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膝をたてて運動会座りをしているオレの股間を彼が指さす。と、そこからはいつもお洒落なユニクロの赤パンツが結構な面積で顕になっているではないか。 「えーーーーーーーーーっ」

人は生きている間に3度注目される瞬間があるらしい。
生まれた時と、結婚式と、葬式である。

生まれた時に関してはもう終了してるので、俺に残されているはあと2つだったはずなのだが、その内の一つを使ってしまったときのこと。

ところはシドニー北部地区、チャツウッドにあるジムのフィットネスファースト。そのボディコンバットのスタジオ。

スタジオは入り口辺りが一面ガラス張りで、中のエクササイズがよく見える。興味のある人はガラスの向こうから中の様子をしばらく眺めていたりするものだ。

その日は何だかいつにも増して女性の視線が俺に集まっているような気がしていた。まあ、おばちゃんらのタコ踊りのようなコンバットに比べればかなりマシだし、憧れの気持ちを抱くというのも全く不思議とは言えない。

インストラクターが上手とも限らない。
まったくリズム感のない筋肉だけのオージーのインストラクターに比べてもかなりましである。どうやってインストラクターの資格が取れたのだろう、と首をかしげてしまう。

全く逆で、アイツができるのだったら私にもできるわ、と下に見られていたりするかもしれないが、まあ俺に聞こえなければなんでもいい。

とにかく、漸くオレのファンが出始めたのか、とまあそんなに悪い気はせず、いつにも増して前後左右のキックに伸びを加える。フックも強めに、風を切り裂くように。

60分のエクササイズが終わってスタジオを出たあと、あちこち筋トレマシンを流しーの、バイブレーションマシンにも乗りーのしながらジム内をうろつく。

なんだか人目が気になる気もしなくでもないが、誰かが寄ってくるわけでもなく、声を掛けられるでもない。特に気にもせずに、その日の運動に満足してロッカールームへ。

そしてシャツとシューズ、靴下を脱いで、タオルとパンツを持ってサウナへ。汗をたっぷりかくのは気持ちがいい。

と、オージーのおじいさんがドアを開けてサウナルームに入ってきた。「Hi」と軽く声を掛け合う。

と、彼が膝をたてて運動会座りをしているオレの股間を指さすではないか。

「はい〜???」と不審な声を押し殺して、オレも自分の股間を見る。

と、そこからはいつもお洒落なユニクロの赤パンツが結構な面積で顕になっているではないか!! 「えーーーーーーーーーっ」



これって婚式の分と葬式の分、どっち??

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