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「ジレンマがよく似合う女」



生理が終わって、身体的モヤモヤが晴れた。生理後はダイエットに向いているというのはよく聞くので普段より食べる量を減らす努力くらいはしたりするが、今回はちょっと違う。

私はいつも、理屈っぽい男を好きになる。長いこと付き合っていると「こんなつまらない事しか考えられない脳みそしか持ち合わせていなくて可哀想だ」と思う時がある。(私はアウトプットが下手なので考えていることをうまく伝えられず相手に理解してもらえないので馬鹿にされているが、まあ仕方ない)最初は、冷静に物事を捉えられて解決に導けるのでとても羨ましいと思い気付いたら好きになっていた、そんな繰り返しの恋愛人生だ。

私が好きになる男は、私より酒が弱い。私のことを振り返ってくれない男は酒が強いことに最近気がついた限りである。

...とそんなことを考えて、空きっ腹に「NEW 限定 strong zero 林檎ダブル」と「おつまみ昆布 浜風」を買って駅のホームでリーマンに混じりながらグビグビといっている。

胃にスルスルと流れるアルコールを感じる。どこかの会計士が「コンビニのお酒は不純物が入っているから飲まないほうがいいよ」と教えてくれたことを思い出したがもう飲んでしまったから飲み干そうじゃないの。昆布久々に食べたけど磯の匂いがするなぁ。いい男と海を見ながらロマンチックなデートがしたい。...また意味のわからない妄想を繰り広げているのもしょうがない。今日は色々あったんだから。


今日はまともな固形物を食べる気分ではなかったが、高校からの友人の顔を見たら少し食欲が出てきたのでカフェに入り、マロンケーキとフレンチローストコーヒーのケーキセットを頼み話を進めた。

この友人と会うと、人生などの膨大な話からスタートする。会っていない間どういう行動をしてきたかという報告会が気付かぬうちに始まっているので楽しい。

彼女は私と違って無口で内向的。いつも私の事を褒めてくれるが、私は彼女のことを褒め倒しても褒め倒せないくらいに尊敬している。

彼女も論理的で人生を冷静に捉えているが、計画を立てることを嫌うところが私と似ている。集合の予定の時間はあくまで暫定であり、前後しても私たちの中では大した問題ではなく笑顔で再会し抽象的な会話がスタートする。

そんな彼女とは2ヶ月ぶりくらに顔を合わせた。理由は彼女と私の世界観を共有したかったから。



「ほんと彼氏がウザくてさァ〜〜」

「リコピンと会うといつも彼氏と別れたいって言ってるよねぇ」

「確かに」



私は本人に不満を伝えるのが町の中では1番苦手な気がする。正直付き合う彼氏は大体ウザい。ウザいという言い方は良くないが、彼氏は私の中で一種の学校だったりする。私の人生の中で彩りを受ける真逆の思考...それはとても面白く斬新な意見。かといって物事は捉え方次第でぐるりと180度変わることも知っている。


「リコピンはいつも常識人を彼氏にするよね」

「私の中では社会に適合したいと、付き合う時は思うからなんだと思う。でも夢もすぐ冷めちゃうからいつも同じ繰り返しなんだよねェ。」


彼氏のことをウザいウザい言いながら好きという気持ちもあり関係を進めている自分もいるけど、なんだかモヤモヤする関係な気がするし、私は恋愛が向いていない気がしている。


「リコピンはジレンマっていう言葉が良く似合うねぇ」


ジレンマ。

Google先生によると、俗に、相反する二つの事の板ばさみになって、どちらとも決めかねる状態。

葛藤していることは前々から分かっていたが、ジレンマという言葉が私には妙にしっくりきた。

私は常に迷い、常に分岐点に立っている感覚がある。若さ故の感覚だとは思う。右か左か、上か下か立ち止まるか。

その中で異様な存在感を放つのが「彼氏」という人間の存在。わたしはそれに依存して7年くらい経った。



私はジレンマに陥っているようだ。

「好きだし、嫌い。」私の中では良くある感情。

目をつぶって好きでいればいい。

不満に思うことも募るが離れたくない。

人間の感情は単純で難しいことを改めて痛感している。


今日もジレンマは消えずに眠りにつく。

電車に揺られ、終電を乗り過ごしていることに気が付き、酔いが覚めてきた。

ヒールを鳴らし歩き出す。駅員に払う140円は特にどうでもいい。

今日も明日もこれからも無意味にセカセカとした足取りで進んでいく。そして彼らに真実は伝えない。





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