【簡単あらすじ】神のダイスを見上げて(微ネタバレ)【知念実希人/光文社文庫】
『 神はダイスを振る 』のだ。
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巨大小惑星ダイスが地球に衝突する可能性がある。
各国政府、研究者など、誰もが「衝突の可能性は無い」と言い切れない状況に、世界中が動揺する。
可能性でしかないが、もし衝突したならば、全人類が死に絶えてしまうことだけははっきりしていた…
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二〇二〇年頃、アメリカに住むアマチュア天文家によって発見された「小惑星ダイス」。
僅かな数の天文学者と天体ファンのみが知っていたこの惑星は、数年後に巨大な天文ショーを見せてくれるだろうと、ワクワクさせる存在だった。
しかし、二〇二二年頃にダイスに他の小惑星が衝突した後、この状況は一変する。
「ダイスが地球に衝突する可能性がある」
各国政府、ダイスの研究者など、誰もが「衝突の可能性は無い」と言い切れない状況になってしまい、世界中が動揺する。
直径約四百㌔の巨大小惑星ダイス。
衝突の可能性は分からないが、もし地球に衝突したならば、全人類が死に絶えてしまうことだけははっきりしていた…
二〇二三年十月二〇日は、小惑星ダイスが地球に衝突するかどうかの「裁きの刻」となる。
裁きの刻の数日前・十月十五日、漆原亮は姉・圭子を殺した犯人への復讐を実行に移す。
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巨大小惑星ダイスが地球に衝突すれば、人類が滅亡する。
私は「人類滅亡」という単語を聞くと、1999年のノストラダムスの大予言を思い出す世代ですが、その時私は学生であり、さらに今のようにインターネットが発達していない状況だったため、それほど深刻に考えず(考えようにも情報が足りなさ過ぎました)、普段通りに生活していました。
上記のように私は冷静でした(冷静でいるしかなかった)し、周りも同じような方がほとんどでしたが、TVニュースでは「人類が滅亡するのであれば、お金をいくら持っていても仕方がないので、貯金を使い果たした方がいた」ことを記憶してますし、当時をもっと細かく調べればそれなりの混乱があったのではないでしょうか。
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主人公の漆原亮、亮の恋人・雪乃、亮の親友・鳥谷、クラスメイトから禁忌として扱われている・四元、そして殺された亮の姉・圭子。
各人の全て・その本性が白日の下にさらされることになります。
自分の人生が、小惑星の衝突という自分・または全人類であったとしても何も出来ないような、外部からの干渉で理不尽にも終わってしまう可能性が高い、という出来事が無ければ、この物語に登場する人物たちの世界はこのような展開にはならなかったでしょうし、各人がもっと幸せな日常を送ることが出来たと思われる世界が舞台です。
だからこそ、この作品を読んだ方は
「自分がこの世界線にいたら、自分と周りはどうなってしまうだろうか」ということをじっくり考えさせられる物語です。
このような世界だからこそ、自分自身と親しい人々の裏側・奥底が分かってしまうという、美しくも哀しい物語でした。
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