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【商業出版する方法+254】売れる闘病記系の商業本をガチプロ目線で分析してみるとこうなる。

元KADOKAWAのビジネス・実用書出版コンサルタント+編集者+ビジネスプロデューサーの渡邉です。

本を出したい!と思う人の中にはある一定数「闘病記」に関するテーマを相談されるケースもあるあるです。

ですが、基本「闘病記」はビジネス書・実用書の領域には入りません。
はい。ここ結構大事なポイントです。

なぜかというと、大方「非常にプライベートすぎるアウトプットが多い」ということ、何より「辛かったんだ!」「こんな体験したんだ、どうだ!」的な「吐露」の方が占めてしまい、読者に対するお役立ち感が今ひとつ薄れがちだからです。
 
ご本人は「私の体験が誰かのお役に立てば」の気持ちでしょうが、そこの視点が意外なほどズレることが9割です。
ちょっと厳しい言い方をすれば「承認欲求」性の高いコンテンツになりがちになって、ただただ自分の気持ちやその延長線上にある、重責や重圧感だけを読者に与える、、ということになりかねないケースの方が圧倒的。
  

その意味でもビジネス・実用書の商業本としては原則扱えません。そして私の元にご相談などのメールが入っても、丁重にお断りさせていただく場合がほとんどです。


こういったテーマはそれこそ「自費出版」的な形をとった方が実は、幸福なケースが多い。
書き手においても満足度が上がりやすく、メディアにも取り上げられて、世の中を巻き込んでいける形の方が多いので、いきなり商業出版を目指さない方が得策です。


そんなある意味「特殊」なジャンル・テーマになるんですけど、それでも「売れる」「商業的に成功する」ケースも稀にあります。


最近ツィッターで見かけたある方の本が気になったのでシェアします。

それが

ひるなま著
『末期ガンでも元気です〜38歳エロ漫画家、大腸ガンになる』

です。

ひるなまさんはBLコミックの漫画家さんなんですが、、

ある日ひどい生理痛を起こして病院に行ったことをきっかけに、大腸がんの「末期ステージ」であることを診断されてしまいます。

このコミックでは、大腸がんと診断される経緯から、入院・手術その後の生活に至るまで克明に描かれたコミックで、、

本になる前は電子配信されていたようなのですがとても好評だったこともあり、「紙の本での書籍化」にもつながったた模様です。

ただ、この漫画家先生は、、2022年にご逝去されてしまい。。


この本はすなわち「遺作」となります。

そんな特殊な背景を持った作品なのですが、やはり注目され売れている本にはなってくるのですよね。

そしてこういった「闘病記系」の本で”商業本として売れる”ためにはある共通のセオリーがあるなと感じます。

それらが以下、、

1)コミックであること


→わかりやすさと読みやすさ
手に取りやすさがあり
敷居が下がる


2)自身の体験記になるのでとにかく「事実が詳らか」。


身におきたことを、かなり赤裸々に表現していることからリアル感も増しやすく伝わりやすい。


そして、、
以下に書くことはかなり「メディアのセールス視点」になるので誤解を恐れず伝えることになりますが、、


3)がん体験の年齢の若さによりニュース性がきわだつ

→「若い」んですよ。四十にもなってない、まだまだ「壮健」そのものでしょ!?な年代の方ががんにかかってしまった。

それも「末期」ステージ。

ここに「ニュース性」が屹立されて、注目しやすい存在になってしまっているのです。
 
 

4)愚痴でもなく、ただ「伝えたい!」ではなく「実用書」としてのクリエイティブの高さがある

→この辺りはやっぱり「BLコミック」であれ、商業本作家としてやってきたひるなまさんの実力の賜物かと。

がんと自分
がんと家族
がんと医療関係の方々
がんに対する知識伝授

・・・これらが
冷静かつ客観的な視点で「一級のストーリー」「お役立ちコンテンツ」としてエピソードが構築されているので、とても読みやすく共感も高まりやすく、ためにもなる!作品に仕上がっているのです。

読ませ方
見せ方
・・・これらの巧さが、表現のプロ(商業本作家)としてやれている人!ならではだなーって実感します。

これらが「売れ本」「売れコンテンツ」の最たる理由かな、と。


闘病記系で多い傾向が、、

鬱憤を晴らすかのように、ありのままをそのまま発信してしまう方がほとんどです。

そこには、、

・愚痴になってたり
・叫びになってたり
・辛さやしんどさも相まって感情がボロだしに伝わってくることが多い


です。

それって・・・読み手からすればしんどいんですよね(大変申し訳ないのですが。。)。

でもひるなまさんはさすが商業本作家だけあって


>何を伝えて
何を伝えないか

>何が実用的で
どういったことは
実用性が低いのか

この辺の塩梅が非常にクールで非常に冷静でとても「俯瞰」できている状態でエピソードを構築されているので、、

読み手も「臨場感に巻き込まれやすい」。

「学び」や「発見」も得やすい。

これが、表現のうまさです。

闘病記に多い自費出版的なコンテンツとは全然違う点なのですよね。

その意味では、やはり「商業本の作家(著者)」となって売れる本良質な本を世に出すためには、、


ある意味

・どんな「見せ方」「読ませ方」だと読者を惹きつけやすいか

これを真剣に
考えてはアウトプットして
反応をもらいながら
修正と表現のレベルアップを
していくことが
大事ではないかな、って
思います。

商業本と自費出版本の大きな違いとして、、


>商業本は書き手が主人公にならない


ってことですね。

とにかくですね、、

・あるようでない
・普通でない
・常識とは違う
・意表をつかれる
・新たな発見と学びがある
 
 
こうした性質をいかにコンテンツとして確立させそれを出版企画書に落とし込んで出版社にアプローチしていくかが勝敗の分かれ目になると思うので、心しておいてもらえると幸いです。

いい本を書けば
いいこと書いておけば
自然と売れて
えらい著者先生になれる!
ビジネスも全然うまくいく!

ではないし、、

実用書・ビジネス書は「学び」がある。


というのがコンテンツとして絶対になるので、、

再度抑えておいてもらえると幸いです。
 
 
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