マガジンのカバー画像

こうりん (降臨)

30
女神アマテラスと青年とのお話し。連作作品にはファンタジーあり、エッチあり・・。一話一話が長くなりがちですが、よろしくお願いしますね。 アマテラスのモチーフは私自身です。
運営しているクリエイター

#アマテラス

こうりん (降臨) 28

あるスーパーのバイトのメモ 3

ある日、尼さんが男性と一緒に買い物にきた。
尼さんより頭一つ分以上背が低いけど、小柄なわけじゃない。
尼さんが高すぎるんだ。

そういえばこの男性、何度か見た事がある。
あたしより背が高くて、若そうに見える。
尼さんとはどういう関係なんだろう。
姉弟なのかな。
まさか夫婦なんて事はないだろう。
でも、買い物中の中睦まじさを見てると、カップルかも知れない。

あんな

もっとみる

こうりん (降臨) 27

あるスーパーのバイトのメモ 2

彼女の事は、てんしょうさんでは、やっぱり言いにくいので尼さんと呼ぶ事にする。
尼さんは、たいがいざっくりとしたワンピースでお店に来る。
あの巨大なおっぱいからあたしが想像するに、一番楽なんだろうと思う。
知らんけど。
でもたまにワンピースじゃない時がある。
作務衣みたいに前が着物の合わせのようになったものや、キャミソールのワンピース、チャイナ服、AKBみたいな服、

もっとみる

こうりん (降臨) 25

あるスーパーのバイトのメモ 1

あたしの名前は佐藤栞里。
実家は老舗の呉服屋。
このスーパーでバイトを始めて約一年になる。
季節を一通り経験したし、そろそろ、仕事の内容にも飽きてきた今日この頃。
そんなある日、あたしの憂鬱な気分が一発で消し飛ぶ出来事があった。
それは、一人の女性が店に来た事だった。
その女性のルックスは、衝撃的過ぎた。
190センチはありそうな高身長に、あたしが両手を広げたくら

もっとみる

こうりん (降臨) 34 卑弥呼の秘密

「のう、最近何やら世間が騒がしいようじゃが?」
アマテラスが、雨続きでたまった洗濯物をたたみながら何気ないふうに言った。
「アマテラスはヒミコって知ってる?」
「ヒミコ?」
「うん、二世紀末から三世紀前半にかけて、倭国って言う昔の日本を統治したとされる邪馬台国の女王のことなんだ。」
「やまたいこく?」
「アマテラスが封印されてから数百年以上もあとのことだから分からないよね。」
「そのヒミコがどうか

もっとみる

こうりん (降臨) 21

無事にゴルフウェアの撮影も終わり、あれ以降、樋口さんのゴルフ場には、異変は起こらなくなった。
ゴルフウェアのネット販売の準備も、ゴルフ場の建設も順調に進んでいるみたいだ。

ある日、王さんからラインが来た。
今度の土曜日のドレメ教室に来て欲しい、と言う内容だった。
土曜日、アマテラスとダックスで大家さんの家に行った。
アマテラスは、大家さんに作ってるもらったワンピースを着て行った。
大家さんが以前

もっとみる

こうりん (降臨) 20

アマテラスの服のコンペがあってから、2週間ほどしてから、樋口さんからラインが来た。

アマテラスのウェアが出来たので試着しに来て。

との事。
いつもいつも大家さんに迎えに来てもらうのは気が引けるので、今回はダックスで行く事にした。
と言っても、ぐずぐずしてると大家さんが来るかも知れないので、交わりは夜だけにして、朝はいつもより早く起きた。
おかげさまで、大家さんが来る前に部屋を出る事が出来た。

もっとみる

こうりん (降臨) 31

10月のある日、いつものように午前中のバイトを終えて部屋に帰ると、アマテラスの姿が見えない。
買い物にでも出かけているのかと待っていたけど、一時間経っても二時間経っても帰って来ない。
まさか、アマテラスに限ってと思ったけど、いてもたってもいられなくなって、スーパーまで探しに行った。
よく見かけるパートの女の子に聞いても
「尼ちゃん、いえアマテラスさんなら午前中に来店されて、もう帰られましたよ。」

もっとみる

こうりん (降臨) 19

アマテラスと大家さんの家に行ってから、二週間が過ぎた。
取り立てて、問題や事件もなく、平穏な二週間だった。
僕は午前中コンビニでバイト、午後は受験勉強、夜はアマテラスと交わる、のルーチンを続けた。
アマテラスは家事をして、テレビを見て、夜は僕と交わるルーチンを続けた。
新しい大家さんによって、女人禁制は解かれたので、買い物に行く時はもう、僕になる必要はなく、大家さんが作ってくれた服を交互に着て出か

もっとみる

こうりん (降臨) 18

コマの霊を天に送った翌日の午後、大家さんが部屋に来た。
アマテラスの服を作るのに必要な、アマテラスを採寸するためだ。
部屋に上がってもらって、ドアに鍵をかけてから始めた。
大家さんはアマテラスのワンピースを脱がせると、ショーツ一枚の姿にして、セカンドバッグからメジャーを取り出した。
「教室で使っているメジャーの中で一番長い物を持って来ましたのよ。」
と言って伸ばしたメジャーの目盛りを見ると、5メー

もっとみる

こうりん (降臨) 17

突然のことだけど、大家さんが亡くなった。
詳しくは知らないけど、持病が悪化したらしい。
一応、店子としてお通夜には参列した。
アマテラスも実体化を解いて僕と一緒にいた。
この部屋はどうなるんだろう、と心配していた矢先、部屋に来客があった。
「いらっしゃいますか?」
とドアをノックする。
「どちらさまですか?」
「秋川ですが。」
と大家さんの苗字を名乗った。
「はい、ちょっと待って下さい。」
ヤバい

もっとみる

こうりん (降臨) 16

女神の日常 2
我がスーパーに買い出しに行く時の話をしよう
彼と我が住まいしておる部屋は、女人禁制で女子の出入りを禁止しておる。
これは、大家の意向らしい。
我は女神じゃが、外見は女人なので、大家に分からぬよう、部屋の出入りの時は、彼の容姿を借りる事にしている。
念の為じゃ。
スーパーに行く途中で、彼の容姿から我が姿に戻る。

道路での難関、その一。
道路には、歩道と車道がある。
歩道は、読んで字

もっとみる

こうりん (降臨) 14

女神の日常

彼は朝からバイトに出かけた。
部屋から歩いて10分とかからぬコンビニじゃ。
我が来てから散財が過ぎたようで、申し訳ない気がする。

朝起きてまず朝食の準備をしながら洗濯。
朝食を食べ終えると洗い終えた洗濯物を干す。
それから朝8時から昼12時までバイト、帰ってから、バイト先で買ってきた弁当を食べ、朝食の片付けと洗濯物の取り込み、それが終われば勉強。
夕方から夕食の準備、夕食を食べてそ

もっとみる

こうりん (降臨) 13

朱美ちゃんの事があってから、僕は御神体の鏡を肌身離さず身につける事をアマテラスに提案した。
アマテラスは、特に異を唱える事も無く、賛成した。
どうするのが一番良いのか、考えあぐねた結果、袋に鏡を入れて首から下げるのがオーソドックスで、一番確実だと言う結論に達した。

材質を何にするのか。
肌身離さず身に付けるのであれば、肌に優しい方がいい。
しかも、破れたり切れたりなど破損しないものがいい。
布や

もっとみる

こうりん (降臨) 12

最近、ちょっとした事が起こってる。
小さな取るに足らない事なんだけど。
朝起きたら机の上の物の位置が微妙に変わっていたり、本棚の参考書の順番が入れ変わっていたり、食器棚の扉が左右違っていたり。
誰かが触っているみたいで気持ち悪い。
アマテラスに聞いても、触って無いと言う。
「ふーん、思い違いであろう?」
「違うよ、夕べなんか寝る前に写真を撮って、今朝比べてみたらやっぱり場所が変わってるんだ。」

もっとみる