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📖読書記録📖『天使の梯子 Angel′s Ladder』

読書紹介記事を書く青沼りんです📗

今回は、年上の女性を好きになった大学生の後悔と赦しの物語をご紹介したいと思います。


●今回ご紹介する本『天使の梯子 Angel′s Ladder』

村山 由佳
集英社文庫
2007年10月25日 第1刷


理髪店を営む祖母と二人暮らしをしている大学3年生の古幡慎一。

慎一はアルバイト先のカフェで高校時代の担任教師だった斉藤夏姫と偶然再会します。

ひそかに夏姫に想いを寄せていた慎一は、あるトラブルがきっかけで夏姫と親密な関係になります。

8歳年上の夏姫に惹かれていく慎一ですが、夏姫は慎一に対して割り切った関係を望み、心を開こうとはしません。

さらに彼女の心にある男がいることに気付いた慎一は、ヤキモキする日々を送ります。

それが発端で、慎一はある取り返しのつかない後悔を背負う事になります。

失意の中にいる慎一に対して夏姫はこう言います。

「誰に何を言われても消えない後悔なら、自分で一生抱えていくしかないのよ」(本文引用P154)

今の慎一に対して突き放した言葉を放つ夏姫でしたが、それでも彼女への想いが止まらない慎一は、夏姫の近くにいる男のことが気になってしまい、ケータイをこっそり覗いてしまいます。

メールには「一本槍歩太」という名前がありました。

メールの内容で恋敵が次にどこに行くのか把握した慎一は、一本槍が塗装業をしている現場を見に行こうとしますが、そこでひょんな事から一本槍の自宅で飲み会をする事になりました。

慎一が自分の元に来た理由を知った一本槍は、10年前に夏姫との間に起きた出来事を語り出します。



本作は、以前ご紹介した『天使の卵 エンジェルス•エッグ』(以下、卵)の10年後を描いた物語です。


先に「卵」を読んでいると、一本槍への対抗心を剥き出しにする慎一がとても微笑ましい。
しかし、本作を先に読むと慎一の感情とリンクするという面白い読み方もできます。

タイトルの『天使の梯子』とは雲の間から照らされた光のことをいいます。
その光は天からの癒しや赦し、浄化という意味を表しています。
慎一の後悔に寄り添い、癒しとなってくれるのでしょうか。

また「卵」から10年経った夏姫と一本槍の関係性も胸が熱くなる一冊です。

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