大人のADHD、発達障害者が幸せになる為に その7 『ADHDの治療効果、出来る様になった事』
ADHDの治療を始めて5ヶ月が経ち、やっと治療の効果らしきものが現れ始めました。
この記事は、私が受けたADHDの治療の経験や経過をシェアしたいと思い始めた連載記事です。
自分が発達障害なのではないか?と悩まれている方や、専門外来を受診してみようと検討中の方、ADHDって一体どんな治療をするの?効果はあるの?など、
そんなお悩や疑問を持たれている方に、私の経験が少しでもお役に立てればと思い拙いながら記録を残してみたいと思い書き始めました。
2018年に診断され、治療を始めてから現在の、
まるで幸せへの階段を登る様な体験をシェアする事で、読んでくださった方の気持ちが楽になったり、少しでも治療に対して前向きな気持ちを持って一歩を踏み出す背中を押す事が出来れば幸いです。
私は自分にある発達障害を”ギフト”だと、今は思っています。
そのギフトのおかげで思いも寄らなかった世界の見方を知りましたし、その景色をぜひ共有できたらと思って書いています。
今までのここまでの記事はこちらの無料マガジンにまとめてあります。最後まで無料で書くつもりですので、是非お読みいただけたら嬉しいです。
さて今回は、ADHDの治療の効果が出始め、具体的にどんなことが起こっていったかを書いてみたいと思います。
さて私は治療としては、
・2週間に一回の通院
・ストラテラ(アトモキセチン)40mgを1日3回の投薬
最初2カプセルづつ飲んで、その後徐々に、
一回一カプセルになっていった様に記憶してます(うろ覚え....)
コンサータは一度処方してもらったのですがあまり体に合わず、すぐに飲むのをやめてしまいました。一応手元に残ってたので一緒に写してみました。
飲み始めて数ヶ月は劇的な変化はなく、5ヶ月程でようやく効き目を実感し始めました。
それも自覚的にではなく、過去の私をよく知る人物から指摘される形で効き目に気付いて行きました。
その辺りの詳しい事はひとつ前のこちらの記事参照↓
今まで不注意による失敗や遅刻は数知れず…でしたが、もともと会社勤めではない個人事業主だったため、そこまで集団行動を乱すこともなかったのと、
基本すぐ忘れてしまうので気に病むこともあまりなく、
時々とんでもない忘れ物をしたり(海外旅行に行くのにパスポートを忘れるとか)失敗を繰り返しながらもなんとか事なきを得てきて(いると思って)いました。
そんな私が、初めて自らの意志で仕事をセーブしてでも勉強したい!と思うことに向き合う中で高い授業料を払って学校に通い始め、
講義を聞くのとノートを取るのが同時にできない事、
周りのみんなは涼しい顔をしているのに自分だけがついていけていない事に危機感を感じた事が発達障害外来を受診する最終的なきっかけになりました。
多分真剣だったからこそ危機感を感じたのだと思うし、そんな風にして向き合わない限りはなかなか自分を障害者だと認める事はできなかったかもしれません。
でも、それと引き換えにでもこの授業をモノにしたい!というすごくポジティブ且つ切羽詰まった状態、時間やお金を棒にふるわけにはいかないという強い想いや焦りが私を突き動かしたように思います。(元を取らねば!的な?)
さてそんな焦りの中、発達障害の診断を受け、治療を始め…
結論から言って私はどう変わったか?というと、
「聞くのと書くのは両方同時には無理だ」と言うことを悟り、それを諦めました。
………….えええ?!諦めたの??!
そのために精神科の門まで叩き、治療始めたのに?!?
自分でも不思議なくらい、あっけなく手放しました。
そして私にもできる方法は何か?と考え始めました。
ストラテラ(アトモキセチン)による薬の効果として上げられるものに、
「冷静な判断力」「優先順位がつけられる様になる」みたいなものがあると思うのですが、
経験から思うに、
とにかく根拠のない自信(過信)しかなかった私に、
冷静かつ客観的に、最も建設的な”最適解”を導き出す助けになってくれたように思うのです。
「諦める」ということは一見マイナス思考ワードのように感じますが、
「できない」という事を認めてできる事にスポットを強制的に当ててくれる、
どちらかというとポジティブワードだと私は思ってます。
感覚的には、
脳内にすごく冷静な判断力を持った友人、みたいなのが住み着き、
「あなたの目的に一番の近道はコレ。一見遠回りに見えるけど、マルチタスク出来なんだから仕方ないよね。障害あるわけだし」
みたいに言ってくるようになります(魔女宅のキキ的存在笑 伝われ)
その友人の指示で(笑)授業をレコーダーで録音させてもらう許可を取り、
スマホの容量はすぐいっぱいになりそうだったので授業専用のレコーダーを購入しました。
授業中はなるべく「理解する事」に徹して、
要所をメモに取り記憶のフックを最低限自分にわかる文字(全部ひらがなでもなんでも!)書き残すようにしました。
授業の録音とか著作権的な事項にあまりうるさい事を言わない先生だったので助かりました(笑))
そしてなるべくその日のうちにその録音を聞きながら、
授業中に取ったメモを頼りに自分なりにノートをまとめる、と言うことをするようになっていきました。
こうして、いわば授業を2回受けるような形になり、
おかげで理解力が増して、
授業の度に疑問に思った事を質問したりできるようになりました。
先生も私の理解度を確かめながら授業を進めてくれるようになって行きました。
超劣等生だったこの私が!涙
これは奇跡でも特別な事でもなく、
「できない」と言うことを受け入れて(悟り)、自分でも出来る代替え案に置き換えて淡々とこなし、それが蓄積して行ったごく普通の結果なんです。
思い返すと、私はいつもなんでも「出来る」と思っていました。
(実はできていないんですけど!!)
「なんとかなった!」と言う記憶だけを都合よく覚えていて、根拠のない自信ばかりで脳が埋め尽くされており、
「できない自分」をいつもうまくごまかして隠して忘れて生きてきていました。
(実はごまかせてもいないし、隠せてもいなかった。。)
全てが「その場しのぎ」で何ひとつ蓄積して行く事がなかった。
妙な自信があったのは、集中している間はそこそこ凡人ばなれした技を繰り出す事ができ(ADHDの特徴とも言えます)そこを褒められたりしていたからなんです。
ハリボテだけど褒められた誉れだけでなんとか「こなして」やって来れてしまったんです。
自分の中に蓄積させて行きたいような、
ずっと忘れたくない重要な事に出会っていなかった、というと言い訳じみてるけど、
本当に手に入れたいモノみたいなのものに出会って初めて、
人は心底自分を変えたい、変わりたい!と思うのかもしれないです。
当時私は、このレコーダーを肌身離さず持っているくらい大切にしていました。
何故ならこれは私の脳の一部だったから!
そんなわけでADHD治療の効果により得た
冷静な脳内の友達(笑)からの助言で、
「できない自分を受け入れ、
確実に出来る方法でひとつひとつタスクをつぶす」
「自分を過信しない」
です。
これ、いわゆる定型発達、つまり障害のない脳では当たり前に出来る事みたいです。
つまり常に、時間や能力などの限られたもの(事)の中で
自分に与えられた性分をわきまえて、差し引きしたり、何かを犠牲にトレードしたりしながらそれに見合った行動をしているという事なんです。
「遅刻しそう…コンビニ寄って行きたいけど、
一本電車乗り遅れたら遅刻しちゃうから諦めるか…。コーヒーは会社の自販機ので我慢しよう」
と言う思考ができる。
ADHDはそのトレードが難しい。全部できると信じて止まないし、どれも諦めない。
マルチな処理できないのに!
でもだからこそ、どれもこれも可能な気がして持ちすぎてしまう。
ストラテラ(アトモキセチン)の効果は、
物凄い回転数で空回りし続ける脳の中の歯車を、いったん目に見えるくらいの回転速度まで落とし、
空回りしないようひとつひとつゆっくり噛み合わせ、
時間はかかるけど、確実に歯車が噛み合って動いてきちんと仕事ができるように、地に足がしっかりとつけられ、ゆっくりでも自分の足で踏みしめて歩く、そんな体験をさせてくれるように思います。
そして、一度その歯車が噛み合う感覚を知る事が出来ると、
どうすれば空回りをせずに済むのか、コツがわかってきます。
常に「自分はキャパシティーに対してモノを持ちすぎるのだ」
と言う事を認識し、
持てるだけ持つ、
噛み合う速度まで落とす、
が出来ればよいわけです。
この世界(景色)を知ってるのと知らないのとではずいぶん違います。
この世界、この速度を私は今まで
知りませんでした。
意外とゆっくりなんだな、世界は。
みたいな笑
そしてストラテラ服用中にできるようになることのもうひとつが、
「逆算の思考」です。
例えば、朝9時に気持ちよくPCに向かってnoteを書き始めるには、
何時に起きて、何時までにシャワーを浴びて置かなければならないか?
みたいな事なのですが、
「優先順位をつけられるようになる」みたいな言い方もできるかもしれません。
先ほどの、遅刻しそうなのにコンビニに寄ってしまいがちなのを例に挙げると、
どうしても朝コンビニに寄ってコーヒーを買いたい、と言う場合、
その目的を達成するために何が出来るか?を冷静に考え、実行できるようになる、と言う事です。
例えば、
朝少し早く家を出る
電子マネーにチャージが済んでいるか確認する
倒してもこぼれないタンブラーを持参する
こう言う感じで、
少しだけ先の自分行動を先読みして、そこで自分がちゃんと目的を達成できるようにしておいてあげる、
みたいな事が出来るようになります。
ルーティン(憧れの!)みたいなものを作る事が出来るようになるのです。
この能力を効果的に最大限に発動するために、
自分が行動する上での「最優先事項(目的)」をひとつ決めておくとさらに加速して良い脳の癖づけができるようになります。
簡単に言うと、
「○○だから」と言うような口癖を持つ事です。
そのたった一言で、
重たかった腰がヒョイっと上がるようなモチベーションが上がる「魔法の言葉」をひとつだけ、口癖にして持っておく、という事。
人のバイオリズムは日によっても時間帯によっても違います。
でもこの魔法の口癖を持っていると、
どんな時でも、ヒョイ、と動けるようになるのです。(まさに魔法!)
私はこの事を脳科学を知り尽くした作業療法士の菅原洋平さんの本
「すぐやる!を読んで知り、自分に取り入れました。
発達障害、ADHDの為に書かれた本ではないですが、
脳科学的なアプローチが本当にすごくてツボだったので!面倒臭がりさん、先延ばしさんにはきっと響くと思われるオススメの本です。
シンプルなこの魔法の言葉を自分の中に置いておく事で、
脳の司令塔である私の冷静な友人が!さらに力を発揮してくれるようになりました。
ちなみに、どうでも良いかもですが私のその魔法の言葉は
「気持ち(心地)いいから」です。
常に自分が心地よく居たいのです。
そのために全ての行動をしているような気がします。
なんという安い最終目標でしょう!!(笑)
例えば食事の後、使った器を流し台に置く…前に、チャチャっと1、2分かけて洗っておけば、次に流し台の前に立った自分は「気持ちよく」いられます。
面倒だな、と悪魔が囁いたら
「でも、今やっとけば後で”気持ちいいから”洗っておこっと」
全ては「気持ち良いから」という私の最大かつ最終目的を満たす為!
さらに脳の変革が進んでいくと、
私の脳の司令塔がその「チャチャっと洗うために」出来ることは何か?
どんどん「気持ちよくいる」為の試行錯誤を始めます。
その為の道具を揃えたり、洗いカゴの位置を使いやすく変えたり、常に切らさず買っておくものが定まって行ったりして、
どんどん物事がシンプルにスムーズに行える環境が整って行きました。
自分の事について熱く語りすぎましたが(汗)
この魔法の口癖は、
例えば「褒められるから」とか、「嬉しいから」とか
「勝てるから」とか
なんでもよくて、
人それぞれモチベーションが上がる言葉は様々なので、
是非、
自分の気持ちが上がる言葉をひとつ口癖にして、
最優先の行動目的として掲げてみてください。
口癖にする、なんて、まるでお遊びのようですが、
これ実は、いずれ
「私はなんの為に行動するのか?何の為に生きるのか?」
みたいな、
人生の軸みたいなものにも繋がって行くように思います。
選択肢が多くて悩んだ時も、私の最優先事項である「気持ち(心地)いいから」を満たすのはどれか?
と考えると、多くの中からひとつを選ぶ助けとなってくれるとおもいます。
またしても長々と長々と書いてしまいましたがここまでお付き合いありがとうございます!
次回以降は、薬を飲まなくなった今でもそのコントロールを維持するコツや、
治療の助けにもなる日常的な事、
読んで為になった本などを紹介していきたいと思います。
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