リコ・ピン

彷徨エロポップの覚醒生活。考える犬

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最近の記事

真実の嘘

笑顔が昔よりも歪んだ。ふと、人に対してそう思う時がある。久しぶりに会った人間で、ある日を境にに輝きが消えてしまっているような、そういう人である。そういう人は、目と口角、そして横顔で大枠捉えることができる。 過去に輝きに満ち溢れていた人、今目の前にいるあなたは、幾分輝きを失い、未来への希望を一切感じることのできない頬の歪みと大きな毛穴まで携えている。油っぽすぎる皮膚もダメで、サカついて粉が吹いている皮膚も、ダメである。 それとは反対に、身が肌が鶏肉のように引き締まっていて、

    • 後悔について

      埃がうっすらと被った村上春樹の本を、お腹に乗せた夏用のタオルケットで撫でて、またその本と添い寝をする。そういう生活が続いていて、今日25歳になってしまった。 21歳くらいの時までは、人生で後悔をした事は一度もない、と言うのが私の口癖だったように思う。毎日そのように思っていたし、毎日が迸るような好奇心に溢れていて、やたら多くの人間と飲み交わして人生について問いただしたり、どのように金を稼いでいるのか問いただしたり、自分は何も答えを持たずに相手に答えを求めさせていた。 当時は

      • 永遠なんて無いからこそ人生は煌めいて美しい

        永遠などないからこそ人生は 煌めいて美しいものだ

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        • ADHDの手引

          車がUターンをして、路面電車が目の前を通過して、 人々が行き交っている。カラスが道から少し突き出た塀に飛び乗って、降りた。長方形の窓場に住んでいる人が、カーテンをふんわりと揺らぐのをみていた。ベランダには金のなる木と、赤い花が植えてある。道沿いの集合住宅に住んでいるおじさんが、窓を全開に開けて、仰向けに寝そべりながらテレビを見てた。昨日もすれ違った人とすれ違った。犬と犬がすれ違って、道端で吠えてた。私は、ヘッドホンでモーモールルギャバンを聴いて、今日もミスをした自分を思い出し

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          ピーチネクター

          免許証を無くした私は、免許証を再発行するために運転免許センターへ向かった。流石の私でも免許証を紛失するのは初めてのことで不手際の中、冷徹でマニュアルに沿わされる窮屈な運転免許センターへ脚を踏み入れ、免許紛失・盗難窓口へ出向き、手続きを済ます。 そこまで頻繁に来るわけでもない免許センターであるが、こういった施設は何故か必ず混雑しているように思う。今日も混んでいた。免許証を紛失すると、本人を確認するための幾つかの「面接」というものが実施され、自分自身のことであれば簡単に答えられ

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          上野・フィクション

           17:14 この街は歩けば歩くほど物語が垣間見えてしまうため、私は煙草の吸えそうな喫茶店に入った。少々煙草を吸い、文庫本を読み、今日さぼった分の大学の課題を進めようと考えた。次の予定は19:30からだったので幾分か時間があった。王城に入り、端の席も何だかこっ恥ずかしいので入り口から突き当たって真っ直ぐの2人掛け席に腰をかけた。珈琲を飲みたい気分でもあったが、今日は既に2杯も珈琲を飲んでいるので冷静になり、リコリスジンジャーのホットを注文した。テーブルの上に灰皿が無いことに気

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          備忘録:4つの夢

          1.逃亡 体育館から2つの家のベランダを飛んで飛んで、私の家のベランダに到着することができた。全力疾走ものの数秒で。危ない人物が体育館で「何か」をしようとしていた。全校生徒は恐れ慄いていた。私は一番乗りで逃げた。私に気付いたのは1人の男だった。私の大切な男だった。あの男だけは助けたいと思った。まず私だけ家に帰るための最短ルートを見つけた。人の家のベランダに飛び移り、そこからまた人の家のベランダへ。体力を使う。そして私の家の屋根に乗り、ベランダによじ登る。エアコンの室外機が大

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          恋人の秘境に嫉妬している

          私の見たことがないあなた、あなたの見たことがない私。過去には、本人にも分からない事実があったりする。過去は過去、今は今、そう言い聞かせて心を落ち着かせようとするけれど、事実としてしっかりと残っていることは確かだ。 幸せな時間を共有している段階で、居なくなって切なく虚しくもどかしい、なんていう感情が出てくることはない。 しかし私はそんな切なく虚しくもどかしいあなたの未知なる過去に、ほんのすこしだけ嫉妬した。 未来と過去。どちらが残酷かと聞かれたならば、いまの私は過去を選ぶ

          恋人の秘境に嫉妬している

          「時間無制限6500円、安いヘルスだな」

          価値というものは難しいなぁ〜と、そう感じた。夜の街。18時。 映画を見終わり外に出ると、良い意味で小汚いラーメン屋さんの店内が街の暗さでよく見える時間帯になっている。 ◎ 朝食の後の会話 「俺、一度でいいからスッゲェでかいおっぱいを揉みしだきたい」 「なるほどな〜、わかるわかる」 (言わずに揉んでこいよ) 「付き合いたいとかではないよ?でも経験としてさ。女同士ならさ、揉もうとすれば揉めるけど男だとそうにも行かないでしょ」 (は?もう浮気しよ) 「へぇ、

          「時間無制限6500円、安いヘルスだな」

          「ジレンマがよく似合う女」

          生理が終わって、身体的モヤモヤが晴れた。生理後はダイエットに向いているというのはよく聞くので普段より食べる量を減らす努力くらいはしたりするが、今回はちょっと違う。 私はいつも、理屈っぽい男を好きになる。長いこと付き合っていると「こんなつまらない事しか考えられない脳みそしか持ち合わせていなくて可哀想だ」と思う時がある。(私はアウトプットが下手なので考えていることをうまく伝えられず相手に理解してもらえないので馬鹿にされているが、まあ仕方ない)最初は、冷静に物事を捉えられて解決に

          「ジレンマがよく似合う女」

          ナチュラルハイ

          11/4 日曜日 8:04 渋谷スクランブル交差点前。 渋谷駅の高架下の先とハチ公前に人間がちらついているのが見える。 私は左内ポケットの切符を取り出してJRの改札を再入場した。 ここに至るまでに散々なくらいに煙草は吸って、初めてのタイミングを待っていたレッドブルウォッカはお店に残して帰った。 山手線を乗り継いでまた一つ溜息を吐く。 大崎で乗り換えだったよ、と急ぎ足でカップルが下車していくその後ろ髪から生き場の違いを教えてくれたと思う。 流れていく 窓の向こ

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