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【簡単あらすじ】変な絵(微ネタバレ)【雨穴/双葉社】

「それではこれから、一枚の絵をお見せします」

ある心理学者が授業中に提示したその絵は、「弱い生き物を保護したいという優しい気持ちの表れである」と、学生たちに説明されたが、本当の意味は…



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『はじめに』
酷かった花粉の飛散もようやく収まり、窓を開けると爽やかな風を感じるポカポカ陽気という、絶好の読書シチュエーションを得られる時期が到来しました。
ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。


ほんタメ「第四回ほんタメ文学賞(2022年下半期・ヨビノリたくみさん)」ノミネート作品です。


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本作品は、下記の四章で成り立っています。

第一章 風に立つ女の絵

オカルトサークルに所属する大学生の佐々木修平は、後輩の栗原から勧められた「七篠レン こころの日記」というブログを読む。
そこには、未来予想図として五枚の絵が描かれていた。

第二章 部屋を覆う、もやの絵

今野直美は、保育士の春岡に「裕太くんに最近変わったことは無いですか?」と聞かれながら、裕太が園内で描いた絵を見せられる。

第三章 美術教師 最期の絵

最近L日報に入社したばかりの記者志望の新人・岩田俊介。
岩田は、自身が通っていた高校で発生した三年前の事件に納得がいかず、深く調査をしたいと思ったのでL日報に入社したのだと、同部署の先輩・熊井に話す。
その事件の重要なカギとして、美術教師が書いた絵があった。

第四章 文鳥を守る樹の絵

ある女性が拘置所の中にいる。その女性は、走馬灯のように自身の今までの人生を思い出していた…

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オカルトサークルに所属する大学生の佐々木が、後輩の栗原から勧められた「七篠レン こころの日記」というブログを読むところから物語がスタートします。

本作品は、現代(2014年)の大学生の日常から始まり、ある男児を中心とした事件、1995年に発生した「L県・美術教師殺人事件」を追う新聞記者、拘置所の中の女性、というように、各章ごとに登場(中心)人物・年代・舞台などが変化します。

簡単に文字おこしをした上記を見ただけでも分かるように、各章ごとにかなり様々な設定がされています。

普通に読んでいくと、何となく、各章ごとに微妙につながっていそうな雰囲気を感じることが出来ますが、それを頭の中ではっきりさせることが出来ないままどんどん読み進めることになります。

しかし、各章でクローズアップされる「複数枚の絵の意味」や、作品中に散らばった「はっきりと固有名詞を表さなかった事柄」が、最終章で一気に繋がる流れがとても良かったです。

作品全体に少しホラーな雰囲気がありますが、私のような「ホラーが苦手な方」でも拒否反応を起こさず楽しめる作品です。


「自分は、まだ母親でいたいのだ」






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