FAR4-5 29.Government Financial Reporting
〇報告主体
→財務会計同様、政府の財務会計においても政府関連組織を報告の範囲に含めるか否かという問題がある。
政府は営利企業に比べて多くの関連組織を持っていることから、その財務諸表は複雑になる。
報告主体は以下2つに定められている。
①主要政府(Primary government)
→・一般目的地方政府(州政府や市、郡)
・特別目的地方政府
(以下3つのすべてを満たす場合、特別目的地方政府となり主要政府となる
・独自に住民により選出された管理機関を有する
・法的に独立している
・財政がほかの州政府および市や群の政府から独立している)
②構成単位(Component units)
→財務的アカウンタビリティを有していれば構成単位になるし、有していなければ主要政府となる。
財務的アカウンタビリティの有無の判断基準の第一要件は「当該組織の管理機関のメンバーの過半数を任命していること」
上記の要件を満たしたうえで以下2つのいずれかを満たす必要がある。
①当該組織に対して重大な影響力を行使できること
(主要政府がその組織の管理機関メンバーを解任できる、その組織の予算を修正し承認できる)
②当該組織が主要政府に一定の財務的便益を提供し、または一定の財務的負担を負わせる可能性があること
〇構成単位の財務報告
→構成単位を主要政府の財務諸表に表示する場合、別欄表示と合算の2種類の方法がある。
実務上は別欄表示がほとんど。
〇包括年次財務報告書
→営利企業のアニュアルレポートにあたるもの。
以下の3セクションで構成される。
①導入セクション(Introductory section)
②財務セクション(Financial section)
③統計セクション(Statistical section)
〇最低限満たさなければならない政府財務報告内容
→①MD&A
②基本財務諸表(WFSで2枚、FFSで7枚)と財務諸表注記
③MD&Aを除く必須補足情報
〇公立大学の財務報告とその他の特別目的地方政府の財務報告
公立大学(public colleges and universities)
→GASBの管轄であるが、原則、特別目的地方政府と同じ財務報告基準を適用する、とされてきたが、多くの批判を浴びてきた結果、「抜け道(loophole)」という形で以下3つから選択できる。
①政府型活動のみに従事する特別目的地方政府として報告する
②政府型活動及び事業型活動の双方に従事する特別目的地方政府として報告する
③事業型活動(business-type activities)のみに従事する特別目的地方政府として報告する
公立大学以外の特別目的地方政府
→一般目的地方政府の構成単位として組み込まれることもあるが、単体での財務報告を義務付けられる場合がある。
その場合、簡便法での表示が認められている。
具体的には、正味資産計算書または貸借対照表、収益・費用及びファンド正味資産変動額計算書、キャッシュフロー計算書のみを作成すればよい。
〇正味資産計算書(Statement of net position)WFS
表示形式としては、以下の4つのパートに分けられる
→①政府型活動
②事業型活動
③主要政府合計
④構成単位
正味資産(net position)の区分
→以下の3つに区分される
①関連債務差引後の資本資産への純投資額(invested in capital assets, net of related debt)
②使途制限のある正味資産(restricted net position)
③使途制限のない正味資産(unrestricted net position)
〇活動計算書(Statement of activities)WFS
→4つのパートに分けられる
①機能/プログラム活動(function/program activities)毎の総費用(total expense)
②機能/プログラム活動の費用を直接負担する関係にある収益
③①-②の正味の費用
④一般収益(general revenues)
〇貸借対照表(Balance sheet)FFS
→流動財務資源(current financial resources)が測定焦点となる。
ファンド残高の部は以下のように5つに分けられる
①支出不能なファンド残高
②(政府外部による)使途制限付きファンド残高
③(政府内部による)使途制限付きファンド残高
④使途の割り当てられたファンド残高
⑤使途制限のないファンド残高
〇収入・支出及びファンド残高変動計算書(Statement of revenues, Expenditures, and Changes in fund balances)FFS
→以下2項目が表示される
①収入・支出(revenues, expenditures)
②その他の資金流入及び流出(other financing sources and uses)
〇正味資産計算書(Statement of net position)FFS
→以下の通り、3つに区分しなければならない。
①関連債務差引後の資本資産への純投資額(invested in capital assets, net of related debt)
②使途制限のある正味資産(restricted net position)
③使途制限のない正味資産(unrestricted net position)
〇正味資産変動額計算書(Statement of revenues, Expenses, and changes in fund net position)FFS
→以下注意項目。
①拠出資本(contributed capital)
②資金振替(transfers)
〇キャッシュフロー計算書(Statement of cash flow)FFS
→以下3つに区分されている。
①営業活動(operating activities)
②投資活動(investing activities)
③財務活動(financing activities)
→・資本投資(capital investment)に直接関連する資金調達
・資本投資(capital investment)に直接関連しない資金調達
の2つにさらに分けられる。
〇受託正味資産計算書(Statement of fiduciary net position)Fiduciary FFS
→大きく分けて2つのファンドがある
①信託基金ファンド(trust funds)
②仮受保管ファンド(custodial funds)
各ファンドにおいて資産(assets)、負債(liabilities)、正味資産(net position)が報告される。
〇受託正味資産変動額計算書(Statement of changes in fiduciary net position)Fiduciary FFS
→各ファンドにおいて正味資産への加算項目(additions)、正味資産からの控除項目(deductions)、年間の正味資産の純変動額(annual net change)が報告される。
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