大地と漆黒を駆ける

戦いの跡　焼け野が原で

散り落ちた破片を　集める

炎と憎悪と

血と刃物と狂気

危ないものは　醒めてから

無くしたものを　必要な人の胸へ

全ては　過ぎ去った土塊

大きく聡明な黒い馬にも

鋼の鎧の騎士にも会えないけれど

彼らはまだ　駆けているのだと

この大地を誇り　守っているのだと

剛の痕が爪をたて　裂く風が　

教えてくれる

倒れる木々　闇の境目　蹄の跡

道はそこにあるけれど

触れられない

いつか会えたら　何を話そう

盾の装飾　それとも　黒い馬の漆黒の蹄鉄

美術品みたいね　って言ったら

重要文化財だ　って言うかな

そんなに　破損しているのに？

趣だよ　って返される

馬に乗せてよ　って言っても

絶対乗せてはくれない

代わりに　仔馬の隠し場所を

見つけておくよ

あなたによく似た　美しい瞳の黒い馬

風が駆けて　柔らかな立髪を揺らす　

木漏れ日の緑の場所で