定性調査をしないと何が起こるの?
こんにちは、リサーチャーの牛尾です。
★本記事のテーマ:定性調査をしないととんでもないことになる!!
定性調査って本当に必要?
先日、あまり調査をやったことがないというクライアント様からこんなご質問を受けました。
「定性調査って……やった方がいいんですよね?」
皆さんならどうお答えになりますか?
以下、私の回答です。
菓子メーカーの悲劇
<1>
舞台は菓子メーカー。
とあるチョコレート菓子の売れ行きが思わしくないということで、アンケートを実施しました。
・調査手法:ネットリサーチ(定量調査)
・調査対象者:ストッパー(1度は購入したもののリピート購入には至らなかった人)
・調査項目:リピート購入しなかった理由
アンケート結果をみると、「苦すぎるからリピート購入しなかった」という人が多数いました。
<2>
というわけでこのメーカーでは甘みを強くすることにしたのですが、これ、大丈夫でしょうか?問題はないのでしょうか?
問題は……ある!
っていうか超ヤバい!
<3>
アンケートで「苦すぎる」と回答した人にインタビュー(定性調査)を実施してみるといいでしょう。
そうすれば、何がヤバいのか一目瞭然です。
例えば、こんな声があがるはずです。
▶Aさんの声
・Step1:この商品のパッケージには明るい色が使われている
・Step2:だから無意識の内に「ミルキーな味わいなのだろう」と感じ、購入した
・Step3:ところが実際に食べてみると、思ったよりも苦かった
・Step4:期待と違ったのでリピート購入しなかった
▶Bさんの声
・Step1:この商品は類似商品よりも価格が安い
・Step2:私は<安価なチョコレート = 甘みが強い>というイメージを持っていたので、「ミルキーな味わいなのだろう」と感じ、購入した
・Step3:ところが実際に食べてみると、思ったよりも苦かった
・Step4:期待と違ったのでリピート購入しなかった
▶Cさんの声
・Step1:この商品は家族揃って食べた
・Step2:私と夫にはちょうどいいが、息子は苦くて好きではないらしい
・Step3:ゆえにリピート購入しなかった
おわかりでしょうか?
Aさんの場合、【<パッケージから想起される味>と<実際の味>の齟齬】に問題があったのです。つまり、パッケージを見直せば問題は解決できるでしょう。
一方Bさんの問題は、【<価格から想起される味>と<実際の味>の齟齬】。価格を見直すか、あるいはそれが難しければ、「ビターな味わいを楽しもう」といったキャッチコピーを付けるなどの工夫が有効でしょう。
そしてCさんの場合は、【喫食者】に問題があると言えます。この場合、「<大人>の贅沢なチョコレート」といったキャッチコピーを付けることで問題は解決できそうです。
<4>
つまり、
・1:定量調査で「苦すぎる」という回答が多くあがった
・2:よし、甘みを強くしよう!
……ではあまりにも短絡的すぎるのです。
・1:定量調査で「苦すぎる」という回答が多くあがった
・2:定性調査で「苦すぎる」と感じた理由や背景を解き明かすぞ!
……と進むべきなのです。
理由や背景を解き明かすことなく「甘みを強くすればいいわけだな!」と突っ走れば、自爆することになるでしょう……。
定性調査をやろう!
ってことで、定性調査をぜひやりましょー!!
---☺---
※付記:私たちはクライアント様との守秘義務契約を遵守し、また、調査参加者のプライバシーに最大限配慮しています。本記事内でご紹介した事例はすべて①掲載の許可を得たものか、②実際の出来事を大幅に脚色したものです。
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