馬鹿に付ける薬は無い。
無知や愚か者に厳しい資本主義社会。
過日、街中を見渡す限り老人で溢れかえっている、いかにもシルバー民主主義社会な平日の昼間に、行政系の手続きをやっつけるため役場まで出向いた。
手続きの書類を書いている隣の席で、呂律が回っておらず、ちょっと何言ってるか分からない老人を応対している職員に同情しながら、都の千代田区、中央区、港区を除けば、20年後にはどこの街も、こんな縮図になるのだろうと、この国の未来と将来世代を憂いた。
そんな帰り道、独りでに温泉に入り浸っていたら、「どこそこの〇〇さんが死んだから、オラもそろそろ贈与せんと…」的な年寄り同士の会話が聞こえて来た。
無論、生前贈与加算の「せ」の字も出て来ず、相続と違って贈与者が暦年贈与の範疇で非課税だと思い込み、泡銭ちっくな財産を使い果たした後、3〜7年(2024年から3→7年だが、経過措置として段階的に7年に)遡って相続財産に加算され、忘れた頃に税務署から相続税払えと時限爆弾になる地獄絵図が、マネーリテラシーがないことで起き得るメシうま悲観シナリオだろう。
最近だとNISAは国が進める制度なので裏があるとか、20年後に課税される的な、ちょっと何を根拠に言ってるのか分からない、SNS上の話題が出ているが、よく調べて知識を身につければ、少額投資非課税制度のことだと分かる。
サブリースやリバースモーゲージ然り、横文字にするから認識が歪むのであって、又貸しとか不動産担保融資と、端から日本語で考える癖を付ければ、誤認することも減るのではないかとも思う。
NISAに関しても、少額投資に対する租税特別措置法なのだから、少額如きで裏があるとか言っていたらキリがなく、ただ単に生きづらいだけだろう。
また、租税特別措置法である以上、法令に基づいている訳で、非課税制度と名を打っておきながら、将来課税される説は陰謀論染みていてナンセンスだし、仮にそうなるとしても法令改正が伴うのだから、一定期間の猶予がある訳で、将来起きるかも定かではないことを憂いて、行動しない方がよっぽどマイナスだろう。
無知や愚か者に厳しいのが、資本主義社会の常である以上、自発的に知識を得て、賢く生きる者ほど左団扇なのだから、SNS上の根拠に乏しい主張で、声だけ大きい者がどちら側なのか。また、どちらの生き方が良いのかを念頭に情報を取捨選択していれば、陰謀論に惑わされることもなくなるだろう。
良い学業成績より重要な、地頭の良さ。
そんなNISAとは何ぞや的なうんちくを垂れ流している私は、20代でありながら既に現資産をキープするだけで、老後資金問題が問題として顕在化しない程度の資産を有している意味で、資本主義社会における強者側に位置しているとも捉えられる。現に資産保有額の統計に出てくる全ての年代、条件の数値と比べても、自らが保有する金融資産の方が大きい。
保有資産を晒しているわけではないため、別にエアプと思いたければ、それはそれで結構なのだが、8桁円の資産を有している私の出自が、工業高校を卒業後、鉄道員として20代半ばで身体を壊した、民主主義社会における弱者男性のそれと考えれば、収入の高い高学歴エリートでなくても、地頭さえ良ければ、老後資金問題を気にしなくて良いレベルの資産程度なら築ける意味で、希望が持てる戯言だと思わないだろうか。
私は暇つぶしで創作しているに過ぎない。情弱相手に情報商材を売りつける気なら、そもそも2年以上もの間、少なくとも1記事2000文字程度の、ろくに読まれないであろう文章を無料で平日の度に公開し続けるメリットなどなく、騙すにしては手が込みすぎている。
お金持ちの公式にある、収入−支出+保有資産×運用利回りで、私は手取り13万円で、お前が終わってんだよwwと煽られるレベルで収入を増やす人的資本が皆無だった現実を受け入れて、支出の引き締めによる種銭の捻出と、運用利回りを上げるための金融知識の向上に、リソースを全振りして純金融資産8桁円まで漕ぎつけたに過ぎない。
資産の形成や運用の面白いところは、学校教育と違って絶対的な正解が存在しない点だろう。一応、信託報酬の低い全世界株式か米国株式のインデックスファンドを、長期、分散、積立に徹して投じていれば、世界経済が成長し続ける前提が崩れない場合に限り、市場平均と同程度の果実が得られる。
とはいえ、この手法は複利効果が現れるまでに時間を要する点と、人間は常に経済的合理性に基づいた判断をするとは限らず、マーケットが変化する中で、愚直に長期、分散、積立を守り続けることが難しい点から、誰にでも出来る手法ではありながら、誰もが出来る訳ではない手法だとも捉えられ、自分の価値観に合った手法が大切な意味で、絶対的な正解が存在しない結論に行き着く。
正解がないからこそ、テストで点を取って良い学業成績を修めることよりも、地頭の良さが重要であり、陰謀論にハマり付ける薬がなくなる前に、自分の頭で考える能力を養うことが、この社会を生きていく上では何より大切と言えるだろう。