阿舎利ヘイデン(あじゃりへいでん)

頭の中の物語なんかを、なんとな〜くを書いてく、ゆる〜いnoteです。ヘイデンを漢字で書くと「幣殿」です。

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声を出さずにニャーと鳴く #10 夫婦喧嘩はねこも食わない

「なー、梵太郎。”銀のスプーン”のさ、”まぐろ入りかつお”と”ささみ・まぐろ入りかつお”だったらどっちがいい?」 連休最終日は秋晴れ。神無月を間近の控えた夕刻にTシャツ1枚では肌寒かったのか、買い物袋をテーブルに置くなり、両手で反対側の二の腕あたりを擦りながら我が輩に2択を迫る主。 『うぅぅにゃぁぁぁ(うぅぅどっちも食べたいぃぃぃ)』 と悩んでいると、 「ははは。変な声出させちゃったね。梵太郎にとっては究極の2択だったかな。ちょっと待ってね。すぐに用意するから」 そ

    • 声を出さずにニャーと鳴く #9 身近にあるドラゴンボール

      「あぁ、今回も出なかったなぁ。ATMを変えてみようかなぁ」 財布の中を眺めながら、主がボヤいている。周りに誰もいないところをみると「独り言」ということになるわけだが、それにしてはいつもより声が大きいのが気になる。お昼寝していたロッキングチェアから飛び降り、主がいるダイニングテーブルへと向かう。作業に夢中の主は、我が輩が向かっていることに気付かない。致し方ない。得意のヘッドバットでもお見舞いしてやるか。 「痛っ。スネ痛っ。梵太郎か、ビックリしたよ。どうしたんだい?もしかして

      • 声を出さずにニャーと鳴く #8 虹を生み出す男

        「おーい、梵太郎。ぼーん、ぼんちゃーん、ぼんくーん、どこー?」 主が我が輩を「梵太郎」以外で呼ぶ時は、機嫌が良い時である。それに加えて、今までに聞いたことがないような声のトーン。何があったのだろう。お気に入りのロッキングチェアから飛び降り、主の声がする書斎の方へと向かう。が、姿が見えない。 「おっ、梵太郎。来てくれて嬉しいよ。なぁ、聞いてくれよ。今日さ、すごいことがあったんだよ」 書斎の先にあるバスルームに主はいた。半開きになったドアからは湯気が溢れている。左手にはバス

        • 声を出さずにニャーと鳴く #7 必殺技は菜々緒ポーズ?

          この世には、必殺技と呼ばれる技があるようだ。必ず殺す技なのか、必ず殺さない技なのかわからないが、我が輩はいつの間にやらその技を習得していたようである。天才というのは、そうゆうものなのであろう。 主がロッキンチェアに座って本を読んでいる。ミントグリーンの表紙にドクロなどが描かれているその本のタイトルは「禍いの科学」、サブタイトルは「正義が愚行に変わるとき」と言うらしい。愛読書が週刊誌の主には似つかわしくない本だと思ったが、時折“へー“とか“ほー“とか声をあげているところを見る

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        • 声を出さずにニャーと鳴く
          10本

        記事

          声を出さずにニャーと鳴く #6 卓球という名のスポーツ

          球状の物体が前後左右にポンポン動いていれば、それを目で追うのは当然のこと、時折手が出てしまうのは性である。だって我が輩、ネコだもの。だから今回のことは大目に見て欲しいのだよ、主。 テレビと呼ばれる黒い物体にそれが映ったのは数日前のこと。大きめのダイニングテーブルくらいの緑色の台を舞台に、1対1や2対2で行われる卓球というスポーツ。鮮やかなユニフォームを着た選手が、小刻みなステップで前後左右に動き、狙いを澄ましてラケットをふる。ラケットのラバーで弾かれたオレンジ色の球は、目で

          声を出さずにニャーと鳴く #6 卓球という名のスポーツ

          声を出さずにニャーと鳴く #5 ホラーは夏の風物詩

          「おかしいおかしいおかしいおかしい・・・」 主が同じ言葉を繰り返している。今更自己紹介しなくてもいいのに思いながら薄目を開けて様子を伺ってみると、なんだか本当に困っているようだ。どれ、我が輩の出番か。ソファを蹴り、主の足元にちょこんと座ると、声を出さずにニャーと鳴く。主よ、少しは落ち着きたまえ。 「おぉ、梵太郎。聞いてくれよ。僕、これ受け取っちゃったんだよ」 主が指さす先には、ペットボトル24本入りの段ボールが2箱。いつも飲んでる井上尚弥さんがCMしている赤いラベルの銘

          声を出さずにニャーと鳴く #5 ホラーは夏の風物詩

          声を出さずにニャーと鳴く #4 飛騨牛使用ねぇ・・・

          このところ、キャットタワーのテッペンから見る窓の外が薄暗い。青空を見ていない。これを梅雨というらしい。ずっと室内にいる我が輩には関係ないが、人間にとってはなんとも鬱陶しい季節であろう。さっきまで曇り空だったのに、いつの間にか雨が降り出している。みるみる土砂降りになった。大きな雨粒がバチで、窓が太鼓の面。普段耳にしない音が部屋に響く。これがゲリラ豪雨というやつか、と思ったところでドアの鍵が開く音がした。いつも通り、玄関マットの上にちょこんと座り、主を出迎える。クリーム色のドアか

          声を出さずにニャーと鳴く #4 飛騨牛使用ねぇ・・・

          声を出さずにニャーと鳴く #3 パティだから旨いの?

          時刻は午後6時。仕事に出ていた主が帰宅する時間だ。ドアの鍵が開く音と聞こえるとともにソファを蹴り、玄関に向かう我が輩。玄関マットの上にちょこんと座り、主を出迎える。クリーム色のドアから顔を出した主と目が合うと、声を出さずにニャーと鳴く。 「やぁ、梵太郎。ただいま。お腹減ったかい?今ご飯を用意するよ」 我が輩のディナーはウェットフード。近所のホームセンターで購入した数種類のウェットがランダムで出てくる。どれも旨いのだが、特にお気に入りは銀のスプーン 旨ほぐし仕立て。まぐろ入

          声を出さずにニャーと鳴く #3 パティだから旨いの?

          声を出さずにニャーと鳴く #2 名前とは?呼び名とは?

          2回目にしてなかなかショッキングなことだが、我が輩の名前、正確にはボンというらしい。漢字でも平仮名でもなく、カタカナでボン。動物病院の診察券にもそう書いてあるから間違い無いだろう。ではなぜ我が輩が我が輩の名前を梵太郎だと認識したのか。これには他ならぬ主のせいである。「梵太郎、お腹減ったかい?」とか「ねぇ、梵太郎。僕の話を聞いてくれるかい?」などど話しかけられれば、「あぁ、我が輩は梵太郎というんだ」と思うのが普通である。聞けばこの主、子供のころ一緒に暮らしていたハムスターに清十

          声を出さずにニャーと鳴く #2 名前とは?呼び名とは?

          声を出さずにニャーと鳴く #1 我が輩は梵太郎

          この家に引っ越してきてから半年は経つだろうか。以前の家に比べたら部屋数は少なくなり、2/3程度の広さになったリビングにもようやく慣れてきた。友達とも離れ、走り回るスペースがなくても大きなストレスなく暮らしていられるのは、主が設置してくれたキャットタワーとソファのお陰かもしれない。自己紹介が遅れた。我が輩は梵太郎(ぼんたろう)、猫だ。物心ついた時から10数頭の猫と暮らしていたのだが、そこの主が身体を壊したとかで猫カフェに渡り、この家に辿り着いた。今はこうして、キャットタワーの最

          声を出さずにニャーと鳴く #1 我が輩は梵太郎

          阿舎利ヘイデンについて

          こんにちわ。阿舎利ヘイデンです。 漢字で書くと、阿舎利幣殿です。 そこいらへんにおる、普通の人です。 パソコンを新調したことをいいことに、なんとなくnoteに登録し、なんとなく何かを書いてみようかなと思っただけの人です。 お酒と読書と麻婆豆腐が好きですが、それらを熱く語ることができるだけの知識や文才や文章力はありません。 お天気屋さんな気質が、書き物のベクトルを掻き乱し、定期的な更新を妨げるはずです。 気が向いたら、お立ち寄りください。