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真実の嘘

笑顔が昔よりも歪んだ。ふと、人に対してそう思う時がある。久しぶりに会った人間で、ある日を境にに輝きが消えてしまっているような、そういう人である。そういう人は、目と口角、そして横顔で大枠捉えることができる。

過去に輝きに満ち溢れていた人、今目の前にいるあなたは、幾分輝きを失い、未来への希望を一切感じることのできない頬の歪みと大きな毛穴まで携えている。油っぽすぎる皮膚もダメで、サカついて粉が吹いている皮膚も、ダメである。

それとは反対に、身が肌が鶏肉のように引き締まっていて、何かを常に見透かしているような、しかし行儀の悪い輝きを持つ、混沌とした瞳を持つ人は、私や、世間を期待させる事になる。

ふと、ベッドに寝そべりながら、そのような人のことを思い出した。

ふと、横顔を見られる時、自分はその様に思われているのでは無いかと。

私もその様に思われているのではないかと、考え、一層の事、ろくでもない人間に、なってしまいたいと思う時がある。でも、安心して欲しい。本来、人は、ろくでもない人間である。ろくでもない人間の素顔が、時折やる気のない私たちから、垣間見えてしまう時がある。しかしそういうろくでもない顔を常にしていると、事実、ろくでもない人間になってしまう。

幸いにも私の周りには、輝きに溢れた横顔を持つ人間で溢れかえっている。半年に1度しか会わないような、しかし親しい友人や敬意を持つ上目の人間など、特に、私自身が負い目を見る様な化け物ばかりである。しかし、たまに、いるのである。こんな顔だったか?と。こんなに力のない顔であったのか?と。私が疲れているのかもしれないとも考える。違うのだ。その様な人間とは、2回ほど会ってそれ以降、合わなくなるくだりである。

人は嘘を付けなくなるタイミングで、顔色が変わるのだと思っている。

つまり人間は嘘がうまい人間が好きなのである。
嘘が嫌いという人間が、私は一番嫌いである。

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