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【ざっくリサーチしき #22】 パーソナル&センシティブなことを尋ねる時のマインドセット

対象者さんが答えにくい内容をどうしても聴かないといけない時のマインドセットのざっくり知識

ビギナーの方々に、ざっくりとした知識をお届けするシリーズ の第22弾。

今回は、パーソナル&センシティブな内容を聴取する時のリサーチ実施側のマインドセットについて、ざっくり解説します。

リサーチをおこなうにあたり、対象者さんのパーソナルな情報やセンシティブな情報を、どうしても取得する必要がある場合があります。

しかし、そういった情報を、そもそも質問されるだけでも対象者さんの負荷になりますし、回答中・回答後まで影響を与えてしまう可能性もあります。

そのため、そういった情報が必要では?と設計している段階から情報取得後に至るまで、リサーチをおこなう側に求められるマインドセット、つまり、「こう考えるべき」「このように行動すべき」という意識しておくべきことがあります。


パーソナル&センシティブな情報とは?

そもそも、パーソナル&センシティブな情報とは、どういったものがあるのでしょうか?
主要なものだけでも、以下のようなものがあります。

  • 抱えている病気ー身体的、精神的

  • 過去の病歴ー身体的、精神的

  • 使用している薬物ー合法・非合法にかかわらず

  • ジェンダーアイデンティティ(Gender Identity, 性自認)

  • セクシュアリティ(Sexuality, 性的嗜好, 心惹かれる他者に対する自身の性的感情や行動など)

  • 信仰している宗教

  • 個人的な信念

  • 所属している組織や機関

  • 応援・支持している組織や機関

  • 政治に関する意思や意見

  • 組織・機関に関する態度

  • 上記の情報が読み取れる質問やその組み合わせ

こうしてみると、コンプライアンスの観点から安易に尋ねるべきではない項目もありますし、素朴に「質問されたらイヤだな、困るな」というものが多いのではないでしょうか?
もしくは、ここのパーソナリティの違いによっては、「これは大丈夫だけど、これは気づまりだな」のように分散があるかもしれません。


リサーチ実施側が持っているべきマインドセット

上記のパーソナル&センシティブな情報について、尋ねたい/尋ねるべき状況が、リサーチにおいて出てきたとします。
その場合、設計〜実施後まで、どのようなマインドセットを、我々は持っているべきなのでしょうか?
以下に、設計者および主要関係者が、「持つべき/尋ねるべき質問」という形で挙げていきます。

リサーチ設計段階
・そもそも、何の目的で、そういった情報を取得しようとしているのか?
・その情報がないと、本当に目的達成はできないのか?
・(複数取得しようとしている場合)
 本当に、全ての情報を取得するべきなのか?できる限り減らせないのか?
・代替できる情報は、本当にないのか?
・第3者機関のデータなど、援用や補完できるデータは、本当にないのか?
・万が一問題が起きた場合、どのように対象者に対応するのか?
 責任者は誰なのか?対応担当者は誰なのか?それは適切か?

アンケートやインタビュフロー作成段階
・まず、相手に回答することは、自身の判断によることで、
 仮に回答しなかったり、途中で回答をやめたりしても、
 本人に一切の不利益が起こらないことを約束しているか?
・その上で、リサーチの目的およびパーソナル&センシティブな情報を取得する
 意図・目的・分析方法・匿名性について、説明・開示するようになっているか?
・質問するときの表現は、回答者の尊厳と自由に配慮した表現になっているか?
・(インタビューの場合)対象者が回答した場合、適宜、相手に対する感謝を
 モデレーターがきちんと伝えるような指示を明確に記載しているか?
・(アンケートの場合)アンケートの最後、もしくは、アンケート中の適切な位置に
 相手に対する感謝をきちんと伝えるような構成になっているか?

アンケートやインタビューの実施時
・作成段階で計画した内容が適切に実行されているか?
・対象者が、リサーチ終了後に、自分の回答内容の削除などを求める場合、
 連絡がつき、適切に対応できる連絡先を伝えられているか?

アンケートやインタビューの実施後
・分析やサマリー作成にあたり、約束した事項を守った上で実行できているか?
・プレゼンテーションや論文発表など、リサーチ結果の公開にあたり、
 約束した事項を守れているか?
・対象者から連絡が来た場合、適切に対応できる体制を取れているか?


上記のように、リサーチをおこなう側は、「対象者さんの立場に立ち、適切かつ個人としての尊敬の念を持って自分を扱ってくれていると思ってもらえる」ように、リサーチの事前〜事後まで、しっかりと頭と体を使う必要があります。

色々と項目があるように感じた方もおられるかもしれませんが、「もし、自分が、こういった質問に勇気を持って答えるんだったら?」と考えると、自ずと、これくらいのことは最低限しないといけないということはわかってもらえるかなと思います。


今回は、対象者さんのパーソナルな情報やセンシティブな情報を、どうしても取得する必要がある場合のリサーチ実施側のマインドセットについて解説を行いました。。

パーソナル&センシティブなデータは、とりわけ取り扱う側のリテラシーや知識・経験が問われます。

より詳細を知りたい方や、実際にリサーチを検討されている方で相談されたい方を、ぜひ、お気軽にお声かけください。

ご相談は、もちろん無料です!

本記事も読んでいただき、ありがとうございました。


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