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「ヴァン・ダ・イールー渓谷の民」武村賢親

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黒い谷に迷い込んでしまった研究者の手記をもとに綴られた物語です(設定)。 文明人である研究者と原住民の戦士との交流を書いたファンタジー作品。
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#連載小説

琳琅 第二号より、「ヴァン・ダ・イールー渓谷の民」武村賢親

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 日がすっかり登ってしまった頃、族長を筆頭に集落の重鎮たちが私たちの住居を訪れた。いまだ微睡から覚めないヌェラをそのままに、体中に満遍なく香油を塗り終えていた私は慌てて腰布に手を伸ばしたが、族長はそれを制止して、天井に渡した蔓に引っ掛けておいた服を指さした。私が都市から着てきた外界の衣類である。

 服を着てしまうと、族長は拾い上げた革鞄を私に手渡して外に出るよう合図をする。外には数人の戦

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