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rina
2022年2月28日 22:59
日差しに埋もれたい。温もりや全てを肌に融かして、ほしいままに纏いたい。そんな春を感じてしまって、冬を裏切ったような気持ち。窓の外が灰色で、美しく輝く銀世界も好きなのに、オレンジ色に照らされる道にお久しぶりとご挨拶して、浮気者。会いに行くには寒すぎる冬と、否応なく照らしてくる春。温もりを求めすぎて、気付いたら夏。愛に満ち足りた私は、夏を拒絶する。会いに来ないでと、夏を嫌悪する。閉じこもる
2022年1月21日 20:52
電車の中で、私はひとり。周りを見渡すとちらほらと乗客はいるが、私はひとり。窓の外は曇り。向かいのおじさんは、スマホとにらめっこ。斜め前のお姉さんは、うとうとと。ドアを挟んで横の女子高生は、参考書をぱらぱらと。お昼の電車。人は少ない。向かう場所は、特にない。決めていない。ただ電車に乗り、座席に座って、ふくらはぎに当たる熱風に耐えながら、私はひとり。美しく彩られた黄色も、高い空も、そこには
2021年9月18日 02:11
少女は思い出していた。周りに散りばめられた割れたガラスの瓶は、少女を動かなくさせていた。頭に浮かぶのは故郷の花畑。黄色のスイートピーや橙色のチューリップ、水色のアジサイ、赤色の彼岸花。少女の母親は、花が好きな女だった。少女は、母親が花を好きだと信じていた。季節が変わると、母親は何処からか花を持ってきていた。買ってきたのか、摘んできたのか、少女は今でも知らない。ただ、母親の持つ花に生気が無か