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地味に続く介護

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故郷に残る一人親への対応を中心に、関連する話題を書いてまとめています。黄昏時のサラリーマンが直面しつつ、あまり会話に出てこない内容なので、斜め読みして頂くことで取っ掛かりとしてお…
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2020年8月の記事一覧

老いた後の読書

長編小説を読みたいと思いつつ、時間が取れないことで先送り。定年になったら、読書三昧の時間を送りたい。

――そういう願望を持つ人は少なくないだろう。私自身もそう思っていた。

しかし、施設に入った母の様子を見ていると、翌朝になったら前日に読んだ内容を覚えていられるか、登場人物の人名を見てすぐにそのキャラも浮かぶように記憶できるか、にかなり不安を持つようになった。

よく言われる通り、母は最近のでき

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老人鬱②

老人鬱②

見舞い先の入院者も、内心では失敗したと思っているのではないか? と思った。単なる「構ってちゃん」だっただけのように感じたから。

「生きていたって、何も良いことがない」を何度も言っていたら、周囲が心配して精神科への受診を勧められ、家族も同席した中で医師が診察し、入院加療となった。これが、彼女の入院経緯である。どこまでが本気だったのだろう?

異臭に困惑しながらも、彼女の隣にパイプ椅子を置いて座り、

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老人鬱①

老人鬱という言葉がある。

元気はつらつな老人は少ない。生きるエネルギーが枯渇するのは、ある意味で理(ことわり)であり、老人が鬱を患うことは多い。

体が思うように動かない、最近のことはすぐに忘れる、新しいものに興味が持てない、世間の流行についていけない……等が積み重なれば、辛いことが多くなる。この年まで生きてきたけど、自分の人生って何だったんだろう……等と考え出すと、生きる意欲が減退してしまう。

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老親の入居施設で医療の判断はできない

老親の入居施設で医療の判断はできない

老人ホーム等の施設に入居しても、家族への問合せは結構ある。お任せとはならない。

老人に体調不良はつきものであるが、それを訴えられた施設の職員が独断で病院に診せにいくことは基本的にない。必ず家族に状況報告があり、対応について訊ねられる。この時、家族は「良きに計らえ」とは言えない。

職員としては、自らの判断で決めたのではなく、家族の意思を確認してそれに従ったという建付けが必要なのだろうと考えている

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亡父の腕時計の復活

亡父の腕時計の復活

空き家となった実家の座卓の上に、亡父の腕時計が置かれていた。

主人を失ったその腕時計は、亡父の死後も数年は動き続けたのだが、前回の母との面会時に実家に立ち寄った際には止まっていた。この時点では電池を替えたら動くだろうとの楽観があり、姉から「それは自分は不要」との言質を得て持って帰った。

自宅近くの時計屋に持ち込んで見てもらったのだが、そもそもリュウズが錆びて固まって動かない、中も恐らくかなり錆

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母からの手紙

毎月、母がお世話になっている老人ホームから請求書と先月分の領収書が送られてくる。微妙に母の受け取っている年金の額を上回っているが、差分は父の残した預金で当面は持つという計算の元で、今の生活が組み立てられている。

今月も請求書が送付されてきた。ただ、いつもと異なるのは、母からの手紙が同封されてきたこと。ただ一行、家族の安否を問うものであった。

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、面会も禁止とな

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老人ホームからの突然の知らせ

私がサラリーマンで、電話を頂いても出られないケースがあることから、老人ホーム側には、緊急じゃない場合は電話ではなくメールでの連絡をお願いしています。実際、会議や電車での移動中等、出られない確率は結構高いので、そうしてもらっています。

先日、老人ホーム管理者からメールが届きました。何だろうと思って開くと「病院に診せたいと思うがどうか?」との連絡でした。

これなら緊急じゃないのだろうか? という疑

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お年寄りの記憶の残り方

お年寄りの記憶の残り方

母は、数年前に彼女の妹、つまり私から見れば叔母を亡くした。

もちろん、そのことは亡くなった直後に母に伝えていて、その時はとても驚いてショックを受けた様子だった。

ところが、それから時間を経て一周忌が近づき、改めてその話をしたところ、「え、そうだったの?」と再び驚かれてしまった。つまり、母は妹の死を全く覚えていなかったのである。

そして、この話はその後更に2回ほど伝える機会があったのだけど、都

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姉と私の取組み

母の老人ホームでの面会禁止は、今も継続している。
結局、いつもと異なるお盆となっている。

それでも、姉は私よりは実家近くに住んでおり、昨日墓参りに行き、母の施設にも立ち寄って、必要そうなものを渡すように頼んでくれたとのこと。立派な花が活けられた墓の写真がLINEで送られてくるあたり、今風である。

今年の夏は、新型コロナウイルス対策で今までとは異なる対応が必要である。しかし、会えないなら会えない

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お盆の帰省

新型コロナウイルス感染症の蔓延は、未だ止まらない。母がお世話になっている老人ホームは、今も面会を禁止したままである。

そうこうするうちにお盆の時期になった。しかし、帰省して顔を見せることもままならない。感染した老人の致死率が有意に高い以上、軽々に会わせることはできない。それが元で施設内感染が広がるようなことは、施設としても何としても避けたいだろう。

施設側が母に、このような状況についてどう説明

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訪問と施設入居

年を取って体が思うように動かなくなった時に、介護の申請を決意する。

その際には、自宅に住み続けてスタッフに訪問してもらうのか、或いはスタッフのいる施設に入居するのかを考えなければならない。

先に書いたように、老人は老人を好きではない場合が多い。施設入居となると、周囲は老人ばかりであるし、相部屋であればプライバシーもほとんどない。しかも、初めて会う人ばかりで、最初の気苦労は相当なものである。

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老人ホームは上手に活用

遠隔地の実家で一人暮らしをしていた親が、何かのきっかけでその生活を継続できなくなる。
……いつかは訪れること。

自宅に引き取るという選択肢もあるけれど、
・部屋に余裕がない、
・親の友人知己が誰もいなくなる、
・介護体制を組み上げなければならない、
・具体的に誰が介護をするのか、
等などを考えると、二の足を踏むことになる。

介護離職も頭を掠めるが、後の生活を考えると厳しい。結局、老人ホームにお

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要介護・要支援認定

要介護・要支援認定

何でも自分でできる。それは素晴らしいこと。
しかし、加齢により段々できないことが増えていく。

生活に必要なスキルの発揮が難しくなってきたら、早めに役所の福祉担当課に話を聞きに行く、或いは資料を請求することをお勧めする。これは、親だけじゃなくて、我々自身についても同様(悲しいけど、順番なんです)。

認定(要支援1~要介護5)は、認定調査→コンピュータによる一次判定→介護認定審査会による二次判定を

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【尾籠注意】病院で 食事の後の 阿鼻叫喚

【尾籠注意】病院で 食事の後の 阿鼻叫喚

遠隔介護中の母が、ちょっとした病で入院することとなった。そのお見舞いに行った際に、こぼしていたこと。

神妙な面持ちで母はポツポツと語る。
「病院ってね、食事の時間がビシッと決まっているのよ。そうすると、同じ部屋の人が一斉にご飯を食べることになるでしょ? すると、「その次」のタイミングも重なるのよ」。

そういう発想は、私にはなかった。驚いた顔を見て、母は続けた。
「私みたいに歩ける人は良いけど、

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