#11:話題沸騰!大河ドラマ『光る君へ』を攻略する実用本5選〜ハウツー本出版コンサルによるビジネス・実用書ひとこと書評トピ
元KADOKAWAのビジネス・実用書出版コンサルタント+編集者+ビジネスプロデューサーの渡邉です。
NHK大河ドラマの『光る君へ』。
現在7話までが放送中ですが、だんだんと展開が面白くなってきました。
これまで大河ドラマといえば「戦国」「幕末」がウケ良いんですけど、なかなかどうして平安時代を真正面から捉えたこのドラマも良きです。
脚本がなんせラブストーリーの名手&ストーリーテラーである大石静さん。
一筋縄では決していかない、ストーリーの練り上げ方がお上手。
派手な戦いもなく、見せ場もなさそう。だけど!「平安時代のドラマ」と割り切って・振り切って、脚色してるあたりが見事。
私も回を追うごとに、道長とまひろのこじらせ度120%の恋愛模様や、平安貴族の想定外な「権力闘争劇」に目が離せない。
だからこそ、関連本が出版市場を賑わすし、関連本で売り上げを上げたい出版社の目論見も相まって、
・平安時代
・紫式部
・藤原道長
・源氏物語
に類する実用本がドバドバと出てます。
ということで、今回は『光る君へ』を10倍楽しむための本を独断と偏見でシェアします。
1、紫式部に関する本
主人公である紫式部に関する本はたくさん出ています。
主人公の生い立ちやその人物の「歴史」をスルッと追いたいのならまずは「Wikipedia」で彼女の人生をさらって、そこから関連本を読んでみるのもいいでしょう。
私は”平安””紫式部”に対してそもそも初心者さんだと、意外に「学習まんが」をおすすめします。
ウィキやまんがなどで、サクッと紫式部の人生を総浚いしたら「小説」などがいいかもしれませんね。
こちらが本格的な紫式部の小説です。
大御所の作家、杉本 苑子先生の本。上下巻あります。
紫式部といえば、「紫式部日記」です。
紫式部のエッセイであり、今でいう「ブログを本にした」みたいなもの。
私の古巣KADOKAWAの文芸部署”角川ソフィア文庫”のものは今風に平易に編集し直されています。
ソフィア文庫の古典シリーズは「ビギナーズクラシック」とサブタイトルも付いているくらいなので、まさに幅広い年齢層の方に向けて整えられていますよ。
なお、紫式部日記の「エッセンス」を「かいつまんで」読みたい、、というビジネス脳向けの人はこういうのもありますね。
三笠書房という「ビジネス・実用書専門出版社」が出している実用本(私の元上司が今ここで編集長やってるw)になるので、教養としてサクッと紫式部日記のことを知っておきたい、てな意識高い系向けに良い本ではないかと思います。
他にもたくさん紫式部関連の本はいっぱい出ているし、大河ドラマの主役でもあるので本屋さんに行けば類書はどどーんとあると思うので、読みやすい本を見つけてみてください。
2、源氏物語に関する本
紫式部といえば「源氏」です。
これは類書がありすぎて、「源氏市場」と言っていいほど、出版市場でも一大ジャンルになっているのですが、、
私としては以下が面白い&好きかな、って思います。
Xナレッジ社の「解剖図鑑シリーズ」の一つ。
源氏物語を図解で「徹底解剖」するアプローチで、ユニークかつ新しい視点の編集本だと思います。
あと源氏物語が一番わかりやすく臨場感に富んで描かれている作品がこれ!
大和和紀先生の『あさきゆめみし』。
源氏物語を宇治十帖まで完全に漫画化し、好評を博しているのは、後にも先にもこれだけだと思います。
最近の高校の教員たちも「古典の源氏物語を理解したいなら、これ読みなさい」とすすめているほど。
私が学生時代には考えられないことですが(笑、大和先生・・・めっちゃいい仕事されてます!そして最後まで見捨てず、完結させた講談社も素晴らしい。
もはや「大和源氏」と言われる日本が誇る古典漫画の代表作。
華麗で美麗極まりないイラストが、圧巻。
漫画としてのストーリー展開、人物の扱い方も上手い。
大和源氏読むだけでいいよ!って言いたいくらいですね(笑。
なお上級者向けにはこちらもどうでしょう。
中学〜高校生くらいにかけて「あさきゆめみし」と並行して読んだ本です。
こちらも「御大」田辺聖子先生の手による『源氏物語』なんですけど、小説としての域が高いです。
紫式部の源氏物語は、今の言葉や文章に直でなおしちゃうと「冗長」に感じられる。
でも田辺先生のこの「新源氏」は、今風に人物もアレンジされていて、共感しやすく物語に入っていきやすい。
その意味でも「時代小説」として、受けとめやすく読みやすいと感じます。
3、藤原道長の関連本
『光る君へ』でも重大な役回りになっている「藤原道長」。
彼に関する本も再燃してます。
代表的なものはこちらかな〜
歴史小説といえば永井路子先生。
大河ドラマ『草燃ゆる』『毛利元就』の原作もあります。
藤原道長にまつわる本って、割に少ないんですよね。
フツーの権力者、、としか見られてないからかな?
戦争しないもんだから、男性著者からはあんまり題材として取り上げにくいのかもね。
道長は結構「女性」がキーとなって権力闘争に打ち勝ち、上り詰めたタイプなので、やっぱり女性著者の方が扱いやすいのかもしれないですね。
あとはこれかなー
藤原道長が30歳の頃から、自分が執筆した「日記」というか、エッセイというか、備忘録、、みたいなものです。
原文も残ってて、彼の直筆なんかも見られるらしいです。
今回大河ドラマで道長を演じる柄本佑さんは、御堂関白記の原文資料を見に行って
「おおらかな字を書く人なんだなーって思った」
と語ってました。
野心バリバリ!っというよりは、大貴族の三男坊として生まれてのびのびやってたんじゃないか・・・みたいな推測の元、役作りしているようです。
ドラマでもその雰囲気出てますよね。
4、平安時代に関する本
平安時代の時代背景・風習・風俗的な本もいーっぱい出てますね。
その中でも、今回大河ドラマでも「胸をゾクゾクさせる」のが「和歌」の世界。
ドラマでも、道長がまひろ(紫式部)に送る、熱烈なラブレターに「心臓とまるくらいキュンキュンする!」と叫ぶ視聴者が続出です(笑。
百人一首や和歌に関する「わかりやすくて面白くて、ためになる」本を読むといいでしょう〜
百人一首がわかりやすく、臨場感を持ってまとめられているのがこのコミックエッセイだと思います。
とにかく平安時代の歌って、めちゃくちゃ「情熱度100%」なんですよね。過激で際どく、エロい。
そんな特徴を見事に捉えて、まとめられている良書かと。
カバーのイラストも、いいですね。挑発的でw。
とにかく売れた本であり、今でもこの本の派生関連類書が出版され、売れてます。
風俗関連だと、この本とかいいかもしれません。
2024年2月・・・つまり超!最近出ている本なので、確かに最新研究に基づいた一番新しい平安文化がまとめられていることでしょう。
タイトルにもう「ノックアウト」ですね。
今買うなら、これ買え!って言われてるみたい。タイトルつけた編集者やスタッフ秀逸です。
平安に関する本もいろんな本屋さんで「特集棚」組まれてるでしょうから、ぜひ自分にとって「あ、面白そう」を探しにいってみてください。
5、ドラマそのものに関する本
・・・といえばもう「解説本」「副読本」の部類。
NHK大河ドラマストーリーは、必読しておくと、平安時代や源氏の話、登場人物に関する詳しい解説、百人一首にまつわることなんかもコンパクトにまとめられています。
最近賛否両論なのが、1話〜20話まで「(簡単な)あらすじ」が載っていることなんですよね。
この手の本は、過去もストーリーは載ってたんですよ。でもそこまで言及されることはなかったのですが、今回のお話は大石静さんのオリジナリティあふれる脚色、道長とまひろの「モゾモゾするけど、キュンキュンも100%弩級なめくるめくなラブストーリー」がモリモリなので、そういうのを「読みたくない」「知りたくない」って人も多い模様です。
いわゆる「ネタバレ」がさきに来てますからね。
とはいえ、実際のドラマとあらすじは「違う展開」になることも非常に多いので(代表的なのが『おんな城主直虎』。クライマックス時の話は、あらすじと本当に放送された内容が全く異なっており、放映されたエピソードにドラマ好きが震撼した)、私個人は視聴者としては、そこまで目くじらを立てなくてもいいかな、と考えています。
とまあ、足早にどどどーと紹介しました。
関連本はとてもたくさんあるので、いろんな本を見て読んでご自身なりの平安時代、『光る君へ』を楽しんでみてください。
なお今回の『光る君へ』、まさに令和の今だからこそ作ることができているドラマだな〜と思います。
何せ男性の公達たちの「線の細さ」「女性性の高い柔和さ」を兼ね備えているのですもの。
主役の紫式部のソウルメイトである「藤原道長(柄本佑さん)」、彼を取り巻く若い公達たち〜藤原公任(町田啓太さん)、藤原斉信(金田哲さん)、藤原行成(渡辺大知さん)、、
この「F4」男子たちのまー「貴族オブ貴族の子弟らしい」こと。
花山天皇の本郷奏多さんもほっそりしてて、男らしい力強さ、というよりは美しさが際立ってます。
10数年前では、このドラマは完成できなかったですね。男性俳優のオス化がえげつないから(笑。
SNSが進化・発展し、女性性の高い令和ならではなドラマとして放出され、受け取る視聴者側も熱狂しているので、タイミングよく出た作品!といって過言ではないでしょうね〜
というわけで今回はここまで。
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