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実践!ラダリング法(ラダリングインタビュー)の手順とアウトプット【自主調査をやったよ😊】

こんにちは、リサーチャーの牛尾です。

今回は、自主調査を行い、ラダリング法(ラダリングインタビュー)のアウトプットサンプルを作成しましたのでシェアします。


本記事は、

・1:まずは、アウトプットサンプルをご覧いただき、

・2:次いで、アウトプットサンプルを作成するために行った調査の手順と、

・3「価値構造マップ」のデザインについて詳しくご説明する

……という構成になっています。


※補足ラダリング法について詳しく知りたい方は以下の記事をご参照くださいませ!


アウトプットサンプル


※PDFをダウンロードするか、もしくは以下に貼りつけた画像をご覧ください。



Report_ラダリング法のアウトプットサンプル_「焼肉屋直伝 ユッケジャンクッパ」の場合 (1)

Report_ラダリング法のアウトプットサンプル_「焼肉屋直伝 ユッケジャンクッパ」の場合 (2)

Report_ラダリング法のアウトプットサンプル_「焼肉屋直伝 ユッケジャンクッパ」の場合 (3)

Report_ラダリング法のアウトプットサンプル_「焼肉屋直伝 ユッケジャンクッパ」の場合 (4)

Report_ラダリング法のアウトプットサンプル_「焼肉屋直伝 ユッケジャンクッパ」の場合 (5)

Report_ラダリング法のアウトプットサンプル_「焼肉屋直伝 ユッケジャンクッパ」の場合 (6)

Report_ラダリング法のアウトプットサンプル_「焼肉屋直伝 ユッケジャンクッパ」の場合 (7)

Report_ラダリング法のアウトプットサンプル_「焼肉屋直伝 ユッケジャンクッパ」の場合 (8)

Report_ラダリング法のアウトプットサンプル_「焼肉屋直伝 ユッケジャンクッパ」の場合 (9)

Report_ラダリング法のアウトプットサンプル_「焼肉屋直伝 ユッケジャンクッパ」の場合 (10)


調査手順


ここからは、前掲のアウトプットサンプルを作成するために行った調査の手順をご説明します。


調査は4ステップで実施しました。


▶Step1:アイスブレイクを兼ねて、プロファイルを聴取した(約10分)

・基本情報(年齢、同居家族 etc.)と、対象商品との関わり(喫食頻度 etc.)を聴取。短時間ながらも、できる限りラポールを形成すべく努めました。


▶Step2:「対象商品のどこが好きか/対象商品をなぜ買っているのか」をどしどしあげてもらった(約10分)

<好意や購入につながったAttribute>を列挙してもらうフェーズです。

・具体的には、「ご飯にかけるだけで手軽に作れる」「お店の味を家庭で再現できる」「具の食感がいい」といったAttributeがあがりました。

・なお、ここでは回答に対して深掘りはしていません。「なるほど。他にはありますか?」と、とにかくたくさんのAttributeがあがるように促しました

・ただし、質問意図とズレた回答があった場合には適宜軌道修正をしました。例えば「辛いのが好きだから買っているんですよ」といった回答に対しては、「あなたの好みではなくて、『この商品のどこが好きか/どこを気に入っているか』を教えてくださいね」とAttributeをあげるよう伝えました。その結果、「『旨みのある辛さ』がクセになるんですよ」というAttributeがあがりました。

・また、「いまのところ味に関する言及が多いようですが、例えばパッケージについてはいかがですか?」など適宜助成を行いました。これも、よりたくさんのAttributeをあげてもらうためです。

・モデレーターは、すべてのAttributeをその場でメモしました。


▶Step3:すべてのAttributeを列挙したメモを提示し、「この中で特に重要なものはどれですか?」と質問。5つ選んでもらった(約3分)

・時間の制約上、すべてのAttributeを深掘りすることはできません。したがって、<特に重要なattribute>を選抜する必要があります。

・モデレーターのメモを提示し、5つ選んでもらいました。


▶Step4:上記ステップで抽出した5つのAttributeに対して深掘りをした(17分)

・ここからが本番、ラダリングのフェーズです。

・「先ほど、『ご飯にかけるだけで手軽に作れるのがいい』とご回答になりましたが、『手軽に作れる』ことがどうしていいのですか?/それは、あなたにとってどのようなメリットがあるのですか?」などと質問しました。

・この質問に対して、例えば「私は調理に時間をかけたくないんですよ。だから手軽に作れるのが嬉しいんです」といった回答があったら、「なぜ調理に時間をかけたくないのですか?/調理に時間をかけないことで、どのようなメリットがあるのですか?」などとさらに深掘り。調査参加者のValueに到達するまでしつこく質問を続けました。

・なお、質問を繰り返す内に調査参加者の回答がブレてくることがあります(前後で矛盾したことを言う、「先ほどの発言は勘違いでした」と訂正する etc.)。これは、ラダリングインタビューを通じて<それまで調査参加者自身も意識していなかったこと>が明らかになりつつある証であり、ラダリングインタビューではよく見られる現象です。つまり、何も問題はありません。「先ほどと矛盾しているようですが、これはどういうことですか?」などと質問を投げかけ、さらに深掘りしていくことが重要です。

・ただし!【考えることが面倒になり、調査参加者がテキトーなことを言い始めた】、【自分では認めたくないインサイトが露呈したため、調査参加者が嘘をつき始めた】といったこともあり得るため注意が必要です。調査参加者を追い詰めぬよう、適宜質問を替えたり、別角度から質問したりして、モデレーションを進めました。


「価値構造マップ」の形式


続いて、「価値構造マップ」(前掲のアウトプットサンプルのP5)のデザインについてご説明します。


<1>

まずは、一般的な価値構造マップのデザインを確認しておきましょう。


こちらです!

画像1


最下に「Attributes」があり、そこから上へ上へと矢印が伸びていく。そして最終的に「Values」に到達する。下から上へ見ていくことで、どのAttributeがどのbenefitやValueとつながっているのかを確認できるわけですね。


<2>

一方、今回私たちが作ったのは……こちら!

Report_ラダリング法のアウトプットサンプル_「焼肉屋直伝 ユッケジャンクッパ」の場合 (6)


<上下>ではなくて、<左右>でご覧ください。

1番左に「Attributes」、1番右には「Values」。いずれも中央に向かって矢印が伸びていき、そしてスライドのど真ん中で「Fit」する。かくして、どのAttributeがどのbenefitやValueとつながっているのかを確認できるというデザインです。


<3>

一般的な価値構造マップと、私たちが作った価値構造マップ、見た目は違えども内容は変わらないということをご理解いただけたと思います。


では、なぜ見た目を変えたのか?内容が同じなら、わざわざ見た目を変える必要はないのでは……?

以下、理由をご説明します。


<4>

まず、大前提を確認しておきましょう。


すなわち、価値構造マップとは何なのか?何のために存在するのか?

答えは……【価値構造マップ = 商品(Attribute)と生活者の気持ち(Value)のつながりを可視化することで、生活者がその商品に惹かれた理由を明らかにするためのツール】、これです。


そう、【価値構造マップ = AttributeとValueのつながりを可視化するためのツール】なのです。


<5>

ということは、ですよ。

つながりをより鮮明に、より直観的に理解できるマップほどいいマップだということになる。


はて。

より鮮明に、より直観的につながりを理解できるマップとはどのようなものか……?


ということで、今回のマップです。

・Point1:スライドの左半分に【<対象商品>に関連する項目】を、スライドの右半分に【<調査参加者>に関連する項目】を配置し、そしてスライドの中央で両者がフィットするというデザイン!

・Point2:加えてP7とP8に、マップを理解するのに有益と思われる象徴的な発言を掲載!


手前味噌で恐縮ですが……これ、つながりを理解しやすいなかなかどうしていいデザインだと思うんですよねー!


<6>

価値構造マップのデザインは固定的なものではありません。

【価値構造マップ = AttributeとValueのつながりを可視化するためのツール】という目的さえ見失わなければ、どのようなデザインでも構わないのです。


以上です!

ぜひ参考にしてみてくださいねー!!

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