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現代の『うつ』増加理由③ 社会的な共通認識がない!?

2020年8月現在、コロナによる自粛規制の影響もあり、『コロナうつ』にかかる人が増えています。
あなたの周りでも、突然活動が制限されたことで心を病んでしまった人も多いのではないでしょうか?

ですが実はコロナによる自粛以前から、日本では16人に1人が『うつ』になっているという統計データが出ていました。
今日本では『うつ』という病気がかなりメジャーになっているんです!

このマガジンでは、著者が様々な本やメディアから情報収集した中で見つけた「『うつ』が現代に増えている理由」を紹介しています。
本日はその③番目「社会的な共通認識がない!?」という理由をお話しします!


インプットの多様化による共通認識のズレ

みなさんはご自分の意見に自信を持てますか?
胸を張って「私の意見が正しい!」と言えるでしょうか?

例えばですが、あなたが働き方やお金や恋愛感など、人生に大きく関わる命題について後輩にお話ししたとしましょう。
この時返ってくる反応が、大ブーイングだったなんてこともあると思います。
ママ友と話している間に「あれ?ひょっとして私の意見って間違ってる?」なんて困惑することも多いのではないでしょうか?

今世の中には様々な考えが蔓延しています。
そしてそれはここ最近になって起きはじめた現象であり、その原因は至ってシンプルで、「インプットの種類が多くなった」というところにあります。

普段の会話からも「共通認識」は得られにくくなっています。
少し前まではコミュニティが閉鎖されていました。
そのために話題はいつも共通であり、興味や関心、人が良しとする物・悪とする物は自然と共通していっていました。
新聞やテレビしか情報を得る手段がなかった世代、交通などが未だ整備されきっていなかった世代は、話題も共通していたのです。
なぜなら情報のインプット元がある程度共通だったからです。

親の世代に聞いていただけると分かると思いますが、学校に行けば誰しもが前日放送された人気テレビ番組の話題で盛り上がっていたそうです。
インプットが同じということは意見が同じになりやすいということです。

例えばある村にはメディアがテレビしかないとしましょう。
それも坂上忍さんの番組しかやっていません。
その番組で芸能人Aさんのゴシップが紹介され、加えて過去の悪かった行いなども紹介されたとしましょう。
そして番組のコメンテーターは満場一致で「Aさんは本当にダメ!」と発言します。
すると、そのコミュニティでは「Aさんの行動はダメ!」というのが共通言語になります。
もちろん、それでも中には違った考えを持つ人もいるとは思いますが、Aさんのネガティヴな情報・コメンテーターのネガティヴな反応を元に会話がなされるのでおおよそ意見は一致することでしょう。

ここで別のコミュニティを取り上げます。
なんと隣村では加藤浩次さんの番組しか見れません。
その番組ではAさんのゴシップと共にAさんの健全な社会活動が紹介され、コメンテーター達は「Aさんそんなに悪くないよな!」と盛り上がっていました。
当然、その村の多くの人は「Aさん悪くないよね!」という意見で一致します。

さて、ではこの双方の村の住人が顔を合わせてAさんについて話したらどうでしょうか?
おそらく「この人とは考え方が合わないかもな」と感じるでしょう。
「なんでそんな考え方するんだ!」と憤りすら感じるかもしれません。

この様にインプットが同じだと共通の価値観が培われますし、インプットが違えば小さなすれ違いが生じ、理解するのは困難になります。

よく「最近は近所の付き合いが失われた」とか「昔は地域のみんなで協力していた」と嘆く方がいます。
ですがそれは人間が冷たくなったとか、文化が失われたという理由ではないのではないでしょうか?
あくまで共通のインプットが失われたために共有の価値観が成り立たず、コミュニケーションが困難になってきたということではないでしょうか。

インプットの多様化により、意見の相違も多くなりました。
例えばコロナに対する考え方は、十数年前ならより統制が取れていたことでしょう。
なぜなら、情報のインプット元が限られていたからです。
テレビや新聞でコメンテーターが「危険だ!家から出たら死にます!」と言っていたら、多くの人は出なかったでしょう。
ですが現代ではコロナに対する考え方を、ある人は細菌学者のブログから、ある人は経済学者の動画から、ある人は地方の有力者のSNSから、といったように、視点も立場も違った人達から取得します。
ここには当然、それぞれの立場から見たリスクや知識が介入し、意見はバラけます。

「コロナ対策はインフルエンザ対策で十分だ」
「経済を主軸に考えなければ、コロナ対策で国が滅ぶ」
「この県の対策は万全だから各家庭はそのままで大丈夫!」

などなど、インプットの違いから個々の行動や意見も変わってしまうために、統制をとるのは大変難しくなっています。


今日、情報のインプット元は共通ではなくなりました。
学校や職場で語られる話題や、その話題に対する課題感・意見・感想は共通ではなくなったのです。

しかしこうした中でも、まだ社会は前時代と同様にみんなで同じ意見を持とうとしたり、意見が違うことを批判したりといったことが日常的に起きています。
そうなると誰かが我慢して従わなければいけません。
そもそも意見の多様化が起きていて、あなたの正解が他の人に合っていなくても強要すべきではない、というこれからの時代の考え方をしていくべきなのに、その構え方はまだ浸透しきっていません。
そのために「我慢強い」「真面目」「誠実」「優しい」といった「うつ」の被害にあいやすいとされる特性の持ち主が、そのシワ寄せを受けていると考えるのは自然なことといえます。


満足感の多様化による共通認識のズレ

また『満足』についての共通認識も失われています。
「家を持つ」「高級車を買う」「結婚する」「出世する」
こうしたマイルストーンを踏むことで、少なからず人々は満足感を得ていました。
こうした共通認識としての『満足感』は「自分は成功したぞ」という承認欲求を満たす行為でもありました。
一昔前までは共通認識としての『満足感』を手にする事により一種の安心感・優越感も得る事が出来ていましたが、現在では価値観やライフスタイルが多様化した事により、『満足感』の定義が分かりづらくなっています。

驚くべきことですが、一世代上の人々は報酬を「もの」で与えたがります。
未だに結婚式の引き出物などの文化も継承されていますが、「いらない」という意見が大変多いですよね。
つまり、高度経済成長期の「モノを手にする」という共通の『満足感』はもはや成り立たず、それぞれに満足感が違う時代に来ています。

現に物を持たない『ミニマリスト』という人々が増えていますが、これは『物を手に入れる』という事が満足感に直結しなくなった確固たる証拠になります。
つまり、「これをしたらみんな嬉しいよね」という共通言語は失われつつあり、集団での統制を取ることが難しくなっているのです。
ある人の満足感を満たすと、ある人が納得がいかないといった、非常に難しい時代になりつつあります。

大切なのは個々の満足感に合わせて選択できる環境を作ることです。
ある人は昇進で給料をあげてほしいかも知れないですが、ある人は責務が多くなるくらいなら昇進したくありません。
給料はいらないから休みを多くしてほしいという人もいるでしょう。
昇進しなくていいから子供の送り迎えをする時間を確保してほしいかもしれません。

これだけ満足感に対する共通認識が崩れているのに、社会は以前の共通した満足感を前提に進み続けています。
これは人々の間に慢性的なストレスを生みます。

一生懸命働いているけど、お金をたくさん欲しいわけじゃない。
じゃあなんで頑張っているんだろう。
Aさんはこうしようというけど、私はこうしたい。
我慢するしかないのだろうか。

こういった小さなストレスを抱え続けていることは「うつ」を引き起こす十分な素材になるのではないでしょうか。


ライフスタイルの多様化による共通認識のズレ

加えてライフスタイルも多様化しました。
朝起きて働き夜帰ってくる、という共通の図式は崩れ、本当に多種多様なライフスタイルが存在します。
近年、ご近所付き合いなどが困難になりつつあるのは、こうした価値観の多様化やライフスタイルの多様化が進んだためではないでしょうか?

現に以前僕が働いていた会社では始業時間が10時と遅かったのですが、これはプログラマーに夜型の人が多いからです。
ですが朝方の人は早めに出社していました。
ところが、夜型の方はそれでも出社が辛くお昼頃ようやく出社する方も多くいました。
なので必然的にミーティングなどは夜になり、結果朝方の人は早く出社したのに14時間労働を余儀なくされたりも多々ありました。
遅く出社される方に出社時間を守ってほしいところですが、彼等は夜型なので、お昼過ぎから働きはじめ、2時3時くらいまで働いているのです。
彼らがベストに働ける時間がそこなのですから、こちらに合わせろと声を大にすることも叶いません。

また家庭を持っている方も、お昼過ぎに出社する方がいました。
子供の送り迎えや、通院などをさせていたら仕方のない方です。
一方で家事を担当されている方は夕方に帰ります。

昔でしたら
「家事は専業主婦に任せておけ」
「家庭を言い訳にするな」

などと言えたかもしれないですが、現代では文化の進歩により女性の生活も尊重されてきたと共に、経済的にも夫婦が協力して仕事や家事を分担しなければなりません。

この様に働く内容や家庭での責務が変化してきた現代では、働き方や家にいる時間なども多種多様です。

そんな中で
「(朝はみんな起きているから)朝7時にゴミ出し場の掃除をします」
「(夜はみんな仕事がないから)夜8時から町内会をします」
「(エンジニアはみんな夜型だから)出社時間を遅くします」
「(男性は育児をしないから)夕方からミーティングします」

などなど、それぞれのライフスタイルを無視した仕組みでは、今後更にライフスタイルが多様化する中で苦労する方が増えていってしまうのは必然です。

つまり、ライフスタイルにおける「共通認識(夜は仕事がない、男性は育児をしない、オフィスには出社するもの、など)」はもはや成立しなくなりつつあります。
今後、よりライフスタイルに共通認識などなくなっていくのです。

つまり、それぞれのライフスタイルを尊重した新しい仕組み作りが急務なのに、その整備がまだ行き届いていないのが現実です。
そのために、過去の慣習や既存の仕組みに無理やり合わせなければならない方が増えてしまっているのです。

自分のライフスタイルが世の中の仕組みに合わないため、小さな心労が少しずつ溜まってしまい、気がついたら『うつ』になっていた、という方も多くいるのではないでしょうか。


共通認識のズレが『うつ』を生む??

前述してきた通り、現代において「共通認識」を持つことは非常に難しくなってきています。
もはや社会は「それぞれが違う意見をもっていていいよね」という前提のもと構成されるべきであるのに、時代が追いつかずまだそのフェーズに至っていません。

現代社会は、それぞれに違った意見やライフスタイルを持つ事が当たり前になりつつあるのに、今までの慣習や常識から逃れられず皆が苦しんでいるような状態にあります。
特に年齢層が上がれば上がるほど「その考え方はおかしい」という疑念を抱きやすく、若年層の辛さを理解することが困難な傾向にあるため、職場などでは理解を得られず苦しむ方も多くいることでしょう。
そのため、少数派の方や『うつ』被害にあいやすい特性の方が我慢を強いられるようなシーンが多くなってしまっています。
この小さな不安とストレスの積み重ねが、少しずつ『うつ』を招いている可能性も十分あるのではないでしょうか?


じゃあ、どうすればいいの??

さて、ではこの様に共通認識が得られない今、私達はどのように暮らしていけば良いのでしょうか。

ひとつはみんなで認識を改めていかなければなりません。
それぞれの価値観が存在していること、それぞれのライフスタイルがあること、そして常識や集団を大切にする日本人として、それが難しくなってきた今、どの様に変化していくべきかを考えていかなければならないのです。

そして自分達で出来る事としては、少数派でも自分の意見を発言していくこと。
これに関してはちょっとしたコツがあるので、別の記事でお話しできたらと思います。

また、一人一人が選択することも大切になってきています。
『選択』とは怖いものです。私たちの脳はできる限り選択せずに済む事を好みます。
ですが、もう一度立ち止まって自分にとって何が最良なのか考え、選択しましょう。
僕は長年生きづらくて苦しんできました。
ですが、そんな日々が最も簡単に変わりました。それは『選択』したからです。
それまで何となく流れに乗ってきましたが自分の価値観やライフスタイルに合っていなかったのに『選択』を怠っていたのです。
『選択』といっても、日々忙しい中、またリスクもある中でどう選んでいけば良いのか分からないと思います。
その辺りのお話も、是非他の機会でさせて頂きます!


僕は専門家でも医者でもないので、まだ知識的に至らない部分もありますし、考えもまとまっていません。
ですが、『うつ』で苦しむ方が根本的に少なくなるよう、考えられる事・できる事を今後も伝えていけたらと思います!

次回はマガジン4回目「現代の『うつ』増加理由④ 無防備な時間がない!?」という記事でお会いしましょう🙌

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