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📖読書記録📖『ヘヴンリーブルー 「天使の卵」アナザーストーリー』

青沼 りん

読書紹介記事を書く青沼りんです📗

今回は、以前ご紹介させていただいた「天使の卵」、その続編「天使の梯子」からさらに続編となる、恨みと嫉妬からのループを断ち切れた女性の物語をご紹介したいと思います。



●今回ご紹介する本『ヘヴンリーブルー 「天使の卵」アナザーストーリー』

村山 由佳
集英社
2006年8月30日 第1刷発行

本作は「天使の卵」(以下、「卵」)と「天使の梯子」(以下、「梯子」)に登場した斉藤夏姫の視点で振り返る物語です。

「卵」で実の姉である春妃にかつて恋人だった歩太を奪われてしまった夏姫。

裏切られたショックから、源氏物語に登場する六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)のとうに夏紀は大好きだったふたりを恨むようになってしまいます。

恨むという感情を初めて知った夏姫でしたが、その後の出来事でさらに一生癒えない傷を負ってしまいます。


夏姫視点から見る「卵」から「梯子」のあいだに起こった回想場面でも、夏姫は失意のどん底にいた歩太が生還するまで厳しくも静かに見守っていました。

この出来事から、歩太にとって夏姫は一生頭の上がらない存在になります。

そして「卵」から10年経った「梯子」では、夏姫は美大に進学し画家として才能がありながらもの、塗装職人として働く歩太の保護者的立場になっていました。

あの頃のことはスッパリと水に流したようにも見えるふたりでしたが、実はそうではありませんでした。


赦したいのに、許せない。

だけど歩太のそばを離れらない。

未だに姉に対して恨みと嫉妬を抱く自分が赦せないという負のループを回っていました。



そんな中で出会ったのがかつての教え子である慎一。

8歳年下の慎一に想いを寄せられる事にかつての春妃を思い出さずにはいられない夏姫は戸惑ってしまいます。

しかし、慎一にも夏姫同様に後悔の念を抱く出来事が起こってしまいます。

その姿を客観的に見た夏姫は、手の差し伸べることで自分も救われたかったと白状します。

慎一と出会った事で、夏姫の心の傷が少しずつ癒えていきました。


自宅のベランダで咲くアサガオ「ヘヴンリーブルー」に水やりをしながら慎一を待つ夏姫。

慎一は夏姫にとっての「天使の梯子」だったのかなと思いました。

恨みから再生へ、そして登場人物が新たな一歩を踏み出す希望を持った一冊です。

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