#創作大賞2024感想③ 漫画原作部門上位作品全般レビュー
note創作大賞・漫画原作部門にSF学園小説『国際怪獣島学園巨大生物部』を応募した彩条あきらです。
前回投稿から一か月近く経っててもはや応募期間もへったくれもないんですけど、この一か月間ほぼ漫画原作部門のランキング上位が変動してないのと個人的夏休み期間が終わりかけなのもあって、この機会に自分の応募作より人気上位or僅差がどんな作品だったかザッと観測して総括代わりにしたいと思いました(ちなみに2回目の感想戦で中断してたホラー小説&恋愛小説は半月かけて全部読み終わりました。読み応えあってよかった!)。
てな訳で、一か月遅れの感想戦第3弾です。今でもたまに続きを更新したり感想記事書いたりしてる人ちらほらといるっぽいし、多少は需要あるよね!なお今回レビューするのは漫画原作部門オンリーですので前回までの部門名記述は省略します。
1:【チー牛無双】(愛夢ラノベPさま)
電脳生命体が現実世界に実体化し侵略してくる世界で、引きこもりの所謂チー牛青年が本当に牛的な何かへと変身する能力を獲得、敵に攫われた姉を救い出すため戦うお話。
正直なところ、タイトルで敬遠してたんですけれど実際読んでみたら成程面白い。普段からラノベ書いて新人賞送ってる方みたいですけど漫画原作賞応募作中トップ独走でしたね。個人的に第二話に出てきたマチョ教官が一番印象残ったんですけどまさかの秒速で退場!良いキャラなのに!oh,my…
2:【BLUE STAGE】(佐藤まな【おやすみラジオ】さま)
職場のクソ同僚や母親の束縛に悩まされる女性が唯一本当の自分を出せる音楽の世界でチャンスを掴もうと降って湧いたオーディションに臨むお話。作者さまの実人生の反映なのかとても解像度高い印象を受ける作品。
同僚のクソ男・田村…いるわ、こういうやつ!それも職場じゃなくて同人サークル活動とか趣味レベルの世界ですけど。合否通知メールが来る場面は作中かつ架空と分かってるのに、正直心臓に悪かったですね。ああいうのを何度も受け取る機会があるとね…神は細部に宿る。主人公は果たして幸せと成功を掴めるのか!?
3:【女の子ドリル-女の子、それは僕らの永遠の問題-】(k-bataさま)
男性高校教師を主役に「女子とは何か」という問題・課題をドリル形式でひたすら解いてくお話。物語の単位がシンプルで分かり易い。エピソードもキャラもいくらでも増やしていけそうです。戸惑い振り回される主人公にも可愛げがあって良き。
4:【ダブルス!】(月原深夜子さま)
バドミントンを題材にした青春スポーツ漫画。少年漫画と少女漫画のいいとこどりみたいなコンセプト。まさかの1ページ以内で3話分のシナリオ!諸々の設定表が付属してるから読めるけど半分ダイジェストに近いつくりですね(いじめの描写が短い割に生々しくて若干しんどかったけど…)。でもこの構成は想定してませんでしたね。あくまで企画書と割り切ればこういう体裁もアリなのか…。
5:【聖痕の超共感者(エンパス)】(保坂歩さま)
超常存在「魔軍」が襲来する世界で人を助けようとして命を落としかけた少女が、マリアさまの導きで人の痛みを感知する「超共感力」を与えられて復活、防衛組織の仲間となりつつ戦いを止める使命を負うお話。
……あれ?実は本作の保坂歩さま、感想戦第1弾で「怪獣ぽい!」と紹介させて頂いた漫画原作【元女斥候、巨獣の背中でスローライフ】も書かれているんですけど。巨大生物が襲来する世界観で、専任の国防機関があって、人助けで死んで超越的存在に選ばれて復活する主人公って…光の国から来たアイツか!?
しまった、こんなところに伏兵がいたとは!第1弾で紹介するんだった。本作にビビッときた方は紹介したもう一作の方も是非読んでみて下さいね!素敵な作品ですよ!(早とちりだったらゴメンなさい!)
6:【ホウカイ】(海月(みつき) あおさま)
AIが人々の進路を事実上決定してしまう世界で、様々な夢や悩みを抱えた友人をもつ主人公が法改正のため総理大臣を目指すお話。ディストピアものらしく異様な生々しさと切実さの詰まった作品。基本少年少女視点で書かれながらも、劇中最も総理にしちゃいけないやつ=凶悪ライバルが早い段階で分かり易く登場してるのが巧み。この時点からハラハラできるとは。
7:【ワケあって、ゲイ婚~デブ、ヒゲ、ノッポで一妻多夫⁈】(ミラさま)
毒親中の毒親な父に付きまとわれるデブの女主人公が、用心棒獲得も兼ねゲイの優男と契約婚、更には『旦那』の彼氏であるバイセクシャル毒舌男も参戦して…というあらすじだけで強烈なお話。
生きづらさを豪快な笑いに変え、かと思えば繊細な心の傷が垣間見え…と全方位にバイタリティが満ち溢れた本作。これはちょっとやそっとの知識・覚悟では書けないだろう。それだけでも凄い作品。漫画原作ではあるが既に実写ドラマ映えしそうな雰囲気を感じる。
8:【明日は未来と手をつなぐ】(ハヤセカオルさま)
高校生の少女を主役とした社交ダンスのお話。やる意味が分からなくなってしまい挫折、経験を求められて一時復帰、ブランクで下手になったけれどかつてと違って純粋に楽しんだことで元・相棒から称賛される…競技ものの王道って感じの爽やかな青春物語。
計3話要しているけど完結しているので実質的には読切短編に近い作品。少年サンデーというかおおよそ小学館系の漫画雑誌に年に数回載るタイプの漫画って感じ。タイトルが主人公たちの名前にかかってるのでお洒落なのも素敵。美意識を感じられるのっていいですよね。
9:【Bitter & Sweet】(たおたおさま)
活字中毒だけどややクールな女子高生に、彼女を一方的にライバル視する女生徒会長が接触してきて…という百合もの。本作も計4話で完結している実質的な読切短編に近い作品。シンプルかつ瑞々しい感情が詰め込まれてていいですね。本作も少年サンデー系列に年数回は載ってそうなイメージ。
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さて、こうやって全体像眺めてみると、今回は紹介しなかったのも含めてざっくりとですが漫画原作部門ランク上位作品に傾向が見えてきますね。
①作者自身の趣味やフェチを全開にしたもの
②身近で切実な感情を丁寧に拾い上げたもの
大体この2点のいずれか、もしくは両方を押さえてるものに感じられます(自分のは強いて言えば前者寄りですね)。あと、web小説やラノベからの流れなのか本当に必要最低限の情報で済ませてる作品(個人的にはそこまで削っちゃって大丈夫!?と心配になるぐらい)も散見されましたね…。
そもそものフォロワー数=拡散力も関係あるのかな?と思って調べてみたけど、ケタ違いに多い方もいれば割と少な目な方もいらっしゃって、意外と直接的要因にはならないのか…?読まれているってことは、よっぽど共感を得たかよっぽど拡散されたかのどっちかですからね。
あと驚いたのは、連載作品を前提で考えてたら割と読切漫画的な完結性の強いものがあったり、1ページ目を実質的に企画書と割り切って書いてる方多かったり、題材以上に体裁がみなさん自由ってことですかね。
完結迄のあらすじが必須の場合除いて「実物を読んで驚いてほしい」って思いがあるからなのか、未だに作品本編外にごちゃごちゃ情報を記述するの抵抗あるんですけど、もはやアクセス数オープン形式の公募コンテストでは考え直した方がいいのかなー…。
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驚いたといえばもう一点、原作部門=文章形式だから故なのかもしれないけど、主人公のキャラクター性が強い王道タイプよりも、どちらかというとややひねった話運びだったり、生身の人物の感情を優先した変化球タイプの作品が上に来てる印象がありますね…少なく見積もっても半々ぐらい。
今年の初めごろ、創作大賞とは別の漫画原作賞を狙った際にいい機会だと思って有名どころの漫画の第1巻をまとめ買いしてみたら(表紙写真のやつです)、少年ジャンプ系列の漫画とか特に第1話目が商品のプレゼンみたくなってるんですよね。そりゃあ売れる訳だ。
知人の作家さんにも「漫画は主人公を真っ先にアピールしたらいいよ」と助言されてたのもあって、とりあえず『格好いい』『可愛い』『楽しい』に振り切った王道的なのを完成形にしたんですけど、アレ?意外と少ない…?少年漫画限定じゃないとまた条件が変わってくるのかしら。
自分が読んだ原作部門の中でも特に主人公のキャラが強めに感じたのは、今回紹介した【ゲイ婚】のデブの女主人公こと広子さん、あと感想戦第1弾で紹介した【ソトノレンズ】の写真家青年のタヒトさん、あたりですかね。というか多分自分個人が、自由に動いて周囲を振り回したり、閉塞的環境を引っ掻き回したりするタイプ好きなんだろうな。なんかもうこいつの前では常識なんぞくたばるしかねえや!ルール無用!みたいな笑
果たして主催側ではどのタイプを評価するんでしょうね…神のみぞ知る。
そんな訳で恒例のラスト宣伝(今更しても遅い)。怪獣テーマパーク的な舞台装置の中で、ターザン的な野生児主人公が活躍して真面目なヒロインを振り回す漫画原作部門のSF学園小説【国際怪獣島学園巨大生物部】、興味のある方は是非読んでみてね。ちな今なら集まった感想集+設定集もあるよ。さらば!
https://note.com/rerah0514_akira/n/n03e7f1a4d1e1
#創作大賞2024 #漫画原作部門 #創作大賞感想 #ありがとう創作大賞