続くと動けなくなるかもしれない”、”ご主人より悪くなり、自分がご主人を看れなくなる”、”今やっていることは意味のあるものなのか”など、Cさんはどんどん不安が募る一方でした。

専門職の方なら、なぜこのような症状が出ているのか、わかるかと思います。脊柱が固定され、本来の脊柱の可動域が制限されることにより、背部の筋が部分的に不動状態になり筋阻血状態であることと、同時に筋力低下による筋疲労が重なり、痛みとして症状が出現していると思われます。

しかし、ご本人として「手術したのに、痛みが出ている」ことに納得できず、そのような中、手術を担当した医師から「固定しているボルトを抜くと治るかもしれない、だけど痛みが消える保証はない」と。「体も観ない、触らないのに、なぜ判断できるのか」と不満いっぱい。このような状態ではリハビリも進まず、精神的に参ってしまう状況でした。

セカンドオピニオン

そこで、セカンドオピニオンを勧めました。「そんなことしても、いいのかしら?」と躊躇する部分もありましたが、『現状の相談したい旨をきちんと伝えてみたら』と話したところ、すぐに行動されました。

結果、セカンドオピニオン先の医師は、抜釘手術する必要性はないことと、手術した必要性についても説明してくれたそうです。

セカンドオピニオン後・・・

すごくスッキリされた様子で、表情も柔らかく、訓練にも集中でき、「この症状が出ると少し休みを挟み、また動くようにしている」と日常の中の工夫も前向きに実践されるようになりました。スタッフも、Cさんの話を聞いてどうして良いのか悩んでましたが、セカンドオピニオンを機に「痛みについて話すこともなくなりました^^!」と一気に悩みが解消されましたww。

私たちにできること

悩みや不安に対する気持ち・考えの差が、生活のモチベーションの低下や家族関係に溝ができたり、孤独になってしまったり、また、人間不信につながり人とのコミュニケーションを避けるようになり、うつや認知症の悪化、介護の悪化につながることになると感じています。自分たちで説得するのではなく、ご本人が納得できる環境を提案する、行動を促すことも、私たちが自立支援するために必要なスキルだと思っています。