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感情が死んでいると感じる人へ〜感情の平板化、鈍化、鈍麻について〜

最近おもしろいと感じることが減った。前はもっと感情が動いていた、揺さぶられた気がする。嬉しい気持ちってどういうものだっけ。ショックなはずなのにどこか他人事な自分がいる。なんだか鈍くなっているような感覚がある。

このように感じたことはありますか?気にならない程度なら良いのですが、どうすればいいんだろう、どこか病気なのかな、不安だなと感じる人もいるかもしれません。

感情が死んでいると感じる、何も感じない気がする、どこか冷めていて感情が動かないと思うのにはさまざまな理由があります。その理由、どうすれば感情の起伏を感じられるようになるのか、ということについて話していきます。


感情が動かなくなっていく理由


1.経験や状況の変化
人々は新しい経験や状況に遭遇することで感情が変化することがあります。例えば、初めての頃は感じていた喜びや興奮が慣れるうちに次第に収まって最初の頃ほど感じなくなってしまうことがあります。近い言葉で言うと、マンネリ化(マンネリズム)です。これは同じことを繰り返し行うことによって、物事や経験が新鮮さや刺激を欠いて退屈に感じられる状態のことです。日常生活やルーチンの中で何度も同じことを繰り返すことによって、興味や情熱が薄れ、新しい刺激や変化を求める欲求が高まることがあります。マンネリ化を避けるためには、新しい経験や活動を導入したり、ルーチンを変えたりすることが重要です。

2.感情の成熟と変化
年齢や成熟に伴い、感情も変化することがあります。子どもの感情と大人の感情は異なることがあります。昔は大好きだったことが、大人になると自然とやらなくなることもありますよね。

3.精神的な障害
長期間にわたるストレスやトラウマによる抑うつ症状や不安障害などの精神的な障害は、感情の鈍化や感じなくなる原因として一般的です。感情がしぼんだり、無感情になったりすることがあります。

4.健康問題
健康上の問題や脳の変化は感情に影響を与えることがあります。例えば、神経学的な障害や脳の損傷(パーキンソン病や脳損傷等)は感情に変化をもたらすことがあります。脳に影響があると抑うつ状態になることもあるのです。

5.薬物やアルコールの乱用
特定の薬物やアルコールの乱用は、感情の変化を引き起こす可能性があります。一部の薬物やアルコールは脳に影響を与え、感情を鈍化させることがあります。

6.環境要因
社会的な孤立、孤独感、ストレスフルな環境、過度なルーチンなどの環境要因も感情に影響を与える可能性があります。また、親の顔色を伺い育ってきた人や相手に合わせる癖が幼い頃から染み付いている人は、しばしば自分の感情なのか相手の感情なのかわからなくなり、自分の感情は死んでいると感じることもあります。

毎日同じ生活を送っているうちに感情が動かなくなっていく?

家と職場の往復を繰り返すという同じような生活を毎日送ることは、感情や精神的な健康に影響を与えることがあります。特にルーチンが過度に単調で刺激が少ない場合は以下のような影響があるとされています。

1.モチベーションの低下
過度に単調な生活はモチベーションを低下させ、いろいろなことに興味を持てなくなる可能性があります。

2.精神的な健康への影響
単調な生活はストレスや不安を増加させることがあり、精神的な健康に悪影響を及ぼす可能性があります。明日も同じことをするだろう、と将来が予測できてしまうため楽しみも斬新さもありません。すると毎日の生活に刺激が無く感情が動かなくなってしまうのです。そしてストレスがうまく解消できれば良いのですが、毎日同じことを繰り返しているとどうしてもストレスが蓄積されてしまいます。また、人間は本能的に成長できない状況に陥ると不安を抱えてしまうものです。目標を持って進むことができればいいですが、毎日同じことを繰り返し、成長する可能性が感じられなければ、不安が募っていくのです。

3.社交的な孤立
毎日同じことを繰り返すことで、社交的な交流が減少する可能性があり、孤立感を生むことがあります。

4.創造性の低下
新しい経験や刺激が少ない状況では、創造性や問題解決能力が低下することがあります。

これらの影響は人によって異なりますし、ルーチンによって一定の安定感をもたらされているのも事実です。ですが感情の変化がいまいちわからないと思った時は、普段の自分の生活を振り返ってみてください。

感情を取り戻す方法

どうすれば、自分の感情は戻ってくるのでしょうか。生活に多少のバリエーションや新しい経験を取り入れることは、感情的な充実感や精神的な健康にプラスの影響を与えることがあります。バランスを取りつつ、自分自身の健康と幸福を考えることが重要です。具体的に見ていきましょう。

1.新しい経験や挑戦を追求する
新しい趣味やアクティビティを試してみることで、感情を刺激しやすくなります。新しい経験は興奮や喜びをもたらし充実感を得ることができます。ここでは、「どうせ時間の無駄だし…」「おもしろくないだろう」「キャラじゃないし…」と決めつけたり、考えすぎず、とりあえず行動してみてください。考えすぎて結局何も行動できないまま時間が過ぎてしまった時には、自分を責めてしまって悪循環になってしまいます。普段行かないお店に行ってみたり、海や川や森林等の自然に触れたり、いつも見ない新しいテレビ番組やアニメやYouTubeを見てみたり、旅行の計画を立ててみたり。やってみて、合わなければそれでもいいのです。無駄なことなんてありません。

2.ルーチンの変化
日常のルーチンに変化を加えることで、モチベーションや感情が向上することがあります。新しい習慣やスケジュールを導入してみてください。

3.自己ケア
適切な睡眠、栄養、運動は感情の健康に重要です。自己ケアを重視し、身体的な健康をサポートしましょう。夜更かし、寝不足、睡眠不足は気分が落ち込む原因でもありますし、余計感情が落ち込んだところから変わらないまま時間が経ってしまいます。

4.社会的なつながり
友人や家族との交流を深め、社会的なつながりを強化することは感情を豊かにするのに役立ちます。共感的な人々との交流も大切です。オンラインゲーム等でももちろんかまいません。誰かの中に飛び込んでみるというのも、怖い反面おもしろい部分もあるものです。

5.メンタルヘルスの専門家と話す
感情の平板化が持続的で深刻な場合、心理療法やカウンセリングを受けることが役立つかもしれません。専門家は感情に関する問題を理解し、対処する手助けをしてくれます。うつ病や不安障害やトラウマによるPTSDの場合、自力でなんとかしようと思っても手に負えない場合がほとんどです。無理をして余計落ち込んでしまう場合もありますので、最寄りや口コミを調べてメンタルヘルスのクリニックや病院に行ってみましょう。1度行っただけではなかなか効果が出ないので、長期戦になることも念頭に置いておいてください。うつ病等の精神的な障害によって引き起こされる感情の平板化は、一時的なものであり、感情が完全に死んだわけではありません。それらの疾患は治療可能であり、適切な治療やサポートを受けることで感情の回復が可能です。薬物療法や心理療法などの治療方法が助けになり、感情の再活性化をサポートします。感情の平板化は一時的なものであり、治療によって改善される可能性が高いです。

感情の鈍化、平板化、鈍麻について

これまで説明してきたことが病的なのかそうでないのか、はっきり分かるものではありません。精神科の難しいところは、グレーゾーンの幅が広いところです。そしてどれにも当てはまる、という場合もあるのです。はっきり目に見える訳ではないので、1人で悩みを抱え続けてしまいます。そして何より、自分のことを100%客観視することは、誰にもできないのです。人のことならいくらでもアドバイスできますが、自分がいざその状況になったら、人に言えていたようにできるとは限りませんよね。自覚が出ないことが往々にしてあるところも困ったものです。

さてこの3つの言葉についてですが、似たような意味ではありますが、精神医学的にはきっちり分けられています。

感情の鈍化(どんか)(Emotional Blunting)
感情の鈍化は、感情が存在しており、通常よりも弱まっている状態を指します。感情が薄れているため、感情の反応が鈍くなりますが、感情の範囲は通常保たれています。つまり、悲しいことや喜びを感じることができる可能性がありますが、感じ方が鈍いです。感情の強度や表現が抑制されたり、鈍くなったりする状態を指します。これは通常、強い感情や感情的な反応を持つことが難しくなると表れます。感情鈍化はうつ病や他の精神的な障害、あるいは特定の薬物の副作用と関連していることがあります。

平板化(へいばんか)(Emotional Flatness)
感情の平板化は、感情が極端に平坦で、ほとんどの感情が表れない状態を指します。この状態では、感情が薄れているだけでなく、感情のバリエーションが極端に少ないことがあります。つまり、楽しいことも悲しいことも感じにくい、感情のバリエーションが極端に少ない状態です。

感情鈍麻(どんま)(Emotional Numbness)
感情鈍麻は、感情が鈍感で、ほとんど感じない状態を指します。感情は存在していますが、通常よりも弱まっていると感じられます。この状態では、感情が存在し、感情の範囲が広い場合もありますが、感情が弱まっていることが特徴です。鈍麻は感覚的な鈍さや無感覚な状態を指します。これは感情に限らず、身体的な感覚にも関連することがあります。例えば、身体の一部が鈍麻して触覚が鈍いと感じることがあります。また、感情的な鈍麻もあり、自分や周囲の出来事に対する感情的な反応が薄くなることがあります。

感情の鈍化は感情が存在し、感情の反応が鈍い状態であり、感情の範囲は保たれていますが鈍さや抑制を指します。

平板化は感情がほとんどなく、感情のバリエーションが極端に少ない状態です。

鈍麻は感覚的な鈍さや無感覚を指し、感情だけでなく身体的な感覚にも影響を及ぼすことがあります。感情が存在しているものの、非常に鈍い状態を指します。

それぞれへの対処方法

感情鈍化、鈍麻、平板化、それぞれアプローチが微妙に違うので3つに分けて説明してきました。続いて対処方法について説明していきます。

これらの状態は個人によって異なる原因や程度があるため、一つの方法が全ての場合に適しているわけではないため参考程度に読んでみてください。

1.感情鈍化に対処する方法
(自己観察)感情鈍化がいつ始まったか、どの感情が影響を受けているかを理解するために、自己観察を行いましょう。
(人との交流)友人や家族との交流を増やし、感情的なつながりを深めることで、感情の刺激を受ける機会を増やします。
(ストレス管理)ストレスが感情鈍化を悪化させることがあるため、ストレス管理技術を学び、実践しましょう。瞑想や深呼吸などが有効です。
2.鈍麻に対処する方法
(身体的な活動)身体的な鈍麻を軽減するために、運動やストレッチを行い、体を活性化させましょう。
(マインドフルネス)マインドフルネス瞑想を試して、自分の感覚と感情に意識的に注意を向ける練習を行います。
(視覚的・感覚的な刺激)美術館や自然に出かける、音楽を聴く、新しい食べ物を試すなど、感覚的な刺激を楽しむことが鈍麻を和らげるのに役立ちます。
3.平板化に対処する方法
(新しい経験)新しい趣味やアクティビティを導入して、日常のルーチンを変えることで平板化を打破しましょう。
(目標設定)新しい目標や挑戦を設定して、成長や達成感を感じることができるようにします。
(社会的なつながり)友人や仲間と交流を持ち、共感的な人々との関係を築くことが平板化に対抗するのに役立ちます。

これらのアプローチは初心者でも取り組みやすいものですが、状況によっては専門家の支援を受けることも重要ですので、自分に合った方法を見つけるために、試行錯誤しながら進めてください。

まとめ

ややこしくてわかりにくい話になってしまいました。生きていれば、何かのきっかけで、ある日突然、自分の感情が死んだように感じてしまうこともあると思います。小学生、中学生、高校生、大学生と…子どもだから関係ないという話ではありません。ある日突然、悟ってしまうものです。

自分の感情が死んでしまうのにはしっかり過程も原因も理由もあります。1つずつ紐解いていくことで、今の自分が悩んでいること、何に悩んでいるのか、これからどうすれば良いのか、自ずと見えてきます。

それは弱さではありません。自分を責める必要なんてありません。必死で生きている自分を否定しないであげてください。

みなさんが、自分の人生を、生きていけますように。この混沌とした世の中を、強く生きていけますように。八つ当たりをして他の人の人生を壊そうとしたり、法律を破るのはできればやめてくださいね。

この世の中は、1人の人間に優しくはありません。ですが、希望というか未来が無い訳でもありません。自分で自分の人生を選べます。

どうか、誰かのせいにして諦めるのではなく、自分が頑張ったから、今の自分があると思える人が増えますように。

自分の気持ちや感情を押し殺し過ぎず、でも他人とはほどほどに上手いことやれるように…なかなか難しいですが…他人を攻撃するよりも先に自分を守る術を身に付けるのが結局役に立ちますかね…。

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ばらっちょ(旧名:りあらいあ)
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