FAR4-5 16.Investment

〇有価証券の分類
有価証券は大きく2つに分けられる
①債務証券(debt securities)
→社債や地方債のこと
②持株証券(equity securities)
→株式のこと

債務証券はその保有目的に応じて3つに分類される
①満期保有目的債務証券(held-to-maturity debt securities)
償却原価(amortized cost)で評価する
※満期まで保有することが前提なので期末に時価評価する必要はない

Unrealized gain and lossは計上しないが、期間中のRealized gain and lossは計上する

Acquisition cost= Payment - Accrued Interest
Amortized cost= Acquisition cost +Amortization of Discount
(Amortized cost= Acquisition cost - Amortization of Premium)

bondsの価値が最も高くなるのはプレミアム発行されたものを実効金利法で償却した場合である
→定額法では毎期一定額を償却していくのに対して、実効金利法では徐々に償却額は増えていく

②売買目的債務証券(trading debt securities)
→時価で評価し、未実現利益は当期の損益として認識する

③売却可能債務証券(available-for-sale debt securities, AFS)
→時価で評価し、未実現利益はその他の包括利益(OCI)として認識する

持株証券はその保有比率によって3つに分類される
①持株比率が20%未満の場合
→時価評価し、未実現利益はNet incomeとして認識する

②持株比率が20%以上50%以下の場合
→持分法により会計処理

③持株比率が50%超の場合
→財務諸表に連結(Consolidation)される

〇売却可能有価証券の組替調整
→AFSの売却と同義

OCIにためていた評価損益を実現させる
損益には法人税を適応させて計算する

〇有価証券の減損(Impairment for securities)
→有価証券の中でも債務証券(debt securities)の満期保有目的有価証券(HTM)売却可能有価証券(AFS)が対象
発行企業の財政状態の悪化等によるリスクを反映させるため。

基本的には売掛金の貸倒引当金と同じ処理方法。

実効金利法で償却原価を計算して予想信用損失を求める。
→期末に再評価して信用損失費用をさらに下げるときと、戻入する場合に分かれる。

減損後の価値>期末時点での公正価値
or
減損後の価値<期末時点での公正価値

で処理の仕方が異なる。

HTMとAFSの違いとしては、再度時価評価をするか否か。
HTMは期末に時価評価しないため、減損後の価値がその証券の価値となるがAFSは期末に時価評価するため、減損処理後の価値を期末に再度評価しその差額はOCIに振り分ける。

また、AFSの売却可能性が50%を超えた場合には引当金を全額取り崩し、その時点の公正価値で評価下げを行う。

〇分類の変更(Reclassification)
HTM、Trading、AFS間の変更は原則認められていないが、合理的な理由にのみ認められる。

Trading→HTM,AFS&HTM→Trading&AFS→Tradingの場合
→時価評価して差額はnet incomeへ

AFS→HTMの場合
→時価評価して差額はOCIへ

HTM→AFSの場合
→時価評価して差額とこれまでAccumulated OCIの合計を残存期間で償却する

〇デリバティブ(Derivative)
→将来の予想が人それぞれ異なることを生かした金融商品のこと。

金融商品がデリバティブとみなされるためには以下の3つの要件全てを満たしている必要がある。
①基礎変数と支払条項(underlying and payment provisions)
→金融商品について変動する価格×量によって支払額が決まる
②初期投資額(initial investment)
→金融商品の初期投資額がゼロか小額である
③差金決済(net settlement)
→差額だけでやり取り、決済することが認められている

基礎変数→underlying variable
想定元本→notional amount

デリバティブ取引の考え方は、今後変わり得る将来に対して、まったく正反対の期待を持っている2者が存在することで成り立っている。
これにより、デリバティブ取引は2種類のタイプの使われ方をする。
①リスク回避
→P社は今後自社で生産販売しているジャガイモの値段が下がると考えている。一方、ジャガイモを購入しているM社は今後ジャガイモの値段は上昇すると考えている。
これらの相対する2者間で不確実性を取り除くために利用される。

②ギャンブル
→今後のジャガイモの値段の上昇を狙って、安いときにP社からジャガイモを買い取っておき、値段が上昇したタイミングでM社に売る。
一見ネガティブに見えるが、デリバティブ商品の流動性を高めるためには欠かせない存在であるともいえる。

〇先渡契約と先物契約の違い
①先渡契約(Forward contract)
→1対1のみによる取引(negotiated transaction)
               &
   現物取引(physical settlement)

②先物取引(Futures contract)
→マーケットによる取引(traded on an organized exchange)
                &
   差金決済可(net settlement)

権利行使価格>基礎変数
→out of the money
権利行使価格<基礎変数
→in the money

〇スワップ契約(Swap contract)
→将来の一定期間における経済価値が同じであると考えられる2つのキャッシュフローを両者間の合意の下で交換する取引のこと。

大半の取引は金利スワップと呼ばれるものである。
→将来の金利が上がると思っている、変動金利を支払っているX社と将来の金利が下がると思っている、固定金利を支払っているY社。
この2社間でお互いの支払いをスワップする取引。

〇オプションプレミアム(Option premium)
→本源的価値(intrinsic value)と時間価値(time value)の合計のこと。

権利行使価格(exercise price)で取引できる権利を購入するためにオプション契約を締結するときに代金(例、$50)を支払う。

権利行使価格$11で時価が$10である場合、権利を行使したところで損失しか出ないため、この場合のオプションプレミアムは本源的価値がゼロ、すべて($50)時間価値であると言える。

一方、満期日が近づくにつれて時間価値は低減していき、満期日にゼロとなる。
時価が$12の時に権利を行使し、1株$11で1000株を購入したとすると、
($12-$11)×1000株=$1000
となり、本源的価値が$1000であると言える。

権利を行使したときに時間価値を時価評価し、差額があればnet incomeに振り替える。
(もし時価が$30であれば、$50-$30=$20が差額となる)

また、FASBではデリバティブは資産及び負債であり、財務諸表には公正価値で計上することを規定している。
→投機目的の取引の場合は未実現保有損益(unrealized holding gain or loss)はnet incomeに計上する。

近年、新たに高度な金融商品が開発されており、その一つにハイブリッド証券というものがある。
代表例は、転換社債(convertible bond)である。
転換社債の場合、社債としての役割と株式に転換することができる権利という役割の二つに分けられる。
このとき、前者を主契約(host contract)、後者を組込みデリバティブ(embedded derivative)と呼ぶ。

そして、組込みデリバティブ部分は時価評価が義務付けられているため、主契約から分離する必要があるが、この過程のことをバイファケーション(bifurcation)と呼ぶ。

〇ヘッジ会計(Hedge accounting)
→デリバティブをリスク相殺の手段として利用したときに適応される会計基準のこと。

ヘッジ会計には現在持っている資産や負債に対するリスクヘッジとして利用される公正価値ヘッジ(Fair value hedge)と、将来の支払いや受け取りに対するリスクヘッジとして利用されるキャッシュフローヘッジ(Cash flow hedge)がある。

公正価値ヘッジによる損益→net incomeへ
キャッシュフローヘッジによる損益→OCIへ

パーフェクトヘッジ(perfect hedge)
→どんな損益も相殺する、リスクを完全にヘッジできるデリバティブである。

〇ヘッジ会計が適応される条件
→以下4つを全て満たしているとき
①ヘッジ指定(designation)及び文書化(documentation)
②ヘッジ対象の適格性(eligibility)
③ヘッジ手段の適格性
④ヘッジの有効性(effectiveness)

〇公正価値オプション(Fair value option, FVO)
→FASBでは、企業の選択により資産および負債を公正価値で測定することを認めている。
FVOが適応される項目の例
→・満期保有目的有価証券
 ・売買可能有価証券
 ・持分法適応証券
 ・社債

企業により公正価値オプションが選択された場合は期末にこれらの金融資産および負債を時価評価し、差額はnet incomeへ。

〇金融商品に関する開示のルール
→・公正価値
 ・公正価値の見積もりに使用した重要な仮定や方法
 ・公正価値の見積もりに使用した重要な仮定や方法に変化があった場合は   
  その内容
を開示する。
また、金融商品の公正価値を統合、合算あるいは相殺することは認められていない。

デリバティブは上記のルールと別で以下のことが開示において規定されている。
→・デリバティブを利用する理由と方法
 ・会計処理の方法
 ・デリバティブが財政状況に与える影響
 ・デリバティブの目的別(リスク管理目的か投機目的か)に区別して開示
  する
 ・デリバティブの損益が「その他の包括利益」に「計上される場合、ほか
  の「その他の包括利益」とは区別して表示する

〇持分法(Equity method)
→20%から50%(あくまで目安)の株式を保持し、重大な影響力を行使しているときに持分法を適用する。

※「重大な影響力」とは、取締役会への代理人の派遣、経営方針の立案活動への参加など

重大な影響力を行使し、持分法を適用することになった場合、株主は持っている株の会社を自社の関連企業として扱うことになる。
会計処理は以下の通りとなる。
投資時
Dr)Investment   XXX
       Cr)Cash   XXX
被投資会社の利益計上時
Dr)Investment   XXX(総利益×持分比率)
      Cr)Income from investment   XXX
配当時
Dr)Cash   XXX(総配当金×持分比率)
      Cr)Investment   XXX

期中に持分法を適応することになった場合は保有期間を〇/12と表してかければよい。
投資時
Dr)Investment   XXX
       Cr)Cash   XXX
被投資会社の利益計上時
Dr)Investment   XXX(総利益×持分比率×〇/12)
      Cr)Income from investment   XXX
配当時
Dr)Cash   XXX(総配当金×持分比率)
      Cr)Investment   XXX
→配当に関しては配当基準日に株主名簿に名前が記載されてさえいればよいので保有期間をかける必要はない。

〇時価評価法から持分法に変更した場合
重大な影響力を行使した時点で持っている株式を時価評価し、差額をGain (loss) on investment勘定とし、新たに取得した株式の取得価格と合計すればよい。







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