不登校のないスウェーデン

私の記事で度々引用・転載している文献である、フクロウ症候群を克服する には、スウェーデンの教育について小児科医である田中秀高氏の報告が載せられている。日本の教育の再考にも重要な示唆になると思うので、長くなるが引用してみよう。


「(前略)日本は受験地獄の国です。

一方スウェーデンも大学進学率の高い、かなりの学歴偏重社会です。

しかしこれもスウェーデンでは登校拒否の原因にはなりません。

これらの事実を知ったとき私はひどくショックを受けました。

日本における登校拒否の社会背景を、家庭崩壊や学歴偏重が主原因と考えていたからです。

日本の登校拒否は何が原因なのか。

その答えは、私の子どもがスウェーデンの保育所と学校に行き始めて徐々に分かりました。スウェーデンの教育は日本とは余りにも違います。

この国の教育は民主主義の基本、すなわち子供の自主性を非常に尊重します。三歳以上の子供であれば、毎朝、今日何して遊びたいかを自分で決めます。

保母が、これで遊びなさい、と口出しはしません。

だから自分の家にあるお気に入りのおもちゃをもって来て遊んでいる子もいます。小学校でも児童の自主性によって学習したい課題を決定します。

レクリエーションのディスコパーティーも小学校四~五年生から自分たちで企画します。もし嫌な企画であれば参加しなくてもだれも陰口をたたきません。

「皆がやってるから、あなたもやらなきゃ」とは誰も非難しません。

したがってスウェーデンの学校はどの子供にとっても楽しい学習場所となるわけです。ある日本の調査では、学校が楽しくない子供は全体の40%になるそうで、スウェーデンとは大違いです。

またスウェーデンでは、日ごろから、子供たちは自分自身の意見や考えをはっきりと周囲に伝えること、そして自分の行動に責任を持つように訓練されています。

日本のように一致団結を身に着けさせるためにカリキュラム(運動会、文化祭)やクラブ活動は、一切ありません。

これは日本の教育と大きく異なる重要点です。

自分の立場を明言せず、周囲のムードに合わせようとする過剰適応では、登校拒否などの心身症児にたびたび見られる行動様式ですが、これはまさしく日本の教育理念の産物ではないでしょうか。

スウェーデンの子は中学二年生にもなると、はっきりと自分の将来を語れるので、親の希望を全く無視して自分の進路を決定します。

日本の親がするような進路に関する干渉は、社会通念として子離れができていない恥ずかしいことなのです。

今の日本の中学生に将来計画を語れる子がいるでしょうか。

スウェーデンの子供たちはこのような教育理念と教育制度のために、学校生活を心から楽しみ、責任ある人間として自立していきます。

日本も、登校拒否を生み出す古くて苦しい教育制度を変えない限り、また来年も登校拒否が減らず、私の仕事も増える一方です。」

(フクロウ症候群を克服する p155~157)


実際、不登校は統計史上最多を記録しており、未だに日本の教育が根本的に問題を抱えていることをよく表している。

運動会や文化祭といったイベントは日本の学校では当たり前に行われているが、スウェーデンの学校ではこういった催し物は強制参加ではない、ということ驚かれた人もいるかもしれない。日本だと、こういったことは我がままとか、社会性が育たないとか捉える向きが多いかと思う。ただ、少なくともこのような教育を受けたスウェーデン人は我がままで社会性がない、とはさすがに言えないのではないか。むしろ、「独立自尊の精神」を育むためには、スウェーデンの教育の方がずっと良いのではないだろうか。

日本でしばしばいわれる「同調圧力」もやはり全員強制参加が原因になっているのではなかろうか。

巨大組体操などはその典型、というかなれの果てであろう。最近はネット上でも問題視する人が増えてきて、以前よりは実施する学校は減ってきたようではあるが。


不登校も過去最多の現状、これからの日本の教育、根本的なところから改めていかなければ日本の社会もまた根本的には変わっていかないだろう。

思い返してみれば、日本の教育について考察した記事を連載していこうとしたきっかけは、日本社会の現状を憂いてのことであった。

これからも、日本の教育についての記事は、引き続き連載していくので、応援よろしく。


今日はここまで。ちなみに前々から連絡していたライブ配信の件だが、マイクの音量が足りず、マイクを口元に近づけるマイクスタンドが必要になったが、かなりやばい金欠状態のため、それも買うに買えず予定が滞っている状態。せめて今月下旬あたりには開始したいが、すべてはお財布次第。少しでも支援していただけたら、開始しやすくなると思いますので、100円からでも結構ですので下の「サポートするボタン」からサポートとして下さると助かります。有料記事のご購入もよろしく。あと、ヤフオクメルカリでも順次追加で出品しておりますのでそちらのご購入もぜひ。

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