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山陽本線をただ乗りつぶす

なぜ乗りつぶす?

 当記事では題名の通り神戸駅から門司駅、500㎞を超える距離を山陽本線の鈍行列車で乗り通す。

では、なぜ乗りつぶすのか? 

 それは私が鉄道で神戸から先に行ったことがないという単純な理由。
そもそも中国地方の県に行ったことすらないため中国地方という地域にとても関心を持っており、中国地方の主要都市を通過すると同時に全域を横断する山陽本線を乗り通してみたいというちょっとした夢があったわけである。それに加え、日々の癒しとして夏らしい景色が見たい。それはそれは瀬戸内海を眺めることのできる山陽本線は私にとってもってこいな路線なわけある。
晴れればの話だが…

①新快速で飛ばす兵庫

・旅の始まり「神戸」

(神戸駅 2023/09/02/16:40)

 旅の起点の神戸駅。車窓からの写真になってしまったのは神戸から乗車したのではなく大阪方面から新快速電車にずっと乗ってきたから。そもそも私は神奈川県からやってきたのであり、早朝の出発から鈍行で東海道本線に乗り続け今に至るわけである。ここまでで察する方もいらっしゃると思うが今回はJR線の鈍行列車が乗り放題の「青春18きっぷ」を使用している。  

 神戸駅は山陽本線の起点であると同時に東京駅から延びる東海道本線の終点でもある。山陽本線の旅が始まるこの瞬間に一つの旅が終わったのだ。ということで時刻は16時半を過ぎたところ。気長にお付き合い頂きたい。

(明石海峡大橋 2023/09/02/16:51)

 神戸駅を出発すると新快速電車の次の停車駅は約10駅先の明石駅。
この区間の須磨海浜公園~朝霧間は兵庫県内で海に最接近する区間であり、須磨海岸や明石海峡大橋などを見ることができる。明石海峡大橋は神戸を出発してから約10分ほどで見れる。

(網干駅 2023/09/02/17:32)

 明石や姫路などを通り過ぎ、終点の網干に到着。神戸から1時間ほどの乗車であった。実際は始発の滋賀県は米原からの乗車であったため3時間ほど電車に揺られていた。なかなかの苦行である。

・夕景が広がる「相生」

(網干~竜野 2023/09/02/18:05)

 車窓に目をやると日が沈み始めていた。車内は人気がなく、静寂の中を車輪の「ガタンコトン」という音がこだましていた。窓から差し込む夕日が車内を夕日色に染め、私はぼーっと外の夕景を眺めていた。心地良い時間である、だが同時にどこか心細くもなった。

(相生駅 2023/09/02/18:11)

 相生駅から見える景色は山がちなものであった。あまりイメージは無かったがもしかしたら相生は盆地なのだろうか、あまり都会的な空気は感じない。地図を見たところ平野部が山に入り組んでおり、山と市街地が共存するような姿をしている。写真の正面の方向に市街地が広がっており、市役所などの公共施設が建っている。また海は比較的近距離にあるが細長い湾になっており、瀬戸内海に至るまでは多少距離がある。

②のどかな風景が広がる岡山

・夜で何も見えない...

 姫路始発の列車は相生から乗るときにはすでに立ち客がいるほどの混雑具合であった。仕方なく私も吊革に掴まっては薄暗い外の景色をぼんやりと眺めていた。相生から岡山にかけて山陽本線は何もない平野部を通る、私は数分おきに停車する駅を見ては岡山まであと何駅かと数えるのであった。

(岡山駅 2023/09/02/19:32)

 岡山に到着、岡山に上陸したのもそうだが中国地方に初上陸したという点で私は感動していた。なんてったって人生初である。しかし、別に何か特別変わった景色があるわけではなく日本国内の景色であることには変わらない。でもやっぱり感動。

・寄り道、瀬戸内海を越え「高松」へ

(岡山駅 2023/09/02/19:38)

 岡山に泊まるのには少し時間が早い、なるべく大きい街で泊まりたいのだが広島まで進むと逆に遅くなってしまう。自分が思うベストのチェックイン時刻とは20~21時なのだ。そこで思いついたのは瀬戸内海を渡って四国は高松に宿泊するというもの。岡山~高松の所要時間は一時間ほどであり20:30頃着とベストなのだ。それに瀬戸大橋を渡るというのもこれはこれは魅力的である。そう心を躍らせながら快速マリンライナーに乗り込むのであった。

 高松では宿泊サイトで最安の宿に宿泊した。当然ながらボロい、しかしボロさにも許容できるものとできないものがある。初めて許容できないボロさに出会った。設備の節々にかなりの経年劣化が見られ気を落としたのだが一番心にきたのはエアコンが気休め程度の冷気しか出してくれず室内の温度が外と変わらなかったことだ、これなら千円でも2千円でも多く出して普通のホテルに泊まればよかったと後悔しながら眠りについた高松の夜だった…

高松駅に停車するサンライズ瀬戸号
(高松駅 2023/09/03/07:58)

 朝、目が覚めるとシャワーを浴び逃げるように宿を去った。昨晩はずっと宿にいたため市内観光でもすればよかったと後悔している。お陰様で高松の記憶が宿の記憶しかない。 
 ホームには東京から来たサンライズ瀬戸号が停車していた。昨晩眠りにつく頃出発した列車がここに居るわけだからどこか感慨深い気持ちになる。瀬戸号はこのあと終点の琴平駅を目指し高松を後にした。

(坂出駅~児島駅 2023/09/03/08:42)

 昨晩は日が沈んでいたため外の景色は何も分からなかったが今回ははっきりと外の景色を見ることができて嬉しい。

(坂出駅~児島駅 瀬戸大橋 2023/09/03/08:42)

 瀬戸大橋からは瀬戸内海に浮かぶ島々を見ることができる。瀬戸内海には多くの島がありその数は700以上である、ビックリ。

・再び西へ

(岡山駅 2023/09/03/09:47)

 数十時間ぶりに岡山に戻ってきた。次の列車まで時間があったため改札の外に出てみたのだが想像より都会であった。あまりイメージが湧かないが岡山市は政令指定都市である、そこらの地方都市に比べたら一際大きい都市なのだ。しかし岡山市に区が付くのはどこか違和感を感じる。
 そんなことを思いながら三原行きの電車に乗って次は広島県を目指す。

③観光地が広がる広島

・レトロと海風が混在する街「尾道」

(尾道駅 2023/09/03/11:20)

 三原の数駅手前の尾道で途中下車をした。尾道は以前から気になっていた街であったため今回尾道を訪れるのは楽しみにしていた。

(千光寺公園から眺めた尾道 2023/09/03/14:28)

 尾道の見どころの一つといえばこの景色だろう。市街地は山と尾道水道に挟まれ東西に広がって形成している。平地が少ないため斜面に建物が多く、その街のつくりから「坂の街」と呼ばれている。左奥に見える尾道大橋は対岸の向島を繋いでいると同時にしまなみ海道の一部となっている。なお、向島は駅前のフェリーで渡ることも可能である。

(尾道本通り商店街 2023/09/04/12:49)

 尾道本通り商店街は駅の東側に位置している。銭湯をリノベーションした飲食店、おそらく開業当初からの使用で年季の入った看板の文房具屋や金物屋、昔使われていた商工会や銀行が一般公開されていたりとレトロなお店や施設が多くある。一方、古いお店だけが並んでいるのではなく新しいお店もある。それらのお店はモダンでおしゃれな外観であり、周りのレトロな建物とは違った美しさを放っていた。このレトロとモダンの混在が尾道本通り商店街の魅力である。

(尾道の喫茶店にて 2023/09/04/13:23)

 ラーメンか牡蠣、おそらく旅の道中最も迷ったと言っても過言ではないだろう。尾道といえば「尾道ラーメン」、しかし広島といえば「牡蠣」、お好み焼きは気分ではなかった。迷っているなかレトロな雰囲気な喫茶店が目に入り惹き込まれるように入店すると隣で「カキフライ定食」を食べている方がいるではないか、一気に「牡蠣」に心が傾き「カキフライ定食」を食したのだった。めっちゃ美味かった。

・中国地方の大都会「広島」

(本郷~河内 2023/09/03/16:26)

 山陽本線のイメージはどんなものかと聞かれたとき私は瀬戸内海が車窓から眺められるような路線と答えただろう。ずっと海が見えるとは思っていなかったがまさか山に挟まれた地域を通るだなんて思っていなかった。

 三原から海田市の間には2つ路線がある。一つは今乗車している山陽本線でありこちらは内陸部を通る、内陸部と言っても平野が広がっているわけではなくそこそこ山がちな地域を通る。もう一つは呉線という路線であり、この路線がそこそこ海沿いを走る路線なのである。どちらかと言えば呉線に乗ってみたかったが山陽本線完乗を目標に掲げていたため断念した。また機会があれば今度は呉線にも乗ってみたい。

(広島駅周辺 2023/09/03/18:28)

 広島に到着して思ったのは都会だということ。それもそのはず、中国地方の最大都市なのだから当然だ。何気に広島の街の景色を知っているようで知らなかった。

(広島市 2023/09/03/18:42)

 見えずらいが道路の奥の方に駅西高架橋というオーバーパスがある。都心部に高架橋があることで一瞬東京の景色かと思ってしまった。

(原爆ドーム 2023/09/03/21:23)

 ホテルに荷物を置いていき市内を散策してみた。広島で外せない場所と言ったらやはり原爆ドームだろう。小学生の頃から教科書で幾度も目にしたはずだが実際に訪れると神妙な気持ちになった。78年前の夏にこの地で数多の人々が亡くなったと思うと胸が痛んだ。

(広島駅 2023/09/04/05:48)

 3日目は早く目覚めることができたため始発の岩国行きに乗車することができた。まだ5時台であったがある程度乗客がおり広島という都市の規模を再認識した。

・世界遺産「宮島」

(大野浦~玖波 2023/09/04/06:26)

 始発に間に合うが余裕があるわけではない、そんな微妙な時間に起床した私は寝ようか始発に乗ろうか迷ったが始発に乗ることにした。そんなわけで慌てて身支度をし宿を飛び出した。そんな忙しい朝であったためもう少しゆっくりしておけば良かったとやや後悔気味であったが早朝の透明感のある瀬戸内海を見て自分の選択は間違っていなかったと実感した。

(宮島口駅 2023/09/04)

 広島観光で外せない場所といえばやはり世界遺産の宮島だろう。早く九州に上陸したいがために一度は通過したのだが、心残りがあり大竹駅で引き返し宮島観光をすることに決めた。

(宮島 2023/9/4/07:22)

 宮島へはフェリーで渡るのだがJRのフェリーの場合は青春18きっぷで乗車することが可能である。宮島で見た光景をいろいろ語りたかったが写真の枚数制限があるため後日改めて記事を上げようと思う。

④瀬戸内を眺める山口

・大迫力、瀬戸内を眺める

(岩国駅 2023/9/4/10:40)

 宮島口から6駅進み山口県は岩国駅に到着した。遂に本州の末端である山口県まで来たのだがここからが思いのほか時間が掛かるのだ。

(藤生~通津 2023/09/04/10:54)

 山陽本線の中でこの区間が一番美しい景色であった。並走している国道188号よりも海側を走るため、最も海に接近する。汚れのない白浜と海、これこそ私が見たかった絶景である。電車の窓が汚かったことは少々気残りではある。南岩国~柳井間の30分間は特に海に最接近する区間であるためおすすめである。

・長時間停車「新山口」

(新山口駅 2023/09/04/12:53)

 新山口では30分近くの長時間停車であったため、少し駅構内を散策することにした。駅はなかなかお洒落であった。しかしながらあまり駅周辺は栄えている感じはしなかった。というのも山口市の中心は10分ほど離れた山口駅周辺であるためである。かといってそちらの方が栄えてるというわけでもなくそもそも山口市よりも下関市の方が栄えてるらしい。確かに山口市がどういう都市なのか分からない。機会があれば訪れてみたい。

(下関駅 2023/09/04/14:19)

 遂に本州の末端下関に到着した。岩国から約3時間半の乗車で多少の疲労を感じていたのだが反対ホームに停車中の小倉行きへの乗り換え時間は1分であったため休む暇もなく乗り換えをしたのだった。ということで下関の記憶はほとんどない。

⑤終点、門司

(下関~門司 /2023/09/04/14:23) 

 下関の次はいよいよ関門トンネルをくぐり、山陽本線の終着門司駅である。九州に上陸するというのもそうだが、約2日掛かったこの旅もいよいよ終わりを迎える。

(門司駅 2023/09/04/14:28)

 神戸を出発してから1日と22時間、遂に終点の門司に到着である。しかしながら長い、長すぎる。もしここから再び神戸へ鈍行で帰れと言われた絶対断る、泣きながら懇願する。

 九州に入り、JR西日本のエリアからJR九州のエリアになった。JR九州の駅に訪れるのは初であるため、駅名標や車両、駅の設備などがどれも新鮮であった。ちなみに隣の隣の門司港駅は鹿児島本線の起点であり、門司も鹿児島本線所属の駅となっている。ここから鹿児島へ向かうとなったらだいぶ気が遠く..n…る…

この旅を終えて

 旅の醍醐味とはやはり知らない街を知ることだと思う。途中、岡山や広島などで自分の認識より都会であったという趣旨の記述がある。自分の中にあったこのくらいの規模の街だろうという認識と実際に目にした景色に差を感じてしまい驚いてしまったのである。イメージと実際の景色のギャップを感じるのはとても面白いことである。
 山陽本線を乗り通したことで西の知っている景色が神戸から九州まで伸びた。また、山陽の主要都市がどのようなものなのかを知ることができたのは自分自身にとって大きな経験であった。

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