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「美と運動の力で支える」がんサバイバーに向けた新たな取組

こんにちは。ルネサンスnote編集チームです。

ルネサンスでは、「がんサバイバーのQOL(クオリティ・オブ・ライフ、生活の質)を高めるための支援」の一環として、資生堂ジャパン株式会社(以下「資生堂」)と連携し、取組を進めています。

がんサバイバーとは
がんの告知を受けて、これから治療する人、治療中の患者さん、治療が終了した人、患者さまの家族や友人など身近な人々のこと

資生堂は、「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」を企業ミッションに定め、美の力を通じて、生涯にわたってより自分らしく心の充足や幸福感を実感できる、サステナブルな世界の実現を目指して取り組んでいます。

今回のnoteでは、共にがんサバイバーのQOLの向上に取り組む、資生堂の瀬村さんとルネサンスの西畑さんにお話を伺いました。


左:瀬村さん、右:西畑さん

【プロフィール】
▼瀬村 留美(せむら るみ)
資生堂ジャパン
美容戦略部 社会活動企画推進グループ

社会貢献活動をリードするソーシャルエリアリーダーの近畿エリアチームとして、多様な方々へ講座を実践する専門プレイヤーの配置や化粧のちからで地域の課題に対応する活動の戦略実行を担当

【プロフィール】
▼西畑 卓(にしはた たく)
ルネサンス
アクティブエイジング部 次長

がんリハビリ事業全般に関わる事業責任者
病院、支援団体、自治体、スポーツクラブと連携しながら、現在の医療システムを補完する切れ目のない運動支援の社会モデル実装に取り組む

がん患者さまのために、私たちができることは何か

ーー 資生堂とルネサンスが一緒に取り組むことになったきっかけを教えてください。

瀬村:私たちの活動の一つに、がん患者さまのQOLの向上に繋げるサポートがあります。

ルネサンスさまとは、がん患者さまに対するアプローチの方法が異なりますが、「がん患者さまを360度囲むように、様々な角度からサポートできる仲間を増やしていきたい」という想いが似ていると感じ、お互いのソリューションを活かせば、360度の中の数%は幅を広げていけるのではないかと考えて、一緒に取り組むことになりました。

西畑さんとの初めての出会いは、2023年3月に開催した、がん患者さまが交流するイベント「アピアランスケア体験イベント」でした。

アピアランスケアとは
脱毛(頭髪、まつ毛、まゆ毛等)、皮膚や爪の変色、爪の変形、手術の傷あとなど、治療によって起こる外見の変化に対して患者の悩みに対処し、支援すること

瀬村:このイベント内で、スポーツクラブを運営しているルネサンスさまがどうしてここにいるんだろうと、とても気になって、西畑さんにルネサンスの活動を具体的にお聞きしました。

後日、大阪国際がんセンタ―にて、資生堂が(株)電通有志、特定非営利活動法人キャンサーネットジャパンと共に運営する、ラベンダーリングのパネル展の準備をしていたところ、たまたまお会いした西畑さんから「がん患者さんに対するこのような活動はすごく素敵ですね」とお話をしてくださったことが印象に残っています。

私たちは、2022年から会社全体の構造が変わり、どこに向かっていけばいいのか探りながら、様々な企業様と繋がっているところでした。

その中で、ルネサンスさまに出会い、目指す姿や想いが近しいところが多く、一緒に取り組みたいと感じました。

西畑さんが私たちの活動を理解してくださることはもちろん、ルネサンスさまが取り組む運動療法に関するエビデンスも、「患者さんや様々な仲間に知ってほしい!」と思ったことも理由の一つです。

西畑:私はこれまでに、がんサバイバーシップケアに携わる方々とお会いする機会があまりなく、アピアランスケア体験イベントで、偶然、資生堂さまとお話することができました。

がんサバイバーシップケアとは
がん治療を受けながら生活していくうえでの問題点や課題を乗り越え、本来の自分らしさを取り戻していくために、医療者とともに手立てを講じていくこと

資生堂さまは、もともと美容のイメージがあったのですが、詳しくお聞きすると、古くから戦争後のケガやアザをカバーする化粧品の開発に取り組まれていたとお聞きしました。

自信を持って社会に出るための手段として化粧をすることが、資生堂さまのベースとなる活動であり、スキンケアやメイクアップによる「化粧のちから」で誰もが自分らしさを演出・表現できる社会を目指して美容が広がった話を、瀬村さんからお聞きして、私はとても感銘を受けました。

資生堂は、外見の変化に対する悩みを解決することができる。
ルネサンスはもとある身体機能を取り戻すことができる。

それぞれのソリューションをより知っていただくことで、がん患者さまの活動範囲を広げられるかもしれないという話から、少しずつ意見交換が深まって、お互いの持っている強み「美と運動」で支えるってことをやりましょう!とお声がけさせていただきました。

それぞれが取り組む事業と、共同で行ってきた取組とは

ーーそれぞれの事業の特長について教えてください。

瀬村:「資生堂ライフクオリティー ビューティー」の活動について

美の力でウェルビーイングの実現を目指し、社会貢献活動を続ける

美の力が、心身の満足だけでなく、社会的な満足にも寄与することを発信し、年齢、疾病、障がいなどを問わず、すべての方々が自分らしくあるための一歩を踏み出すために「資生堂 ライフクオリティー ビューティー活動」を推進しています。

社会的な満足とは
社会や人とのつながりが維持できている状態

私が所属する美容戦略部の社会活動企画推進グループは、「化粧のちから」を通じて地域の社会課題に取り組むと共に、すべての方の“ウェルビーイング”を目指しています。

がん患者さまに限らず、高齢者や児童、障がいをお持ちの方でサポートが必要な方々の社会活動を一手に担っています。

なかでも、がん患者さまに向けては、治療の副作用による外見の変化に伴う特有の美容上の悩み(肌の色の変化、眉・まつ毛の脱毛など)に対する「がん外見ケアセミナー」を医療従事者やがん患者さま向けに展開しています。

より幅広く外見の変化のお悩みに対応することを目指し、多くの方が一人で悩むことなく、誰もが自分らしく生きることができる社会を目指して活動しています。

西畑:「がんサバイバーの運動支援について

運動を通して、病気や治療中であっても、
誰もが自分らしい生活や人生を送ることができる社会の実現を目指す

がんと診断されてからはじめて、身体のことにお悩みを抱えられる方は少なくありません。

「手術後リハビリを継続したいけれどもやり方がわからない」

「治療の副作用で身体の痛みが強くて動かすのが怖い」

など、その不調の多くは運動で軽減・改善することが期待できますが、がんサバイバーの方が安心して運動できる環境がほとんどない現状です。

わたしたちは、『不安』をぬぐい『安心』に変えることができると信じ、日本で初めてがん特化型の運動施設を2019年に開設しました。

運動支援センターでは、対面だけでなく、通えない地域の方に向けてはオンラインを使用した運動支援を実施しています。

また、住み慣れた場所で、運動支援を受けることができるように、大阪国際がんセンターと共同で運動指導者を対象に 、がんの知識を持ち、患者さまのニーズに応じた運動支援ができるがん専門運動指導士の人材育成も行っています。

私たちの活動を通して、自分一人では運動の継続が難しい方にも、安心して運動に取り組んでいただけるよう、安全に運動をサポートできる指導士やサービスを提供するシステムを作っています。

運動を通して、疾病があっても自分らしい生活や人生を送ることができる社会の実現に、さまざまな方と力を合わせてチャレンジしています。

ーーこれまで両社でどのような取り組みを進めてきましたか?

西畑:2023年10月からコラボ企画がスタートし、これまでは運動や美容の情報を知ってもらうための機会づくりとして、2024年7月時点でセミナーを2回開催しました。

  1. 「紫外線ケアについて」~紫外線の知識と対策編~

  2. 「夏の快適肌ケア」~紫外線ピーク&暑さと湿気対策~

今年度、テーマにしていることは2つあります。

①がん患者さまに求められることを明確にして、必要とされることを届ける

✔病気や治療中であっても外に出て活動したい!
✔大切な仲間や家族を支える方法を知りたい!

瀬村:このような、がん経験者の方やご家族・ご友人の声を聞いて、両社に対して何が求られているのかを検証しています。

②がん患者さまだけに限らず、すべての人に知ってもらいたい情報を届ける

今は元気な方でも、ご自身のがん予防や大切な方ががんになった時に備えて、必要な情報を伝えることができる仲間を増やしていきたいと考えています。

西畑:「普段の生活で気付いていないけれど、知っておいてもらうことで今後に役立つ情報」を、より幅広い対象者に向けて、届けていきます。

すべての方々が「自分らしく生きる」社会の実現を目指して

ーー今後、両社でチャレンジしていきたいことはありますか?

西畑:がんサバイバーが360度さまざま社会支援でサポートできる仲間と今後も連携していきたいと考えています。

近年の高齢化によって、がん治療がスタートしてから、その先の人生も長くなってきており、「がんとは共生すべきもの」だといわれています。

瀬村:医療従事者の方々も「治療」して終わりではなく、患者さまがその先の人生も「自分らしく生きてもらう」ためにサポートしていかなければならないというところに注目されています。

今後、がん患者さまのための外見ケアやヘルスケアの領域を必要とする方が増えると考えているので、今はこの取り組みを医療業界の皆さんと広げようとしていますが、ほかにも一緒に取り組む仲間を増やして活動の幅を広げたいです。

ーー最後に、おふたりが思い描くビジョンはありますか?それぞれお聞かせください。

瀬村:人生100年時代と言われていますが、病気の有無にかかわらず、「自分らしく生きられる方」を増やしていきたいです。
 
資生堂は化粧行為を専門としているので、スキンケアやヘアケア、メイクという手段を用いてお役に立ちたいと考えています。
 
私たちの活動で、「自分らしく生きる」ためのお手伝いができたらと願っていますし、必要だと感じていただけたらいいなと思っています。

西畑:運動を通して、病気や治療中であっても、「すべての人が自分らしい人生を送れる社会の実現」を目指したいです。

運動の実践や支援を通して「より良い人生を送る選択が増えた!」と言ってもらえるようにこれからも取組を進めていきたいと思います。

例えば、身近にルネサンスの施設がない場所でも、住み慣れた地域でがん専門運動指導士と運動できるシステムを地域の関係者のみなさまと考えていきたいです。

資生堂さまをはじめとした事業者や団体とともに様々な活動を通して、がん患者さまご自身の生きがいづくりのお手伝いができれば嬉しいです。


今後も、当社と資生堂の両社は、がん支援の取り組みや健康づくりに関して、さまざまな側面で連携することで、がん患者のより一層の健康的な生活の実現を図ることを目指していきます。

スキやコメント、フォローもお待ちしています。

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