「作るもの」と「創られるもの」 [15]
15.教会が誕生するまでのイエスと弟子たち [1]
これまで、「人が作り出すもの」、「神が創り出されるもの」について、色々な事例を挙げて、見てきました。
続いて今度は、「教会」は「作り出すもの」か「創り出されるもの」かについて、問うていきたいと思います。
最初の視点は、イエスは弟子たちに「教会についての具体的な説明」をされていたかということです。
聖書の中で「教会」という言葉が初めて登場するのは、マタイの福音書16章18節、イエスがペテロに語った言葉です。
マタイ 16:18
そこで、わたしもあなたに言います。あなたはペテロです。わたしはこの岩の上に、わたしの教会を建てます。よみの門もそれに打ち勝つことはできません。
イエスはペテロに、「わたしの教会を建てます。」と明言されました。
それからしばらくして後、使徒の働き2章で、いわゆる、教会の誕生の物語が綴られています。
このマタイ16章18節の時から、使徒の働き2章の時までの間で、「教会」という言葉が登場するのは、マタイ18章17節だけです。
マタイ 18:17
それでもなお、言うことを聞き入れないなら、教会に伝えなさい。教会の言うことさえも聞き入れないなら、彼を異邦人か取税人のように扱いなさい。
福音書には、これ以外、「教会」と言う言葉は登場しません。
イエスが十字架で死んで復活し、昇天された後、「教会」は弟子たちや信じた人たちに任されていくことになります。
そして「教会」は2000年前から現代にいたるまで、神の働きの足場となって、神への礼拝や教育、宣教、相互愛と互助、多種多様なあらゆる働きの責任を負っていくことになりました。
しかし、不思議なことがあります。
イエスは弟子たちに、
「教会とは何か」
「教会はどうあるべきか」
「教会の働きとは」
などについて、
「教会とは、こういうことです」
「教会ではこういうことをします」
「教会で気をつけることは、こういうことです」
などという説明や教育や研修、レクチャーはされていなかったのです。
また、弟子たちはどうしていたかと言えば、弟子たちから「教会」について、イエスに問うことは無く、また「教会」には、あまり関心も無かったようです。
それゆえに当然のことながら、弟子たちは、「教会」の建て上げに、協力的ではありませんでした。
新約聖書は、福音書、使徒の働きに続き、以降のローマ人への手紙やコリント人への手紙、ガラテヤ人・エペソ・ピリピ・コロサイ・テサロニケ人への手紙などは、主に、教会の在り方、教会の働きについて記載されています。
神の働きの場は、イスラエルから異邦人たちの「教会」に移されていきました。
それなのに、最初の教会の誕生となる12人の弟子たちに、「教会とは?」についての説明や教育や研修、レクチャーは皆無だったのです。
人間社会では、これから新たな大事なミッションを始める際は、その新しい組織において、入念な説明や、教育や研修、レクチャーなどをしていくことが常道でしょう。
例えば、ニュータウンが建設され、そこに新たな自治会や町内会を作っていくためには、その組織がどのようなものであるのかをよく話し合い、検討し、すり合わせていきます。
人間の一般的な取り組み方と、神の取り組み方は違うのです。
「教会」とは、どのようにして生まれたのか、神はどのように創られて行かれたのか、それは人間の頭脳を超えた、神にしか出来ない創造があったのではないでしょうか。
そこで、聖書に目を向け続けながら、神に祈り求めながら、神と人と教会の関係を見つめ直していくならば、神が教会を創られていかれるプロセスを見せてくださって、導いてくださるのではないかと、私は思います。
イエスが、こう言われたからです。
ヨハネ8:31-32
イエスは、ご自分を信じたユダヤ人たちに言われた。
「あなたがたは、わたしのことばにとどまるなら、本当にわたしの弟子です。
あなたがたは真理を知り、真理はあなたがたを自由にします。」
では、どう導かれて行ったのか?
それは「教会」という言葉に代わって、「あなたがたは互いに愛し合いなさい」と言われた言葉と、逃げていった弟子たちに対するイエスの「赦し」が、やがて弟子たちに、互いに愛し合う関係を築かせていくことになりました。
そして、「互いに愛し合う」関係が築かれていく中で、聖霊の働きを受け、「教会」が建て上げられていったのだと思います。
このプロセスは、別のシリーズ「『知らない』の時系列」で、詳述していきたいと思います。
いずれにしても、「教会」は、この神の言葉が土台になって、神の巧みさによって建て上げられ、創られていきました。
ヨハネ 13:34
わたしはあなたがたに新しい戒めを与えます。
互いに愛し合いなさい。
わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。
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