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【読書記録】『天使の卵 エンジェルス•エッグ』

青沼 りん

読書紹介記事を書く青沼りんです📗

今回は、恋人の姉を好きになってしまった予備校生の熱くも切ない三角関係の物語をご紹介したいと思います。


●今回ご紹介する本『天使の卵 エンジェルス•エッグ』

村山 由佳
集英社文庫
1996年6月25日 第1刷


美術予備校に通う事が決まった一本槍歩太は同い年で大学を現役合格した恋人の斉藤夏姫に後ろめたさを感じていました。
そんな春休み、満員電車の中で歩太はある女性に一目惚れをしてしまいます。
彼女の事が忘れられない歩太でしたが、父親が入院する精神病院で再び出会います。
彼女はこの春に父親の主治医となった精神科医の五堂春妃で、さらに歩太の恋人である夏姫の姉でした。
春妃が8歳年上でも夏姫の姉と知ってもこの想いを断ち切れない歩太は、夏姫に別れを告げて春妃へ想いを告げます。
春妃の返事はNo。
そこで歩太は春妃が精神科医を志すきっかけとなった過去を知るも、春妃への想いは変わることなくぶつけ続けます。
そんな中、歩太の父親が自ら命を絶ってしまいます。
精神科医としての自信をなくし、塞ぎ込んでしまった春妃の為に歩太は手料理を振る舞って春妃をこう元気付けます。

「あなたに会う前までは、こんなに満ち足りた気持ちになったことなんかなかった。(中略)つまり、自分にそれなりの自信が持てるようになったのは、あなたを好きになってからだよ。あなたがひとつひとつ教えてくれたんだ。本当の僕がどんな人間なのかってことを」(本文引用P126)

それから春妃も少しずつ心を開くようになり、クリスマスを一緒に過ごせるまでに進展するようになります。
しかし春妃は、歩太からの熱い想いと妹の夏姫が歩太を忘れられないひたむきな想いに板挟みになっていました。
どの想いも真剣だからこそ辛い。
そんな三角関係が思わぬ方向へとに向かってしまいます。



本作は、第6回「小説すばる」新人賞受賞作品にもなった著者のデビュー作であり、この作品を読んで小説を読むようになった大切な一冊でもあります。

読んだ当初は歩太と同世代でしたが、今では春妃をも遠に越したという残酷な時の流れを感じると共に、歩太のまっすぐな想いが突き刺さります。

恋をすると人はこんなに変わるのかと思うぐらい、19歳の歩太の想いがとにかく熱い。

歩太のこの想いは春妃に届くのでしょうか。



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