見出し画像

「自分の生きた道が全て繋がっている」メイクアップアーティスト、WAKANAさんへインタビュー。

会うと癒される人。WAKANAさんは都内で現場をご一緒した頃からそのような印象がありました。
ニューヨーク(以下、NY)でメイクアップアーティストとしてスタートさせたと知ったのは、WAKANAさんが日本を離れてからでした。

かれこれ5年ぶりの再会は、NY。
「こんなにもご無沙汰で連絡してもいいものだろうか」と悩んだけれど、今の彼女に会ってみたかった。
そして快くインタビューも引き受けてくださり、今回再会と共にWAKANAさんが拠点を移してからのお話をたっぷりお聴きできました。

癒される人のイメージは変わらず、意志の強い人という印象が加わった時間でした。


▼WAKANAさんプロフィール

一川 若奈(いちかわ わかな)
・約4年間のヘアーサロンワークを経て、メイクアップアーティストに転身。
・2018年、単身NYへ拠点を移す。

ーGO BIG or GO HOME.
ー1度きりの人生なので、素直に生きるようにしています。

ー東京からNYへ移った1番の理由は?

尊敬しているメイクアップアーティストのHung VanngoさんがNYを拠点としていて、私もNYでこの人のようなメイクを学びたいと思って来ました。
現場で触れて本当に使えるものは何かを感じたいですし、日本では学びたいスタイルで働ける場所を見つけられなかったんです。

ー美容師(前職)からの転身。

高校生の頃からメイクに興味がありました。

美容部員ではなくメイクアップの仕事がしたくて、どのように働けばいいんだろうと気になっていたんです。
学生時代はメイクアップアーティストさんに会う機会も少なくて。

就職前に母と相談しましたが、美容師免許を取得していたので美容師を目指そうとTONI&GUY Japanへ就職しました。
ヘアショーやファッションショーの現場もあったので、メイクに触れることも多かったです。
周りの方から、メイクが上手だと言っていただきメイクアップを任される機会もありましたが、自分の技術に納得がいきませんでした。

ー拠点を移すことへの家族の反応。

私の親はどちらかというと「世界に羽ばたけ」と言ってくれるタイプです。

気付いたことが、家族で移住するようなアイデアは日本ではまだまだ少ないと思います。
NYでは家族で移住して、基盤そのものを変えている人たちもいます。
帰る国があるのはありがたいことですが、羨ましいなと時々思いますね。

ー多様性の街、NYで感じることは?

アメリカとくにニューヨークは各国から移民が集まっていて、文化もバックグラウンドも宗教など人それぞれ。
だから「これかっこいい!」「あれもいいよね」といろんな角度で物事を感じれる面白い場所なのだと思います。

日本の多様性も十分に進んでいると思います。
それでも肩身が狭いと感じるのは、ある程度の型が残っていたりするからかもしれないですね。

ーWAKANAさんはどのような性格?

完璧主義ではないですね。
考えることより先に行動して、後から「あっ」となることも多々あります。

ただ、素直でいるようにしています。
レベルの高い方と仕事をするときでも、お世辞で好かれるような行動は昔から好きではないですね。

本当に素敵だと思った写真には「この写真すごく好き」と言うようにしていますが、思わなければ黙っています。
接客という点では少しのお世辞も必要なのかもしれませんが、面白くないのに無理をしてまで笑うことはしません。

WAKANAというアーティストが評価されるためには、私らしくいる必要があります。
「そのままのWAKANAがいい」と思っていただける人と仕事がしたいですね。

これは私の承認欲求かもしれませんが、“世渡り上手じゃないけれど認めてもらいたい”と思っている部分もあります。
居心地の悪いような生き方はしたくないですし、そういう生き方はできない性格だと思います。

ーNYのファッション業界って?

意外とさっぱりしていて、お互いに干渉しないですね。

アーティストよりも、モデルのほうがメンタル的に大変だと思います。
自分の良さも見せたいけれど、オーダーどおりに表現しないといけない。

・自分が美しくあることを優先するモデル
・自己分析したうえで仕事と割り切っているモデル

という内的な面が撮影の現場で垣間見えます。

ーメイクのアイデアを提案することはありますか?

フォトグラファーに撮りたいルックをプレゼンすることはあります。
基本的にはお金が発生している仕事のときは、クライアントのオーダーに沿いながらモデルにそのスタイルを似合わせ落とし込みます。
相談せずに変更すると後から問題になりますから。

撮影はチーム戦。
いかにクライアントが求めているムードボードを理解して動いていけるのかが、クオリティの決め手だと思います。

ー5年間での心境の変化は?

当初は夢が大きかった。
ですが、今は夢ではなく仕事だと理解しています。
きちんとこなしてお金をいただいて、生計を立てないといけない。

5年を経て“夢の仕事”が仕事になった。夢と現実が一致した感じです。

ーヘアサロンを辞めて日本でメイクの経験を積まなかった理由。

元々、海外への憧れがありました。
日本のメイクアップスタイルで多いかわいい・コンサバティブなイメージも凄いと思いますが、私は人種問わず自分のかっこいいと思うメイクを表現していきたいと思い、世界でメイクアップアーティストになる事に憧れを持っていました。

もしも“NYでメイクを始めた世界線”と“日本で修行を積む世界線”があったとしたなら、後者はファッションメイクに触れるまではすごく時間がかかったと思います。

NYには多くのチャンスがある。
マネージョブではないけれど、撮影も起きやすいし緊急で代わりを探すことだって度々あるんです。
そういう意味では知り合いを紹介したり、急な依頼もあるので人々が繋がりやすいですね。

意外にもアナログなところが、口コミで仕事を回したりします。
会社で働いていたから会社の働き方はわかるけど、フリーランスの働き方はまだ手探りですよ。

ー目標を1つ挙げるとしたら?

ずっと、全人種に対応できるメイクになりたいと思っています。

例えば韓国って、有名アイドルのメイク担当者も所属するメイクアップサロンがあるんです。
もし実際に体験してみ真似できそうであれば、NYで似たサービスをしてみようかと考えていたりもします。
様々な人種の骨格を理解している私だからこそ、してあげられるサービスを広げたいです。

あと将来的には、NYで母が好きなことをしてのびのび過ごせるように面倒を見てあげられるようになりたいですね。

ーNYに拠点を移して思うことは?

アーティストビザを取得する際にスポンサーと推薦状、Job offer letter(お金を稼ぐことが約束されている証明)が必要なんです。

推薦状をTONI&GUY Japanの社長に書いていただいたことや、母校へ訪れて自分の仕事を記事にしてくださったこと。
他にもNYに来てから出会ったフォトグラファーやクライアントにもお願いして、快く書いてくれました。
「面倒だからなかなか書いてもらえない」と聞いていたので驚きでしたね。

そうした方々のおかげで今があります。
自分がしてきたことが全て繋がって、生きてきてよかったと思えました。

ー最近、興味があること。

歴史のYoutubeを観ること。

今からもっとメイクの仕事を頑張って、それでもメイクじゃないかもって感じたらアメリカで大学に行ってみたい。
ビジネス英会話も勉強してみたい。
日常会話はできるけど、いざ金融だったり難しい会話になったらわからないだろうからビジネス英会話の勉強をしたいです。

ー交友関係でのトピックは?

NYでは他国出身が当然なので友達が作りやすい気がします。

NYの親友は、まだNYに来て地図もうまく読めないとき、英語で話しかけたら「あんた日本人?」って聞き返されたんです。(笑)
私も行き先が同じだから一緒に行ってもいいよって。
日本とのハーフで日本ととNYを行き来してるとのことで、その日にInstagram交換して遊ぶようになりました。

こんなにも友人思いの友人と出会えてすごく幸せです。
彼女のおかげで世界中どこへでも気軽に行けると思えるようになりました。
東京で友達作りが難しいと思っていたことを克服できた気持ちで嬉しかったです。

ー今のWAKANAさんは、どんな生き方?

生き急いできたような気がするけど、生き急いでないような気もするんですよね。
人生80年でみたときに、30代なんてまだまだしたいことできる気がするので。
自分の鉄を叩いてゆっくりしたいときは休んで、のびのび生きています。

ーWAKANAさん、ありがとうございました!


実は、思っていたイメージと良い意味で違ったところもあって、彼女の強さを知れたことに喜びを感じました。
インタビュー以外で会話したことまでもが、貴重な言葉の数々でした。
偽りのない自分をしっかりと表に出して、新しい地で生き生きとしている姿にはとても刺激を受けました。

これからもWAKANAさんらしいステージで活躍されるのを、心より応援しています!!

この記事が参加している募集

この経験に学べ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?