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発達障害の「自他境界」の問題について当事者が解説する

こんにちは。りおです。
今回は発達障害を抱える人の「自他境界」の問題について記事を書きました。

こんな方に読んでほしい記事です。
 ✔︎ 他人軸思考になりやすい
 ✔︎ 相手に理解されなくてモヤモヤすることが多い
 ✔︎ 人間関係のトラブルが多い

自他境界があることで私たちは周囲の影響を受けずに安定して他者と関わっていくことができます。
一方で、発達障害の人はこの自他境界が曖昧で弱いと言われることが多いです。
自他境界が曖昧だと様々な人間関係トラブルが生じ、生きづらくなってしまいます。
今回の記事では主に、自他境界が弱いと起こるケースについて説明し、私の経験をもとに境界を強固にするための方法について紹介したいと思います。
ぜひ、最後までご覧ください。

1.自他境界とは


自他境界とは「自分以外の他者は違う存在である」という感覚です。
自他境界があることで私たちは他人の感情を推測したり、共感したり、主体的に自分の行動を決めたりすることができます。

普段意識することがないものの私たち全員が持ち合わせているものです。
自他境界の強弱は人により異なり境界が強固な人もいれば不明瞭もいます。
そしてこれは無意識のうちに私たちの思考や行動に大きく影響します。

自他境界は「(心の)バウンダリー」と言われることもあります。バウンダリー(boundary)は「境界」という意味です。
自他境界を深く理解するためには、自他境界が曖昧だと発生する諸問題について知るのが一番でしょう。
具体的にケースを見ています。

2.自他境界が弱いと起こる問題


自他境界が弱いと起こる問題は、「自分の領域を相手に広げる」と「相手の領域を自分に広げる」という2つのパターンに大別されます。

自分の領域を相手に広げる場合だと、
 ・相手も自分と同じように考えるはずだ
 ・自分の考えは絶対的に正しい
 ・自分の気持ちを相手も察してくれるはずだ

という思考パターンに陥ることが多いです。
「自分軸」や「独り善がり」な思考になり、他者との衝突が多いはずです。
また、「なんでわかってくれないんだ!」が口癖の人はこのパターンに該当します。

逆に相手の領域を自分に広げる場合だと
 ・相手の考えを全て受け入れてしまう
 ・相手の感情にひきずられてしまう
 ・相手の言いなりになってしまう

という思考・行動パターンになってしまいます。
いわゆる「他人軸」で動くタイプです。
特に自分勝手でわがままな人や強引な人と一緒にいると辛くなるケースが多いです。

また、自他境界が明確だと他人の責任の範囲や行動を「その人の考え」「その人の責任」と認識することができ、他人の行動や思考を受け容れ尊重できるようになります

はっきりとした自他境界が機能していると「自分は自分、相手は相手」「自分は何に対して責任を負う必要があるのか、何に対しては責任を負う必要がないのか」がわかりやすくなり、「自分のことは自分で決める」と自分の気持ちや行動を主体的にコントロールできるようになるんだ。

ココロジー 自他境界の作り方って?境界が“あいまい”だと感じたときの改善法


さらに、自他境界が弱いと起こる問題の一つとして、「相手の感情に引きずられやすい」があげられます。
イライラしている人や悲しんでいる人が近くにいれば自分も同じ気持ちになりがちです。
また、災害や事故、芸能人の自死のニュースを見て心がザワザワする人もこのタイプです。
「共感力が高い」と言ってしまえばその通りです。
しかし、共感力が立場の異なる人に対して彼らの感情・思考を能動的に推測する「知的行為」だと考えれば、自他境界の弱さで相手の侵食されることは「共感」とは呼べないと思います。

発達障害の人が自他境界の弱い原因は、「結合された自己イメージを持ちにくい」ということです。
ASDの人はニューロンの特徴上、外部刺激の取捨選択が苦手と言われています。
「私」と「私以外」の線引きができないことが、自分という統合されたイメージの持ちにくさにつながります。

また、いわゆる「毒親育ち」も自他境界の曖昧さにつながるようです。
自他境界は幼少期に親などの他人との交流によって形成されるのですが、
大事な時期に親から自分の「所有物」のように扱われ、親の言いなりにさせられては、境界が形成されないまま大人になってしまいます

ACの人や虐待を受けて育った人が成人してから人間関係で苦労するのはこれが原因であるようです。


3.自他境界を強化する方法


最後に、自他境界を強める方法についてお話します。
最も大事なのは「自己洞察」です。
自分の現在の感情や思考の動きを観察する習慣をつけましょう

自己洞察力が上がると自分の感情や思考に気付きやすくなるだけでなく、他者理解にもつながります。
下記に紹介する方法で自己洞察を高めていきましょう。

①ジャーナリング


ジャーナリングとは頭に思い浮かんだことをそのまま紙やノートに書く作業のことです
「書く瞑想」とも呼ばれるように、思考をありのまま紙に書いていくことで自分の思考を客観視することができます。
おすすめは、寝る前の時間帯に10~15分間、紙に書き出すというやり方です
夜は朝と比較して思考がぐるぐるしがちなので、紙に書くことで発散できます。
これを毎日続けることで自分の思考を観察する自己洞察力が大幅に向上するはずです。

ジャーナリングにはストレス発散やメンタルヘルス向上に役に立ちます。
コツは、思ったことを「ありのまま」に書くことです。ポジティブな内容でもネガティブな内容でも構いません。
感情や思ったことを4日間連続で書いたグループがその日に起こった事実を淡々と書いたグループと比較して心身の健康が大幅に向上した、という研究結果も出ています。

②瞑想


僕のnoteをご覧いただいている方にはお馴染みですが、瞑想は自己洞察力を磨く最も優れた手段です。
瞑想では、呼吸や身体の感覚に集中しながら自分の思考を観察します。
瞑想を実践すると、脳の構造が変わり、自分を客観視するための脳機能が向上することが研究によりわかっています
それ以外にも、ストレス向上や注意・集中力向上、不安解消など良いことづくしなので、ぜひ取り入れてみてください。


ちなみに、瞑想をすると共感力が上がるとも言われています。瞑想の習慣化により共感力を司る島皮質という脳の部位が肥大化することが研究で明らかになっています。
これは決して自他境界が曖昧になるということではなく、能動的に相手に対して共感を寄せる能力が強まるということです。
共感力が上がれば、相手の感情に侵されることなく、一方で相手に寄り添うことができるため人間関係が円滑になるはずです。

はじめて瞑想にチャレンジされる方はこの書籍がおすすめです。僕もこの書籍で基礎的なことを学び、5年以上継続しています。


主なやり方を2つ紹介させていただきました。
大事なことは、自己洞察力を磨き「自分の感情と相手の感情は別のものだ」という感覚を身につけていくことですね
「相手は自分でコントロールできない」「自分は相手にコントロールされない」と意識下で考えられるようになれば、きっと楽になれるはずです

また、自他境界を侵害してくる他人とは距離を置くことも重要です
自分をコントロールしようとしてくる人といる時間が長いと自他境界も曖昧になりがちです。
家族や恋人であろうとも、他人であることは間違いありません。


3.さいごに


ここまでお読みいただきありがとうございました。
自他境界は生きづらさを抱える人にとって大事な概念であるのに関わらず、あまり知られていないことが僕としては不思議でたまりません。
まずは自他境界について知り、ジャーナリングや瞑想で自己洞察力をアップさせることで、境界を形成していきましょう。
きっと人間関係での苦労が減り、今まで以上に生き生きとした人生を送ることができるでしょう。

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ありがとうございました。



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