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実は素晴らしい! 『うつ』の持つメリット

突然ですが、あなたの周りに『うつ』にかかった方はいますか?
おそらく1人は必ず思い浮かぶのではないでしょうか。
そしてなんだか暗い気持ちになったり、哀れみを覚えたりすると思います。

「かわいそう...」
「きっと心が弱いんだな...」
「残念だな...」

『うつ』の人と対面した時感じるのは、そういった気持ちなのではないでしょうか?

もしあなた自身が『うつ』にかかっていたり、身近な人がかかっていたら、憂鬱な気持ちで日々過ごしていると思います。

ですが僕が今彼らに思うのは

「よかったかもしれないぞ!」

という気持ちです!

・・・

今や20才以上の10人に1人は『うつ』を経験していると言われています。(H14. 厚生労働省調べ)
あなた自身やあなたの身近な人が『うつ』になってもなんら不思議のない時代です。

「なぜ『うつ』になる人がこんなに多いの?」
「『うつ』になるのは本人の心の問題だけではない!」

というお話も是非したいのですが、それはまた別の機会にさせて頂こうと思います。

私達が今『うつ』に対して感じるのは「ネガティブ」なイメージですよね。。。
『うつ』になんてならないのが一番。。。
そしてなってしまったら、ずっと憂鬱が続くように思うのではないでしょうか?

身近に『うつ』になった方がいる人は分かると思いますが、すごく心配になりますよね?
本人から生気が感じられないというか、目を離したらいなくなってしまいそうな雰囲気を感じると思います。

『うつ』の人と関わると、関わった人も暗い気持ちになってしまいがちです、、、
言い知れぬ不安や、助けてあげたいのに何もしてあげられない無力感に襲われることもあると思います。

・・・

でも『うつ』に対して希望が持てたらどうでしょうか?
もっと明るい気持ちで『うつ』の人を見守れたら、もっと前向きな気持ちで『うつ』を受け入れられたら、今よりずっと気楽に日々を送れると思いませんか?
もしあなたが『うつ』になっている最中だとしたら、少しだけ未来が楽しみになるかもしれません!

・・・

僕は『うつ』を経験しましたが、今となっては本当に『うつ』に感謝しています。
『うつ』を経験しなかった人生を思うと、ゾッとするくらいですw

僕は周りから「明るくて前向きな人間」と思われていますが、実際は「根暗でネガティブな人間」ですw
そんな僕が『うつ』を経験し、今では『うつ』に感謝しています。

今日はそんな僕が「『うつ』を経験して感じたメリット」を少しお話しできたらと思います。
読み終わる頃に『うつ』というものに対して少し楽観的になっていただけたら幸いです!



『うつ』がもたらすメリット

もしあなたが今『うつ』を患っているなら、あなたの身近な人が『うつ』にかかっているなら、びっくりする位のチャンスだと思ってください。
冒頭にも少し触れましたが、『うつ』になってしまうのは「その人が弱いから」ではないと思います!

僕自身『うつ』になって気付きましたが、『うつ』になるのは環境や生活・人間関係・自分のあり方などが健全にマッチしていないからではないでしょうか?

・・・

私達は生きていくために色々な物を我慢し、騙し、合わせ、気がついたらいつの間にか疲弊しきっています。
もし僕が『うつ』になっていなかったら、その事にすら気づかずに人生を送っていたと思います。本当に恐ろしいですw

つまり、『うつ』は危険信号です!
『うつ』は

「何かが違うぞ!」
「何かが君に合っていないぞ!」
「何か改善すべきだぞ!」

と知らせてくれています。
社会とうまく付き合って生きている人ほど『うつ』にでもかからない限り、そんな事にすら気づけないのです。

今あなたが『うつ』になったなら、身近な人が『うつ』になったなら、より良い人生にする転機が訪れたと思って良いと思います。
なぜなら『うつ』に向き合い乗り越えることは様々なメリットをもたらすからです。
気弱でネガティブな僕が経験したのだから間違いありませんw

・・・

以下に『うつ』がもたらすメリットをいくつか紹介します。
いずれも日々忙しく生きていたら気づかないこと、『うつ』にでもならない限り変えられない事ばかりです。
このメリットを知って、是非、『うつ』と前向きに付き合ってみてください!



1. 自分に自信を持てる

一つ目から「えっ!なんで!!」と思ったと思いますw
『うつ』になり、何も手につかなくなって日々人に迷惑をかけ、場合によっては世話をされる状態なのに、「なんで自信が持てるの?」と感じたのではないでしょうか。
確かに『うつ』を発症すると、多くの人は自信を喪失してしまうことになります。

ーーー 僕は『うつ』にかかっていた当初、自己嫌悪に陥っていました。
当初といっても『うつ』にかかっている間はそんなことすら考えられなかったので、生活が元に戻ってきた頃に強く感じました。
「よし、これからまた頑張ろう」と少し元気が出てきて物事を考えることが出来るようになったと思ったら、この自己嫌悪に苛まれるのです。

・・・

ですがちょっと考えてみてください。
『うつ』というのは、大きなストレスを抱えたり、生活習慣が崩れることでなることが多い病気です。
つまり、

・大きなストレスが体に影響をきたすほど強くなるまで我慢していた
・生活習慣が崩れるほど何かに責任感を持って頑張っていた

ということです。
そう考えると『うつ』になる人に真面目な人、責任感の強い人が多いと言われるのも肯けますよね。

何が言いたいかというと、『うつ』になる人は人よりも我慢強く、真面目で、繊細で、責任感が強い傾向にあるということです。
よく「『うつ』になる人は心が弱いんだ」と言う方がいらっしゃいます。
僕はむしろ逆だと思います。
心が強すぎるからなるのだと思います。

・・・

いつも弱音を吐いて、いつもネガティブな人が『うつ』にかかったのをみて、人々は

「あぁ、やっぱり心が弱いんだな」

と思うかもしれません。
ですがそれは違うと思います。
責任感からやりたく無い事までやってしまうから弱音を吐き、繊細な心の持ち主だからネガティブな思想を持っているのです。
そんな方が、この荒々しい社会や強引な人々に『うつ』になるまで合わせて過ごしていたと思うと、「すごい!」と思いませんか?

・・・

上記では弱音を吐いたりネガティブな思想を持っている人を例に出しましたが、『うつ』になる人にはそれぞれ他の人にはない強い特性があると思います。そして、そうした特性を持っているからこそ、そうした特性が社会にマッチしづらいからこそなってしまうのだと、僕は気付きました。

これは自信を持つべき事です。

もちろん、悲観的に感じすぎていたり、自分を卑下しすぎていたり、環境を変える努力を怠っていたりと、改善すべき点もあることでしょう。
ですが、根本に人より優れた特性があることに、まず自信を持ってよいと思います。

・・・

もし、あなたが今『うつ』にかかっているご本人であれば、いつか素直に自分に自信が持てる日が訪れるのを楽しみにしてください。
『うつ』になったことをきっかけに、自分に自信がもたらされる日が必ずきます。
身近な人が『うつ』になっていたら

「ひょっとしてこの人ものすごい我慢していたのかも?」

という視点を持ってあげてください。

「この人は弱いのかな、大丈夫かな」

という心配な気持ちで見守るのではなく、

「自信を持っていいんだよ、めっちゃ頑張ったんだね!」

という気持ちで見守れたら、より安心した気持ちで接することが出来ると思います。



2. 自分を見直すきっかけになる

『うつ』になると、嫌でもそれまでの自分と隔離されます。
「自分という像」からも隔離されますし、「自分がいる環境」からも隔離されます。どういうことかというと、『うつ』になるとそれまでの自分ではいられなくなるのです。
例えば「いつも笑顔な人」「優しい人」「芯の強い人」など、人の性格には傾向があると思いますが、『うつ』は人をアンバランスにします。

ーーー 僕自身、『うつ』の間は全てがどうでもよくなり、何も考えられなくなっていました。自分を保つことなど到底無理で、自分がすっぽりそのままいなくなった感じです。

環境もそうです。
毎日顔を出していた環境、友人との語らいの場、趣味の場など、自分を形成していた環境からも隔離されます。

ーーー 僕の場合は実家でただひたすら寝ていたので「家庭」という環境の中に身を置いていたわけですが、当時は家庭のことを考える余力もなく、ただそこに横たわっていただけでした。
実家にいながらも、家庭という環境からすら切り離されていたように思います。

・・・

そうした中で、『うつ』が軽減され考える余力が出てくると、自分と向き合う時間が多くできます。というか、自分と向き合うことくらいしかやる事がないといった感じでしょうか。
これはすごく良い機会でした。

普段生活していると、自分というものを信じ切っています。

「自分ってどんなだっけ?」

と、自分という人物像を疑うことなどまずありません。
また、日々の暮らしでは様々な環境に身を置くことになります。
私達はその中でおよそ無意識に、自然に、自分という役をまっとうしています。そしてそれが

・本当に自分らしいか
・自分が望んでいるか

などは考えつきもしません。
仮に無理してその役割を演じていたとしても、ほとんどの人は気づきもしないのです。

『うつ』はこうした「自分」という人物について考える時間や機会を与えてくれます。

・・・

元の生活に戻るということは、元の自分に戻るということです。
その過程で、

・何が自分を形成していたのか
・どんなシーンで無理な自分を演じていたのか

などが分かるようになったりします。

ーーー 僕は復帰後、以前より自分を素直に表現できるようになりました。
以前だったら疑うこともなくやっていた事や顔を出していた会合も、今では自分が望んでいるのか・周りの為に演じすぎていないか、などを考えるようになりました。

・・・

「一皮剝ける」という言葉がありますが、これはまさに脱皮のようです。
まず『個人』があります。
やがて社会に属し、『個人』から脱皮して『社会の中の個人』という像を形成していきます。
『うつ』はそのもう一歩先の形に脱皮する良い機会となりえます。

『社会の中の個人』を『個人』が納得できているか

という視点を与えてくれるのです。

・・・

こうした視点は、普段の生活に身を置いている状態ではなかなか持つ事ができません。
『うつ』になってしまったことは、脱皮するチャンスです。
自分と向きあうという事には辛さも伴うもかもしれませんが、自分を見つめ直すまたとない機会になります。
もしあたなが『うつ』を患っている当人でならば、焦らずにその時間と気力が訪れるのを待っていただきたいです。

もしあなたの周りに『うつ』の方がいたら

「早く元に戻って欲しい」

というより、

「じっくり自分を納得させて欲しい」

と思ってあげてください。
そして元の環境に戻ることを考えた時、もし当人が辛そうであれば「自分を納得させている最中なんだな」と優しく見守ってあげてください。
きっと元気になった時、その方は以前より素直で深みのある人になっているはずです。



3. 環境を変えるきっかけになる

『うつ』にかかると、それまで属していた環境から一時身を引く事になると思います。

そして、当人が『うつ』から復帰する際

・それまで属していた環境が本人を受け入れてくれるか
・本人がそれまで属していた環境に戻りたいか
・本人はそれまで属していた環境に戻るべきなのか

という問いに直面します。

・・・

もし属していた環境が受けれてくれなかった場合、本人はすごく悲しい気持ちになり、落ち込むかもしれません。

でもよく考えてみてください。
『うつ』を経験したあとでさえ求めてくれる環境こそ、本人が求められている環境です。
時と場合により本人が不要になるような環境なら、そこは戻るべき環境ではないのではないでしょうか?

もっといえば、本人が真の意味で求められていた環境ではないから『うつ』になったとも捉えられます。
もし本人が求められている環境であれば、業績や体裁よりも本人の健康が尊重されるはずです。

つまり、もし属していた環境が本人を拒んだのであれば、それは良い兆候(はっきりと本人の居場所でないことが分かった)といえないでしょうか?
もちろん、仲良かった人々と離れるのは辛いかもしれませんし、自分は不要だったんだ、という事実は辛いかもしれません。
ですが、仲良かった人々とは繋がっていようと思えば繋がっていれますし、その環境が本人を不要としていただけで、世の中には必要としてくれる環境がたくさんあることを知る良い機会になることでしょう。

・・・

また、本人がそれまで属していた環境に戻りたいか、ということを考えるきっかけになるのも良いことです。
責務に追われて日々を過ごしていると、その環境に自分が合っているのかどうかなど考えている暇はありません。
お金を稼ぐため、関係を保つために日々必死で過ごしていくのがやっとです。
『うつ』を経験し、少なからず暇をもらう事になると、いやでも復帰する際に

「自分は本当に戻りたいのか?」

ということについて考えると思います。
これはすごく良い機会です。

ーーー 僕の周りには『うつ』を経験した友人が何人かいますが、復帰後に職場やコミュニティを変えた人が多いです。
そして、環境を変えた人はこぞって皆生き生きとしています。
『うつ』から復帰することを環境を変える機会にし、自分にとって最適な環境を見つけたのだと思います。

・・・

もちろん環境を変えない人もいます。

ーーー 僕もその一人で、『うつ』から復帰する際に早く元の環境に戻りたいと素直に思えたので、すんなりと戻ることができました。
しかし、漠然と戻ったわけではなく、「早くこれをしたい!」「早くこういう人に会いたい!」という強い衝動がありました。

「それまで属していた環境に戻りたい」という気持ちには、強くその理由が伴います。
なぜなら元の環境に戻る際には

「また繰り返してしまったら迷惑かも…」
「受け入れてもらえなかったらどうしよう…」

といった不安が伴うからです。
それすらも圧倒するほどの理由があるとしたら、当人にとってどんな環境が好ましいのかを再認識できる良い機会となります。

・・・

そして、元の環境に受け入れられる・受け入れられない、戻りたい・戻りたくないという問いとは別に

・自分は元々属していた環境に戻るべきなのか

という問いも浮かびます。
「今後の人生を考えたときに戻るべきなのだろうか」という、根本的な問いが思い浮かぶことでしょう。

もちろん、健全に暮らしていたとしても、時折「この環境にいて良いのだろうか?」という問いが浮かぶこともあります。ですが『うつ』を経験すると、より考えざるを得ない状況になります。
なぜなら『うつ』を経験してから元の環境に戻るということは、大きいストレスである上に時間も要するからです。
そして考える時間はたっぷりあります
前述もしましたが、『うつ』は自分を見直すきっかけにもなります。
それまで属していた環境に戻る事が当人にとって最善なのか、『うつ』は普段の生活に身を置いていた頃とは違った視点で考える貴重な機会を与えてくれます。



4. 生活を変えるきっかけになる

『うつ』の原因は

『生活習慣の乱れ』

が深く関わっていると言われています。
『うつ』から逃れる最も簡潔な対応策は

『生活習慣を整える事』

と言っても過言ではないかもしれません。

・・・

ですが、日々忙しく暮らしていると、そんな事に気を使っているまもなく、いつの間にか乱れた生活習慣になってしまっている事がよくあります。

・昔は早起きだったのにいつの間にか朝が苦手になり、寝坊するようになってしまった
・食事は一日2回で、しかもあまり摂っていないのに、なぜか太ってしまっている

など、気がつけば昔保っていた健康的な生活習慣が維持できなくなっている人も多いのではないでしょうか?

・・・

『うつ』になると、起きたり動いたりといった事さえ困難になります。
症状にもよるとは思いますが、『うつ』を発症した多くの人はこうした活動を起こす気力が通常に比べてかなり低くなります。
これは

生活習慣の乱れからホルモンバランスが崩れ自律神経がおかしくなっているために、神経伝達物質が正しく分泌されないのが原因

だとされています。
つまり『生活習慣を整え、神経伝達物質の分泌を正常に戻す』ということが一つの目標になります。

『うつ』ではない人、例えば「睡眠がうまくとれない」「食欲がない」など、他の症状を持つ人にも言えることですが、生活習慣を整えることで神経伝達物質の分泌が健全な状態に戻り、それに伴って症状も改善する、ということは往々にしてあるようです。

・・・

『うつ』になるとドクターに少しずつ正常な生活習慣を送ることを進められます。場合によっては、まず活動できるようにするため、神経伝達物質の分泌を促す薬が処方されることもあります。

そしてある程度元気が出てくると、仕事や環境に縛られないこの『うつ』の期間が、自分にとって最適な生活習慣を取り戻すのにうってつけの期間となるのです。

『うつ』状態の真っ只中にあると、正常な生活習慣を送ることはなかなか難しいですが、それでも少しずつ家族に助けてもらったり、心がけたりしていると少しずつ調子が戻ってくるのを感じるかと思います。

・・・

また、嬉しいことに『うつ』になっている人が正常な生活習慣を実践した場合、普通に暮らす人よりも「なんか調子がよくなったな」という感覚を感じやすいです。
なぜなら『うつ』にかかっていると、非常にアンバランスな状態にあるからです。少しの改善が大きな変化とその実感をもたらします。

認知行動療法が示すように、人は成功体験をすると物事を続けやすくなります。
つまり

『うつ』から元気になる過程で正常な生活習慣を取り戻せると、「調子がよくなった」という体験をしっかり認識できるので、それ以後も正常な生活習慣を続けやすい

ということです。
『うつ』になったことで、その後の人生が以前よりも活力に満ちたものになるかもしれないと思うと、少しワクワクしませんか?

・・・

もし身近な人が『うつ』になってしまっているようであれば、本人の無理のない範囲で正常な生活習慣に戻りやすくなるよう、気遣ってみてあげてください。

ーーー 僕の母などは、日光の入る場所に布団をしいてくれ、ほとんど食べないとしても毎日しっかりご飯を用意してくれていました。
そして調子の良い日には、祖母の家など何もしなくても安心できる場所に連れ出してくれていました。

大切なのは

「普段の生活に戻してあげる」

のではなく、

「普段の生活に戻りやすい環境を用意しておいてあげる」

ことです。
辛抱強く、そして気楽な気持ちで見守っていてあげれば、きっと少しずつ気力を取り戻してくれることと思います。



5. 大切な人・物が見えてくる

『うつ』になると、普段の自分ではいられなくなります
というか、知らない間に自分がすっぽり抜け落ちているような感じかもしれません。
なのでいつも通りコミュニケーションをとることが困難になり、人間関係に亀裂が入ることもあり得ます。

ーーー 僕は『うつ』になり、少なからず友人を無くしました。
それは僕の挙動がおかしくなったからかもしれないですし、連絡を取らない期間が長かったからかもしれません。

ですが、そのような状態にあっても友好関係が続く人たちがいます。
その人達は、

あなたがどんな状態であっても、どんな立場であっても、きっとあなたを見捨てることなく友人でいてくれる

人達です。
そうした大切にすべき人達がいることを『うつ』は気づかせてくれます

まるでふるいにかけるように思うかもしれないですが、これはとても貴重な経験だと思います。
『うつ』から復帰すると、そうした人達への感謝は今まで以上に溢れます。
自分にとって大切な人達がはっきりとし、元気になると今度は何かあったら自分が助けてあげようという気持ちになります。

・・・

とかく「人脈が大切だ」と言われる現代で、私達が関係を持つ人は日々多くなっていきます。
ですが、その全ての人を大切にすることは叶いませんし、全ての人に大切にしてもらうことも叶いません。
ですが、自分のことを見捨てずにいてくれる人がいることに気づくと、そんなことはどうでも良いのだと気づかされます

・・・

また物事についても大切であるかどうか分かってきます。
『うつ』状態にある時は気力が失せています。
普段だったら心が踊るような物や楽しめる事にさえ、心が反応しなくなります。

ーーー 僕は楽器を弾くのが好きで、『うつ』になるまでは毎日必ず触っていましたし、触ると自然に手が動きました。
ですが『うつ』の状態で楽器を手にした時まったく何も弾く事ができず、その時初めて「あぁ、自分は『うつ』の状態なんだ」と実感しました。

それでもなお興味が向く物や、心が動かないのが不甲斐なく思える物事というのは、当人にとって本当に大切な物です。
当たり前のように使っていたクッションが恋しくなったり、普段使っているお箸じゃなくては気が済まなくなったり、自分にとって大切な物が自ずと見えてきます。

物事に囲まれ暮らしている中で、本当に自分にとって大切な物は気力が失せても僅かな輝きを放ちます。
その物事を楽しめないことや、受け入れられない自分の状態が、ものすごく残念に思えるのです。
『うつ』は当人から多くのものを奪ってしまいますが、同時に

改めて大切なものを気づかせてくれる素敵な期間にもなり得る

のです。



6. パラダイムシフトが起きる

ここまで、僕が感じたメリットをいくつか紹介しました。
どれも個人の根底に関わる事ばかりだったかと思います。
この通り、前向きに捉えると

『うつ』は自分という人間や人生・生活について再認識する重要な機会

を与えてくれます。
幸いにも僕にはサポートしてくれる家族や友人がおり、その中でじっくりと様々なことを考える事ができました。

今日、僕は心から『うつ』に感謝しています。

なぜなら、『うつ』を経験したことで僕にパラダイムシフトが起きたからです。パラダイムシフトとは、それまで考えていた常識や価値観が大きく変化してしまうことです。

ーーー 僕は『うつ』以前と以後で考え方や世界の見方が全く変わりました。自分にとって大切な物や人が以前よりもよくわかり、自分にとって価値のあるものが変化しました。
以前に比べて毎日が過ごしやすく、心配事やストレスも減りました。
減ったというより、僕自身の常識や価値観が変わったことで、そんなことはどうでも良くなったのだと思います。

・・・

もし僕が『うつ』を経験していなかったら、自分や自分を取り巻く環境・生活に一切の疑念を抱くこともなく、ただ日々に追われ必死に歳をとっていたと思います。
そして心配事やストレスを抱え、毎日辛抱して生きていたと思います。

人は命を脅かされたり『うつ』のように個人を無くしてしまうような強烈な体験をしない限り、価値観が変わるということはあまり無いと思います。
自分自身や自分が属する環境から一旦離れて、自分の価値観や人生について改めてゆっくり考えることはなかなかできることではありません。

『うつ』を患った人に訪れるこの特殊な期間は、当人にパラダイムシフトを起こすほど貴重な体験になり得る可能性を秘めているのです。

ーーー 少し前に、交通事故で死を目前にした友人から「あれ以来全く考え方が変わった、今では事故にあってよかったとさえ思っている」という話を聞きました。その話を聞いた時、「あぁ、僕が『うつ』に対して思う気持ちと同じだな」と感じました。

『うつ』になってしまった当人はもちろんのこと、身近な人が『うつ』になってしまった方々も、辛く憂鬱な気持ちで日々を過ごしているかと思います。
出来ることなら避けたかった事態かもしれません。
ですが、前向きに考えてみてください。
人の根本を揺るがすような貴重な体験が、これから起ころうとしているのかもしれないのです。

いつかその日が訪れ、その日を境に人生が豊かになるのを信じて、楽しみに日々を過ごしてみてください。



結び: 『うつ』 だからって暗くなることはない。

『うつ』という病気は非常に厄介です。
別の機会にまた記事を書こうと思いますが、一言に『うつ』といっても様々な症状があります
そして、どれも非常に治しづらく繰り返してしまうのも厄介な点です。

僕自身、今でも気持ちには波があり、元気な時もあれば意気消沈している時もあります。
ですが、それでも未だ『うつ』が再発症していないのは、心掛けている習慣があったり『うつ』に対してネガティブな気持ちが無いからだと思います。
この習慣なども少しずつ紹介していけたらと思いますが、まずは『うつ』に対して過剰に悲観的にならないで頂きたく、この文章を書きました。

・・・

僕の友人で『うつ』から上手く復帰した人達は、皆同じように『うつ』であったことに対してあまりネガティブな気持ちを持っていないように思います。
不思議なことに、こうした友人達は『うつ』のことを話す時、まるで『うつ』になったのが当前だったかのように淡々と話します。

逆に、以前勤めていた会社の同僚で『うつ』から復帰後もどこか釈然としない様子で過ごしていた人は、また『うつ』に呼び出しを食らってしまったようでした。

僕は医師ではないのではっきりとは言えませんが、どうやら『うつ』を友人として迎えることは、その後の復帰にすごく大切なことのようです。
なので、是非『うつ』に対して悲観的になりすぎず、大切なことに気づく為の友人くらいに思ってみてください。

・・・

『うつ』は病気です。
ですが、「病気だから仕方ないんだ」と思わないでください。
前述しましたが、僕は

『うつ』の原因は「当人」ではない

と思っています。

「当人の価値観や性格に、当人の過ごす環境や社会・習慣があっていない」のが原因

だと思っています。
このことで過度なストレスがかかったり、生活習慣の乱れを余儀なくされるから発症するのだと思います。
僕はパラダイムシフトが起こったことにより自分にあった環境や習慣に気付き、その環境や習慣を『うつ』がもたらしてくれた機会によって再構築することができたので、今でも楽しく日々を過ごせているのだと思います。

つまり、

「病気だからかかってしまったものは治るまで仕方ない」

と思うのではなく

「今送っている人生や生活・過ごしている環境に何か問題があるんだ、気づかないと治らないんだ」

と思ってみてください。

もちろん『うつ』真っ只中にいるとそんなことは考えられません。
まずは少しでも元気を取り戻して、生活習慣を少しずつ取り戻すことが第一だと思います。
その後で、元気が少し戻ってきたら是非上記のように考えてみてください。

周りの人は、

「あなたが悪いんじゃない、あなたの過ごし方や環境が悪いのかも」

と考えてあげてください。
難しいですし、時間もかかると思いますが、そう考え始めると自ずとここまで紹介したメリット達が顔を出すと思います。

・・・

もう一度念を押しますねw
あなたが悪いから『うつ』になったんじゃありません。
あなたが過ごす世界・社会が、何かあなたに合っていないから『うつ』が知らせてくれたんです。

・・・

僕も今後、また『うつ』にかかるかもしれません。何が起こるか分からないので、かからないとは断言できません。
ですが、『うつ』にかかってもまた元気になる自信があります。
それどころか、もし『うつ』になったらまた新しい気づきがあるに違いないとさえ思っています。

正直にいって、本当に僕は弱いです。
そんじゃそこらの人よりもずっとネガティブで根暗で卑屈で、気弱で自己肯定感が低い自信があります!笑

ですがそんな僕が、今や自分に誇りと自信を持ち、『うつ』に感謝すらしています。上述した「ネガティブで根暗で卑屈で、気弱で自分勝手な自分」がすごく貴重で重要だと思えています。
これらの特性は、僕に独自の感性や思慮深さを与えてくれているからです。

こんな僕ですらそう思えるのですから、もしあなたが『うつ』で無気力だとしても、あたなの身近な人が『うつ』に苦しめられていたとしても、絶対いつの日か同じように思える日がくると思います。
それどころか、前にもまして自分を愛し、世界を愛せる人になれると思います。

・・・

『うつ』は容赦なく大切なものを奪います。
時間もお金も、友人関係も信頼も、自信も愛情も、居場所も安心も、『うつ』は無慈悲に取り上げていきます。
ですが、

そうまでしないと気づけない何かを『うつ』は知らせてくれようとしている

はずです。
是非、「『うつ』にもメリットがあるんだ!いつかそれを享受できるんだ!」と前向きに過ごしてみてください。

・・・

『うつ』を厄介者扱いすると、いつまでも追いかけてきます。
『うつ』と向き合い、是非明るい気持ちでゆっくりと対話してみてください。そして『うつ』が携えてきたメリットを、少しずつ受け取ってみてください。

長くなりましたが、初めて書いた散文を最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
もしあなたの周りに『うつ』で苦しむ人がいたら、苦しんでいなくても『うつ』と近い距離にある過ごし方・考え方をしている人がいたら、是非この文章を紹介してあげてください。
少しでも昔の僕のように苦しむ人達の希望になれたら、最高に嬉しいです。

あなたとあなたの大切な人が、前にもまして素敵な人生を送れるようになることを、心から応援しております!

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僕は社会の仕組みで苦しんだので、同じように悩む人を助けるために活動していこうと思っています。 サポートはそうした人達の未来に繋がるよう、使わせていただきます。 もしあなたにも助けたい気持ちがありましたら、是非支援お願いします!