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読書|気まぐれ指数

ショートショートの第一人者である、星新一さん。今回は、1000を越える作品を世に放った方の長編コメディーを楽しませていただきました。

犯罪評論家が、犯罪経験をするためだけに仏像窃盗を試みます。主要キャラクターの「気まぐれ」から、ことは泥棒や嘘、駆け引き…とどんどんあらぬ方向へと動いていきました。

犯罪評論家ぎ捕まってしまうハラハラ感は意外にもなく、仏像の行方が気になって仕方がありません。コミカルな展開だからこそ味わえる読書時間というものです。

他にも、誰のものかはっきりしない大金が、ある人に渡って、またある人に渡って。結局持ち主の元に返ってきて、でも持ち主はそれに気づいておらず臨時収入だと思って。

我々読者は全貌を理解しているので、くすくすとニヤけが止まりませんでした。

日常でなかなか起こり得ないことが、あたかも当然かのように語られるため、おかしな主張や気まぐれな判断もツッコミながら受け入れてしまいます。

ぼーっとしていると物語に置いていかれる感覚、というのでしょうか。星新一さんの手のひらの上でコロコロ踊らされていました。

ユーモアに富んだ作品が楽しめる一冊、今度は著者のショートショートも読んでみたいです。



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