「時間無制限6500円、安いヘルスだな」
価値というものは難しいなぁ〜と、そう感じた。夜の街。18時。
映画を見終わり外に出ると、良い意味で小汚いラーメン屋さんの店内が街の暗さでよく見える時間帯になっている。
◎
朝食の後の会話
「俺、一度でいいからスッゲェでかいおっぱいを揉みしだきたい」
「なるほどな〜、わかるわかる」
(言わずに揉んでこいよ)
「付き合いたいとかではないよ?でも経験としてさ。女同士ならさ、揉もうとすれば揉めるけど男だとそうにも行かないでしょ」
(は?もう浮気しよ)
「へぇ、じゃあ揉んでくればいいんじゃない?笑」
強がり。
もうこんな人となんて付き合っていないんだ!と己に確信させたかった。
頼むからそんなこと私の前で言わないでおくれと思って実は胸が痛かったがそんなことないヒョンとした表情で、残る洗い物を片した。
結局のところ、男は遺伝子を拡散するため、生殖のためにしか生きていない事を高校生の時に知った。最初は許せなかった。でも許さないと私は死ぬと思った。いずれ許さなければいけないものならばなるべく早い段階で許したいと思った。
それを許すべく、泥沼のリアルに片足を突っ込んでいる状態のまま時が過ぎている。
「君はここにいるべきじゃ無い」
それならお前はなんでここにいるんだ。と思い気付いた時には涙と締め付けられる胸があった。
慶應ボーイは彼女をキャバクラで働かすことが誇りと笑いながら話してきた。
返す言葉を探す気にもならなかったのでファッションヘルスの看板をLINEで送信した。
「6500円、安いヘルスだな!」
深いようで浅いような感情がウヨウヨした。
男というものはやはり馬鹿なんだなぁと街を見て思う。ほんの少しの愛を込めて。さようなら。
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