森 正行

宮崎市でプロテスタント教会の牧師をしています森正行と申します。「キリストの教会とは?」…

森 正行

宮崎市でプロテスタント教会の牧師をしています森正行と申します。「キリストの教会とは?」について、自分なりに聖書の言葉から長く問うてきました。その中で整理されつつあるものを、関心のある方とは共有できればと思い、この度noteに掲載させていただくことにしました。

最近の記事

「作るもの」と「創られるもの」 [24]

24.初代教会誕生の経緯 [6] では「彼らが一つになるためです」とは、どういうことなのでしょうか? 「一つになる」とは、私たち人間には、分かりにくい言葉です。 色々な解釈をすることができますが、それはますます混乱を招くことでしょう。 日本文化の「和」に似た解釈も生まれますし、極端に言えば「全体主義」にもつながります。 しかし幸いにも、このヨハネ17章のイエスの祈りの中で、「一つになる」ことがどういうことなのかをイエスは語っています。 その「一つになる」とは、説明

    • 「作るもの」と「創られるもの」 [23]

      23.初代教会誕生の経緯 [5] 初代教会誕生の経緯には、イエスの祈りがありました。 教会誕生の経緯に、イエスが父なる神に祈られたことを見逃すことは出来ません。 その祈りの内容は、ヨハネの福音書17章全体及んでに記録されています。 その冒頭部分は、 ヨハネ17:1-2 これらのことを話してから、イエスは目を天に向けて言われた。 「父よ、時が来ました。子があなたの栄光を現すために、子の栄光を現してください。 あなたは子に、すべての人を支配する権威を下さいました。それは

      • 「作るもの」と「創られるもの」 [22]

        22.初代教会誕生の経緯 [4] イエスは12人を呼び寄せ、弟子とし、教会誕生の当事者とさせます。 けれども、その弟子たちはイエスとおよそ3年半を共に過ごしながらも、イエスが十字架に掛かる直前まで、 〇 神の言葉への信仰は、ほぼありませんでした。 マルコ16:9-14 〇 神の言葉への理解は、深くありませんでした。 ルカ18:31-34 〇 弟子たち同士に相互愛は、ありませんでした。 ルカ22:20-24 〇 教会への理解は、ありませんでした。 No15に詳述

        • 「作るもの」と「創られるもの」 [21]

          21.初代教会誕生の経緯  [3] ヨハネ 13:34 「わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。」 これはイエスが弟子たちに言われた言葉です。 しかし、弟子たちは言い争いを続け、それはイエスが十字架に掛かる直前まで続きました。 言い争いの極めつけは、ペテロの言葉でした。 ペテロがイエスに答えた。 「たとえ皆があなたにつまずいても、私は決してつまずきません。」 この言葉は、弟子たちが分裂してもおかしくないほどの、人間関係を破壊する言葉で

        「作るもの」と「創られるもの」 [24]

          「作るもの」と「創られるもの」 [20]

          20.初代の教会誕生の経緯 [2] 弟子たちの取り組みは、初めてのことでありながら、さらに前進します。 新たにキリストの救いを信じてバプテスマを受けた大勢の人々と共に、 使徒の働き2:42-47 彼らはいつも、使徒たちの教えを守り、交わりを持ち、パンを裂き、祈りをしていた。 すべての人に恐れが生じ、使徒たちによって多くの不思議としるしが行われていた。 信者となった人々はみな一つになって、一切の物を共有し、財産や所有物を売っては、それぞれの必要に応じて、皆に分配していた。

          「作るもの」と「創られるもの」 [20]

          「作るもの」と「創られるもの」 [19]

          19.初代教会誕生の経緯 [1] イエスの復活後、弟子たちはやがて間もなく、初代教会が誕生する時の当事者になります。 しかし、弟子たちはイエスから教会についての詳しい指導を聞くことは無く、互いに競い合い、教会のイメージを持つこともありませんでした。 けれどもイエスは、最も大切なことを語り聞かせました。 マルコ12:29-31 イエスは答えられた。 「第一の戒めはこれです。 『聞け、イスラエルよ。主は私たちの神。主は唯一である。  あなたは心を尽くし、いのちを尽くし、知

          「作るもの」と「創られるもの」 [19]

          「作るもの」と「創られるもの」 [18]

          18.教会が誕生するまでのイエスと弟子たち [4] これまで掲載しました No15-17 の3つをまとめると、初代教会が誕生する時、その少し前まで、 1.    イエスは弟子たちに、新しい取り組みである「教会」がどのようなものか、具体的な説明はしませんでした。 2.    弟子たちの人間関係は、「互いに愛し合う」こととは掛け離れ、競い合い、議論ばかりしていました。 3.    弟子たちは「教会がどのようなものか」、ほぼ関心が無く、イメージもしていませんでした。 聖書

          「作るもの」と「創られるもの」 [18]

          「作るもの」と「創られるもの」 [17]

          17.教会が誕生するまでのイエスと弟子たち [3] 続いて「イメージ」という視点から注目したいと思います。 まだ教会が誕生していない時、イエスは弟子たちに、教会に関係する二つの言葉を語られました。 マタイ 16:18 「そこで、わたしもあなたに言います。あなたはペテロです。わたしはこの岩の上に、わたしの教会を建てます。よみの門もそれに打ち勝つことはできません。」 ヨハネ13:34、15:12、15:17 「わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いな

          「作るもの」と「創られるもの」 [17]

          「作るもの」と「創られるもの」 [16]

          16.教会が誕生するまでのイエスと弟子たち  [2] 次の視点は「弟子たちの人間関係」です。 そこで、わたしもあなたに言います。あなたはペテロです。わたしはこの岩の上に、わたしの教会を建てます。よみの門もそれに打ち勝つことはできません。 マタイ 16:18 神の意志は、弟子たちを用いて、この世に、死に対しても勝利する「教会」を建て上げていくことです。 けれども、弟子たちに「教会を建て上げよ」と、イエスは言われませんでした。 また「全世界に教会を増やせ」とも言われませ

          「作るもの」と「創られるもの」 [16]

          「作るもの」と「創られるもの」 [15]

          15.教会が誕生するまでのイエスと弟子たち  [1] これまで、「人が作り出すもの」、「神が創り出されるもの」について、色々な事例を挙げて、見てきました。 続いて今度は、「教会」は「作り出すもの」か「創り出されるもの」かについて、問うていきたいと思います。 最初の視点は、イエスは弟子たちに「教会についての具体的な説明」をされていたかということです。 聖書の中で「教会」という言葉が初めて登場するのは、マタイの福音書16章18節、イエスがペテロに語った言葉です。 マタイ

          「作るもの」と「創られるもの」 [15]

          「作るもの」と「創られるもの」 [14]

          14.神が創り出す宣教プラン [2.サマリヤ人たちへの宣教] ヨハネ4:40-41 それで、サマリア人たちはイエスのところに来て、自分たちのところに滞在してほしいと願った。そこでイエスは、二日間そこに滞在された。 そして、さらに多くの人々が、イエスのことばによって信じた。 神が創られたもう一つの宣教プランは、サマリヤ人たちへのものでした。 そこでは、多くのサマリヤ人たちがイエスの言葉を聞いて、信じていきました。 この宣教は、偶然によるものではなく、神の御心・プランによ

          「作るもの」と「創られるもの」 [14]

          「作るもの」と「創られるもの」 [13]

          13.神が創り出す宣教プラン [1.エリコの町の宣教] 現代のキリスト教界では、様々の宣教プランがあります。 個人伝道から中規模、大規模な伝道まであります。 よく計画され、準備し、多額の資金を要するものもあります。 その中には、魅力的なものもあります。 多くの人々は、目に見えるこれらの宣教活動を見て、「宣教とはこのようなものなのか」とイメージしていくものと思います。 また、模倣する教会も多々あります。 ところで、神に創られた宣教プランが、福音書には幾つか記されて

          「作るもの」と「創られるもの」 [13]

          「作るもの」と「創られるもの」 [12]

          12.神の言葉に基づいて懇願した異邦人の百人隊長 神は人の考えや取組みを、すべて否定しているわけではありません。 福音書に登場する百人隊長の言葉と行いは、イエスを深く賛同させました。 マタイ8:5-13 イエスがカペナウムに入られると、一人の百人隊長がみもとに来て懇願し、「主よ、私のしもべが中風のために家で寝込んでいます。ひどく苦しんでいます」と言った。 イエスは彼に「行って彼を治そう」と言われた。 しかし、百人隊長は答えた。「主よ、あなた様を私の屋根の下にお入れする資

          「作るもの」と「創られるもの」 [12]

          「作るもの」と「創られるもの」 [11]

          11.隣人たちへの改善策を考えたキリストの弟子たち キリストの弟子たちが作り出した改善策・プランは、五つのパンと二匹の魚の物語でも起こりました。 マタイ14:15-21 夕方になったので、弟子たちはイエスのところに来て言った。「ここは人里離れたところですし、時刻ももう遅くなっています。村に行って自分たちで食べ物を買うことができるように、群衆を解散させてください。」 しかし、イエスは言われた。「彼らが行く必要はありません。あなたがたがあの人たちに食べる物をあげなさい。」 弟子

          「作るもの」と「創られるもの」 [11]

          「作るもの」と「創られるもの」 [10]

          10.不安から改善策を考えたキリストの弟子たち 不安によって改善策を考え、取り組んだ者たちは、イスラエルの民だけではありません。 マルコ4:35-39 さてその日、夕方になって、イエスは弟子たちに「向こう岸へ渡ろう」と言われた。そこで弟子たちは群衆を後に残して、イエスを舟に乗せたままお連れした。ほかの舟も一緒に行った。 すると、激しい突風が起こって波が舟の中にまで入り、舟は水でいっぱいになった。 ところがイエスは、船尾で枕をして眠っておられた。弟子たちはイエスを起こして、

          「作るもの」と「創られるもの」 [10]

          「作るもの」と「創られるもの」 [9]

          9.神が創られた計画を退け、新たな神・計画を作ろうとしたイスラエルの民 神はモーセとイスラエルの民に、エジプトを脱出する前に語られました。 出エジプト記 3:17 「それでわたしはあなたがたを、エジプトの悩みから導き出して、カナンびと、ヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの地、乳と蜜の流れる地へ携え上ろうと決心した」。 ■  生存への危機感 神が創られた計画によって、エジプトを脱出したイスラエルの民でしたが、彼らが導かれた先は、飲み水も食料も無い荒野

          「作るもの」と「創られるもの」 [9]