【読書記録📚】ベーシック・マーケティング【第4章 マーケティング・リサーチ】

■記事リンク

投稿にあたって
序章
第1章
第2章
第3章
●第4章(当記事)
第5章
第6章
第7章
第8章
第9章
第10章
第11章
マーケティング検定3級受験感想

こんにちは。
Remsyです。

第4章「マーケティング・リサーチ」の感想です。

■章概要

企業はマーケティングの様々な局面で意思決定を下すことが求められますが、そこには常に不確実性が伴うもの。
従って、自社のみならず競合他社、そして何よりも市場における消費者に関する情報をいち早く収集し、活用することが必要不可欠になります。
ex.新製品市場投入時、ターゲット顧客の特性情報が必要。ライバル他社が値下げした場合は自社製品の値下げ効果について知る必要あり
マーケティングリサーチは、必要な情報が何であるかを識別し、正確な情報を効率よく収集・分析して、マーケティング意思決定に資するためのツール。
当章では、マーケティングリサーチの概要について紹介されています。

■事例

多様な顧客ニーズをきめ細かくしょいうひん設計に反映する徹底的なリサーチ主義が奏功し、大ヒット商品となったミールキットに関して紹介。
発売当初(2013年)は、共働き世代の増加から「忙しく毎日手作りできないが、手を抜きすぎるのは嫌」というニーズがありました。
「手軽ながら顧客自身で行う簡単な調理高低を入れることで、単なる時短への罪悪感を払拭する『20分で2品』」というコンセプトが受け入れられました。
発売後に、「作る時間」よりも「献立を考える時間」の省略欲求が高かったことで、その後献立提案機能を高めて、メニュー数の充実に注力した結果、週当たり20以上の献立を揃えるまでに製品が成長。
その背景には、顧客の声をすくい上げ商品開発に生かすためのマーケティングリサーチがありました。
当該メーカーが取っているのは、
●毎週の数百件に上る顧客アンケート
●電話によるヒアリング
●自宅訪問の際冷蔵庫観察
●親子参加型企画を実施し、実際に子どもにメニューを食べてもらって、味評価、食べる時の進み具合、野菜サイズの適切さ等の情報収集等
細かな情報まで収集し、新製品提案や改善に活かしているのです。

■1 マーケティング・リサーチの概要

マーケティングマネジメントにおいては、
市場環境に関する分析や、
STP等の戦略的意思決定が行われ、
そのうえで具体的なマーケティングミックスが決定される流れとなっています。
さらに、マーケティングプログラム策定後も、その実行や統制などの様々な調整を必要とするのです。
この全過程において、必要な情報を効率よく収集し、意思決定に役立てることが重要で、マーケティングリサーチは、そのために活用されるとの事
米国のマーケティング協会によると、マーケティングリサーチの定義は、以下を遂行する機能のこと。
●マーケティングの機会および問題を識別し定義するために用いられる情報を通じて、消費者、顧客、大衆をマーケターとリンク
●マーケティング活動を創出、洗練、評価
●マーケティング成果のモニター
●過程としてのマーケティングの理解の改善
の4点。
上記定義において重要なことは、マーケティングリサーチは、情報を通じてマーケターとつなぎ、効果的なマーケティングを策定するための役割を担っている、とのこと。

マーケティングリサーチのステップは以下の5つ。
①問題の設定:マーケターが抱える問題について、その全体像を明確に把握する
②リサーチデザインの決定:探索的リサーチ、記述的リサーチ、因果関係リサーチの3つについて検討
③データ収集の方法・形式のデザイン:具体的にいかなるデータをどのようにして収集するのかについて、コミュニケーション法、観察法といった方法から選択。データ収集の対象について設定するサンプリングもこのステップで行う
④測定尺度どデータ分析:実際に収集されたデータを分析、仮説検証を行う
⑤調査報告書の作成:発見事項をまとめて具体的なマーケティング提言を行う

■2 問題の設定

マーケティングリサーチの初めのステップでは、
自社を取り巻くミクロ・マクロの問題に関して、正確に把握し、定義することが試みられます。
結論から申し上げますと、具体的には、
抽象的で高次な「意思決定問題」⇒より具体的な「リサーチ問題」⇒実際のデータによって検証可能な「調査仮説」へと変換する作業です。
実際に収集されたデータの分析によって調査仮説が検証されれば、その結果からリサーチ問題に対して答えを返し、さらにリサーチ問題から意思決定問題へと答えを返していくことで、マネージャーに対して具体的なマーケティング代替案を提案するのです。

上記3点に関して、一つ一つ見ていきましょう。
意思決定問題は、例えば「売上を伸ばしたい」「自社ブランドを強化したい」等の漠然としたものが多く、そのままでは解決方法や具体的な施策の打ち方について中々分からないのです。したがって、マーケティングリサーチによって、より具体的なリサーチ問題への翻訳が求められます。
意思決定問題「売り上げを伸ばしたい」なら、リサーチ問題として、「新商品の市場投入」や「新しい流通チャネルの開拓」といったものが立てられます。リサーチ問題は意思決定問題に応じて作られるため、その性質によって複数のリサーチ問題が立てられます。
いずれにしても、リサーチ問題を解くことにより、意思決定問題に答えを返せることが重要。
リサーチ問題が立てられれば、次はそれをさらに具体的で詳細な調査仮説へ分解します。
ex.リサーチ問題「新商品の市場投入」には、「性別で新製品に対する関心が異なる」「年齢により既存商品への愛着が強くなる」という調査仮説が立てられる
調査仮説も1つのリサーチ問題に対して複数の調査仮説が作成されるのが通常。
調査仮説
・ある現象に対する自分なりの説明の事であり、通常は2つ以上のキーワード(「コンセプト」)の関係が記述されたもの
・実際のデータの収集・分析を通じて検証可能なものであることが重要。

■3 リサーチ・デザインの決定

問題設定完了後に、たてられた問題に沿ってどのようなリサーチを行うべきか決定する段階に入ります。
マーケティングリサーチにおいては、探索的リサーチ、記述的リサーチ、因果関係リサーチの3点が存在します。
一般的なリサーチの流れとして、
①マーケティングリサーチの初期段階においては、解決すべき問題の全体像が明らかになっておらず、何が問題の本質なのか、問題を解くためには何がキーコンセプトなのか曖昧なことが多いため、はじめにアイデア・インサイト獲得目的で探索的リサーチが行われる
②探索的リサーチによってある程度問題の全体像が把握できた段階で、特定変数間の関係を探る記述的リサーチが行われる
③記述的リサーチによって特に重要な変数間の因果関係の存在が推測できれば、それをベースに因果関係リサーチが行われる
とのことですが、探索的リサーチと記述的リサーチのみで終了することもあれば、はじめから記述的リサーチを行うこともあり、因果関係リサーチの結果から発見された事項を基に、再び探索的リサーチに戻ることもあります。
重要なのが、3タイプにはそれぞれ固有の特徴があるため、問題の性質によって適切なものを選択する事。
3タイプの詳細を見ていきましょう。
●探索的リサーチ
アイデアやインサイトを得るために行われる
・目的:現在直面する問題をより微細に明示化したり、リサーチ全体においてどの情報収集を先に行うかといった優先順位を設定したり、日実戦的なアイデアを振るい落とす。その中で、問題解決のために重要なコンセプトを抽出し、調査仮説の構築を目指す
・主要なタイプは下記4点
文献検索(新聞や雑誌、書籍、ネットなどの様々な情報源から、問題に適合した情報を検索。情報信頼性確保のため、誰が、いつ、どのような方法で、どのような情報源からデータを収集したかについても記録することが重要)
経験調査(実際の商品・サービスを調査者が店頭で購買、実利用することで、洞察を得ること)
グループインタビュー(ターゲット顧客を数名集めて、対象商品やサービス、嗜好やニーズなどについて自由に意見交換してもらい、その発話データを記録。目的は参加者から正確な情報を効率よく引き出すこと。インタビューが停滞したときは、司会者が参加者を活性化できるような能力を持っていることが望ましい。決して、参加者が多ければよいわけではない)
事例分析(過去の事例についての情報が収集され、詳細な検討が加えられる。この時に調査対象になるケースについては、急激な変化を含む物、極端な行動を含むものなどが望ましい)
●記述的リサーチ
・ある事象の頻度や二変数間の関係を明らかにする
・特定グループの特性の記述、ある特定の行動様式を持つ集団が全体の中でどの割合存在するかの推定、特定事象の予測を目的
・分析対象とされるデータは、時系列データ(ex.POSデータ、長期的売上データなどのパネルデータ)とクロスセクションデータ(所謂アンケート調査などで得られるデータ)
・通常のデータ分析においては統計的な手法が利用されることが多く、諸変数間の関係について、調査仮説をベースに様々な統計的推論が行われる
●因果関係リサーチ
・原因と結果の関係について推論
・ここで重要なのが、マーケティングリサーチにおける因果関係は決定的ではなく、確率的であるということ。⇒ある原因の存在によって、特定の結果が必ずしも起こるわけではない
・探索的・記述的リサーチでも特定因果関係の存在の推論は可能であるが、厳密な因果関係について明らかにすることは不適
・因果関係リサーチ方法には、下記2つが存在
○フィールド実験(実際の店頭など実地で実施。実際の被験者の自然な行動をベースとしたデータを収集できる長所がある一方、予期せぬアクシデントが起こったり、効果を知りたい原因変数以外の要因が結果に影響を与えてしまったりと、実験環境の統制が困難)
○ラボ実験(実験室に店頭などを再現して行われる。実験環境の統制は比較的容易であるが、実験室という異質な空間における行動をベースとしたデータしか収集できないため現実と乖離してしまうデメリット)
・実験の方法は大きく2タイプ
○被験者内実験(被験者に実験刺激を与えて、その前後の変化から因果関係を推論する)
○被験者間実験(被験者毎に異なる刺激を与えて、その結果を比較する。この時、実験要因の操作が加えられるグループを「実験群」、要因の操作が加えられない比較対象設定グループを「統制群」とする)


■4 データ収集の方法・形式のデザイン

【1】データのタイプ
●二次データ(ex.企業保有の会員情報、企業年俸、売上データなどの内部データや、電話帳や国の調査結果、視聴率データなどの外部データ)
・当面の調査目的でない、そのほかの目的で収集されたデータ
・(利点)既存のものを活用するため、収集コスト・時間節約
・(欠点)データ収集時期、データ収集目的等マーケティングリサーチが扱い問題との整合性は必ずしも高いわけではない。
非常に高額、非公表の為そもそも利用不可能な物がある。
収集されたデータの手続きや集計、分析方法においても、信頼性という点から問題が残る場合が多い
・上記欠点克服のため、出版目的が明確なデータや、官公庁などの一般的な高品質データの採用が考えられるが、全欠点を克服できるわけではない⇒一次データはこうした場合に利用すべき
●一次データ(ex.デモグラフィック要因に関するデータ(年齢、性別、職業等)、ライフスタイル要因に関するデータ(嗜好、価値観、性格、生活習慣)、認知度や知識水準、態度、購買意図、行動に関するデータ)
・調査目的のために独自に収集されたデータ
・問題に応じて多種多様なデータが収集される

【2】サンプリング
収集すべきデータの決定後、データを収集する対象の決定が求められます。
性質を明らかにしたい標的集団全員に対して調査を行うことが、データの偏りを回避するという意味でも望ましいのですが、そうはいかない。
莫大なコストと時間がかかってしまうので、コスパが悪いもの。
マーケティングにおける意思決定にはスピードが要求されるため、出来る限り低コスト且つ短時間で、効率よくデータを収集する必要があります。
そこで使用されるのが、サンプリング。
サンプリングに関する用語と方法をまとめました。
【母集団】リサーチによって性質を明らかにしたい集団
【サンプル(標本)】実際の調査対象となる集団
【全数調査】母集団全てを対象に行われる調査。上記の通り、コスパが悪いため…
【標本調査】母集団の一部のみを対象にした調査
【無作為抽出法】対象をランダムに選ぶ方法。この方法で抽出されたサンプルは最も母集団を代表していると考えられ、例えば認知率、購入割合などについて知りたい場合に有効
【有意抽出法】対象を無作為に選ばない時に採用される方法。母集団の台帳が存在しない場合、特定の行動様式を有したセグメントにのみ調べたいとき等に用いられる。様々な種類がある
【割当抽出法】エリアを無作為に抽出した後に割り当てられたサンプルを調査
【便宜的抽出法】とにかくやりやすい対象を調査
【判断抽出法】サンプル構成が母集団の構成と合致していると判断して行う
【スノーボール法】希少セグメントに属するメンバーに調査依頼をし、その後その人の知人を辿って調査対象者を拡大
【人込みインターセプト法】特定顧客の身をスクリーニングして調査したい場合、人込みで人を呼び止め簡単なスクリーニングを行ったうえで調査協力依頼
【ハンドメーリング法】自社商品の潜在顧客の身を対象に調査したい場合に実施。路上などでターゲットらしき人に調査票を手渡して、記入後に返送してもらうよう依頼

【3】データの収集方法
【コミュニケーション法】ex.アンケート調査、インタビュー等
・調査者が聞きたい項目を質問して答えてもらう
・(利点)様々な項目を効率的に質問可能、迅速、かつ測定タイミングも統制可能
・(欠点)調査以前の情報は被験者の記憶がベースとなるため、被験者が忘れてしまっていた李、後から理由付けをして回答されてしまったりする可能性有
【観察法】
・被験者の自然な様子を観察して記録
・(利点)被験者の購買場面などをそのままデータ化することが試みられるので、コミュニケーション法のような問題は少ない
・(欠点)知りたい項目について直接質問できないため、中々希望するデータが得られない
コミュニケーション法と観察法にて検討される要素は、下記3点。
●構造化の程度
・構造化:特定の質問に対する回答の仕方について、事前にどの程度決めておくか
・コミュニケーション法において、構造化されている場合、答え方を調査者が事前に決めておいて、被験者に選んでもらうというやり方でデータが収集される
・データ集計、平均値算出したりして傾向を確認できるなど、のちのデータ分析や解釈が容易
・詳細で具体的な情報について得られないため、調査の初期段階ではむしろ構造化しないやり方が採用されることが多い
・収集されたデータは集計できるよう加工するのに煩雑な手続きを要するため、全体の傾向を把握するのに不向き。しかし、構造化不可能な具体的情報まで掬い取ることができるという利点がある
・観察法における構造化は、観察される事象が事前にどの程度コード化されているか
・前もってコード化していれば、観察も容易となり、集計や分析もある程度簡単になる。しかし、あまりコード化し過ぎてしまうと、細かいデータが落ちてしまうため注意が必要
●偽装の程度
・(コミュニケーション法)調査目的について被験者に教えるかということ。教えない場合は偽装、教える場合は非偽装
・(観察法)観察者の存在を被験者に知らせるか否か。人は見られていると中々自由に行動できないもの。その為、洗剤に関して観察する場合、購買行動のダイレクト観察といった直接観察だけでなく、洗剤のストックや洗濯機周りを写真で撮影するような間接観察も有効
●管理方法
・(コミュニケーション法)データ収集家庭の処理方法。面接法(調査者が実際に被験者宅等に訪問して、本人確認を行ったうえで実施)、郵送法(被験者に調査票を郵送し、記入の上返送)、留置き法(調査員が被験者を訪問して調査票を渡して調査協力依頼、後日再度訪問して記入済み調査票回収)、電話法(項目を少数に絞ったうえ電話質問)
・(観察法)人的管理(調査者が観察記録を取る)、機械的管理(各種メディア機器利用)の2種類

■5 測定尺度とデータ分析

調査仮説に沿って必要なデータが収集されると、仮説検証を行う段階に入ります。
仮説検証では統計的手法が採用されるのが一般的ですが、収集されたデータがどのような形式によるものなのかによって、使用可能な統計手法も変化します。
当節では、初めに測定尺度に関して説明し、そのうえで基本的な統計手法について主要なものを幾つか紹介されています。
測定尺度のタイプは下記4点。名目尺度と序列尺度を合わせて質的データ、間隔尺度と比尺度を合わせて量的データと呼ぶこともあります。
●名目尺度
・性別や職業など、数字に数量的な意味を持たない
・同一性(数字が同じか否か)によって被験者の違いが比較され、平均測度として、「モード(最頻値)」がある
●序列尺度
・お気に入りのブランド順位や市場シェア順位などの、順序を示す測定尺度
・名目尺度のような識別機能に加えて、大小関係などの序列によって被験者の違いが比較される
・平均測度としては「モード」の他「メディアン(順序通り並べたときにちょうど真ん中に来る値、中央値)」が利用可能
●間隔尺度
・ブランドの対する選好、温度等。この尺度では、被験者の違いは感覚的に比較される。四則演算の内、加法減法を適用可能
・平均尺度は「ミーン(平均値)」を利用可能
●比尺度
・販売数量や重量などの、間隔尺度の特性に絶対的なゼロが含まれているものを指す。被験者の違いは絶対的比較で判断可能。四則演算全て適用可能
・モード、メディアン、ミーンに加えて、幾何平均や調和平均等の平均測度も利用可能
測定尺度は、名目<序列<間隔<比になるにつれて、適用可能な平均測度も多くなってきます。したがって、様々な手法による比較が可能となりますが、同時に回答者への負荷も高くなることが予想されるため注意が必要。
また、調査仮説を構成するコンセプトを測定尺度によってデータ化する場合、出来るだけ複数の測定尺度項目による測定が望ましいとのこと。

続いて、データ分析の方法が記述されています。
統計学的内容となります。
【データ傾向の把握】
・まず収集されたデータの全体的特性を把握するため単純集計や平均値算出を行う
・全体的な特性や傾向:円グラフ・棒グラフを用いて表現
・被験者の年収・体重等、項目の多い比尺度について、カテゴリ化してグラフ化するか、平均値や標準偏差などを算出して把握
・2つの変数の回答にどのような傾向があるか確認するには、散布図と呼ばれるものを参照することが多い

【2変数間の関連把握・帰無仮説】
・調査仮説検証には統計的手法が用いられるのが一般的であるが、統計分析においては、変数間に関連や差があることを直接的に証明不可能
・代わりに、検証したいことの反対の仮説(帰無仮説)を立てて、それがどの程度の確率で成り立つかについてテスト。そして、帰無仮説が非常に低い水準でしか成り立たないことを確認する事によって、元の調査仮説を支持する手続きを取る。この水準のことを「有意水準」と言い、通常5%採用(=有意水準5%で仮説が支持された場合、帰無仮説が確立する確率が5%未満であることを意味)

【2変数間の関連把握・カイ二乗分析と相関分析】
カイ二乗分析
・2つのコンセプトがいずれも名目尺度で測定されている場合に適用
・全体の数と特定の事象が起こる確率(周辺確率)から算出される「期待値」と呼ばれる値を基に、実際に収集されたデータである「観測値」とのずれを統計的に検証することで、2変数間に関連性があるかどうかについて推論を行う
・「2変数は独立である」という帰無仮説を立て、それを有意に棄却することで関連性を確認
相関分析
・コンセプトのいずれも間隔尺度や比尺度で測定されている場合に適用
・「相関係数(2つのコンセプト間の関連の強さを表す指標であり、-1~+1までの数値をとる)」という数値が算出
・統計的な検定の結果有意な相関が確認された場合、
●正相関(値が正の場合。一方増加、もう一方も増加)
●負相関(値が負の場合。一方増加、もう一方は減少)
●無相関(値が0の場合。両者関連無し)
・疑似相関関係(見かけ上の相関関係)に注意する必要あり
・相関関係と因果関係は別物。相関関係は2変数がともに変動している事を示しているに過ぎず、したがって明確な時間的先行性がある場合を除いて、相関関係から因果関係を推論することは慎重に行うべき

【グループ間の差の把握・t検定と分散分析】
・名目尺度と間隔尺度、比尺度との関連を把握するときに、t検定と分散分析が用いられる
・t検定:2グループ間における特定変数の平均値に差があるか否かを検証
・分散分析:グループが3以上ある場合適用
・仮に複数グループにおける平均値に差があるように見えたとしても、統計的に優位な結果が得られなければ、厳密には差があるとは言えない。グループごとの平均値だけでなく、グループにおけるデータのばらつき(分散)を考慮したうえで、グループ間に差があるかどうかをチェック
【グループ間の差の把握・回帰分析、そのほか分析】
回帰分析:ある現象を複数の要因によって予測、説明する手法
・複数の相関関係が同時に検討され、目的となる変数への影響力と言う視点から変数間の相対的な関係を把握することが目指される
・因子分析:多くの類似した測定項目から、より少数の、独立した、根底に潜むコンセプト中スルする際に適用
・クラスター分析:被験者の回答傾向から類似した回答グループを抽出
・共分散構造分析:複数変数の背後に潜む洗剤変数間の関係を明らかにする

■6 調査報告書の作成

調査仮説が検証されたら、結果を解釈してリサーチ問題、意思決定問題へと内容を提示していきます。例えば、性別で新商品に対する反応が異なることが確認された場合、性別ごとに異なるマーケティング代替案を提案するなど、検証結果を具体的な施策へと変換することが重要です。
調査報告書は、すべての結果をまとめて、最終的なマーケティング代替案の提案を行う書類です。
作成にあたり、読者の理解レベルに注意すべきであり、注意点として4点あげられています。
●明瞭性(報告書が読みやすく、理解されやすい平易な文章構成になっている事)
●一貫性(報告書が首尾一貫した首長がなされているか。論理矛盾及び飛躍が無いことが重要)
●網羅性(できる限り広い視点から、より多くの項目を熟考しているかどうか)
●妥当性(主張に説得力があるか。明瞭で一貫しており、網羅的で十分な検討が加えられているほど、高い妥当性が保持される)

■総括

結論として、問題(意思決定問題⇒リサーチ問題⇒調査仮説)に応じてマーケティングリサーチを柔軟に設計し、実施することで、効果的で説得力のあるマーケティング代替案の提示が重要、とのことでした。
意思決定問題は…マーケティングの分野以外にも、自らが抱えているあやふやな課題にも当てはまること。それをリサーチ問題にして、調査仮説を立てれば、リサーチ方法と統計分析が設計可能に。
その結果が、具体的マーケティングの立案に繋がる…。ピンズドですね。

では、また。