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時間と深み


植物の世界にいると

「時間」や「時の流れ」

にとても敏感になるようになりました。



生き物だからこと

急いでも仕方ないこと、

1でも2でもなく、

黒でも白でもなく。



時間が経ってわかることがあるのです。



「待つ時間」
形のない豊かな心の動きを与えてくれるといいますか。



植物だけでなくて日々の日常の中で

そういう気づきは
いっぱい経験しているはずなのに。


植物はその仕組み可視化してくれる。









大学時代、デザイン界のプロデューサーの立場で活躍されている先生に出会いました。

私にとって
この先生の影響はとっても大きくて、
心の底から「デザイン」の力を感じた

そのぐらいの深みのある先生との出会いがありました。


それまでの学生生活は少し息苦しくて、
センスある人が羨ましくて羨ましくて。


大学3年生に先生に出会い、

1つの転換期というのを迎えたんだと思います。



「個性」とか「センス」
は少しどこかに置いて、

先生は毎回、課題に対して

どう向き合うか、

どう社会が動いているのか、
今どうな社会があるのか、

どうしてそんな課題が出されるのか

「世の中の発信に対して、よく考え向き合うこと」

を本当に大事にされていました。



出来上がったものより、

そのプロセスの意味。



そのことを感じ取った時、

そして自分の中で消化ができた時、

すごくデザインの広がりや、
世界の広がりを楽しく思えたのです。



その先生は
本屋に通うことをすごく
私たちに伝えたのです。

センスがないことがすごく
コンプレックスだったわたしは
先生の言葉を信じて、
時間があれば今も本屋に行きます。


今になってよりその先生が
伝えようとした意味がわかります。


表紙を見て歩くだけで旬の世の中の話題が伝わり、悩みがあれば、人生の先輩たちの言葉をのせた本で溢れている。

文庫本の背表紙だけでも言葉の威力や言葉の広がりも感じれて、旅行雑誌からは世界の広がりも遊びの広がりも無限である。


先生が本屋さんへ通えと言った
背景にはたくさんの意味があると思うけど

グラフィックの組み方や、
写真の構図、タイポグラフィ

全てに敏感になれってことだったり


社会や世界で動いていること


自分自身が感じている以上に広がりや深みに満ちた世界があること

それを知るきっかけが本屋に凝縮されていることを

教えてくれようとしていたんだなと6年経って感じるのです。



6年。





もう29歳で、29年生きていると思うと
すごく長い時間を過ごしてきただなぁ
と感じがしたりもするのですが、

けれども

900もの言語が世界にあるというのに
私は、日本語と英語ひとつまみしか話せないし、

行ったことのある国なんてまだ数カ国。



食べたことのないものもまだたくさん

見たことのないもの
行ったことのない場所も

たくさんある。


その時々、
それなりに一生懸命なつもりでも

ものすごい小さな世界にいたんだなと

ふと立ち止まるときがあります。


今またその時期であって、
それはニュージーランドでの生活をしたからこそ感じているものだと思います。




移民国家なニュージランドは
多種多様な価値観であふれている。

その一方で

日本は人種から生まれる多様性は少ないけど鎖国を行なった島国としての深い独自の歴史文化がある。


両方の視点を持つようになって

また改めて自分の今見えている世界観について考えるようになりました。


SNSで常に世界をのぞいているような気がしているけど実は表面的なものでしかなくて、


そこにある世界は本当はもっと深くて、
時間をかけて自分の考えて掘り下げていかなくてはいけないんだなと感じています。


全部を味わえないからこそ、限られた時間の中できちんと自分で選択をすることが大事。



そんなことを考えていたら

本屋さんで心を動かされた言葉に出会いました。

きっと読む人の置かれている状況によって感じるものも違うんだろうなと思う言葉です。きっと誰に対してもそれぞれの意味で深く刺さる言葉だと思います。


今の社会が求めていることは、
手がかからず、思い通りに、早く。
でも、本来生き物はその真反対。
手がかかるからこそ愛おしいし、
生きることに「早い」は合わないの。


今月の暮らしの手帖に
書かれていたこの文章。



すごくしっくり、

心に響きました。


「お花を育てるのだって、赤ちゃんを育てるのだって、手をかけることに喜びがある、しかも手がかかるわりに思い通りにはいかないのよね。その代わり、思いがけない発見をくれることもある」
生き物に大切なのは時間。つまりプロセスとの関わり。精密機械のように都合よくいかないからこそ、生き物は尊いのです。生きることは時間を紡ぐこと。


きっと今この大変な世の中で、
いろんな人がいろんな思いで悩んでいて

少なからず、岐路に立つ私にとっては
地に身をつけれるような力強い言葉でした。


はがゆく、思い通りにいかない今の時間を、これが本来の姿なんだと言い聞かせつつ前に進めたら良いなと思いました。



種から苗を育てていると

じっくりゆっくり、

日々の時間の流れを感じます。




いつか先生にお礼が言えたら
いいなと思うのです。

本屋に通うと意識したなかで
これまでどれだけのヒントに
出会ってきたことかということを。

いつか、、、。


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