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クロムツの煮切り醤油漬け 樽で発酵させた甲州ブドウの滋味

クロムツは私のNoteに初登場のようだ。約1年で70種類超の魚介とワインを合わせてきたが、お魚ワインワールドは未踏の地に溢れている。精進したい。

クロムツの入荷量は少なく高級魚とされる(だから初登場か笑)。主に東京都、静岡県などが漁獲地。旬は秋から冬で、煮つけ、汁もの、焼き(塩焼き、幽庵焼き、西京漬け)、刺身、蒸し、ソテーなど幅広い調理方法で楽しまれる。今回のクロムツの煮切り醤油漬けはフィシュルの商品。

先日のNoteではフィシュルについて触れた。

九州の未利用魚を活用した調理済みパックで、クロムツは長崎産。こちらは生食用で冷凍庫から取り出して流水で約10分解凍。あっという間に食卓を彩るアペタイザーに。

私はもっぱらワインだが、コクのある純米酒や、焼酎、ビールにも合いそう。酒好きは冷凍庫に常備しておきたくなる一品。

ワインはブリのトマトマリネにも良い相性だった甲州ブドウで作られた日本の白ワインを2種。

甲州ブドウの穏やかな滋味をクロムツの甘い脂に合わせる魂胆。加えてスペインの赤ワイン。醤油の風味に相性が良さそうな黒ブドウのメンシア品種を合わせてみた。
実食の結果、特に日本ワイン、シャトー・ルミエール 光の樽発酵による甘いスパイスの香りと甲州ぶどうの滋味・旨味に、煮切り醤油の旨味、塩味との繋がりが良く、そのままクロムツの脂の甘みも包み込んだ。魚・醤油と葡萄酒の滋味・旨味の雨あられに味覚は骨抜きに。

さて、料理とそれぞれのワインの相性について。


シャトー・ルミエール, 光, 甲州 山梨, 2020, 3,658円

1885年創業。山梨県笛吹市一宮町南野呂。自社農園で栽培した甲州種を樽発酵した後、20ヵ月の樽熟成で仕上げた。
力強く濃い色調。香りには枇杷、大ぶりの和梨、カボスに微かに柚子、果皮のフェノールの複雑な香り、カモミールティーのほんのりスパイス香。
味わいにはジューシーで滋味溢れる染み込む果実味。ほろ苦さはゆるゆる続き、甲州品種とは思えないほどの非常に長くまったりとした余韻。甲州の魅力を引き出し尽くした名品。

長崎産クロムツの煮切り醤油漬けにワインを合わせる。醤油のもろみのフレーバーにワインのブドウ果皮のフレーバーが絶妙に重なりつつ、クロムツのリッチな脂を寛大に包む。 相性: ★★★★☆


丹波ワイン, てぐみワイン, 京都, 11%, 2,200円

京都の食文化の一端を担うワイン造りをミッションに掲げ、丹波で京都の食文化に根ざしたワインを造る丹波ワイン。1979年創業。大手電機メーカーの協力企業のクロイ電機が新しい事業として参入。
このワインは、”打倒!とりあえずビール”がコンセプトで最初の乾杯から楽しめるワインを目指す。山梨県産甲州を酸化防止剤無添加で醸造。
外観は白濁した肌色。キャップを回すと泡が勢いよく飛び出す。泡の元気はビール超え。
香りには白桃のシロップ漬け、白ブドウのエキス、ジンジャー。酵母の香り強く、ビスケットのニュアンス。微かに小豆も。
味わいはジューシーな果実味に穏やかな酸味、柔らかいチャーミングな甘味が広がる。余韻のほろ苦さが心地よくワインを締める。

長崎産クロムツの煮切り醤油漬けに。醤油のフレーバーにワインの滋味、酵母と濁りの旨みが調和。クロムツの弾力のある肉の奥に広がるやや力のあるリッチな脂とのシナジーは期待未満か。ケンカはなく箸は進む。相性: ★★★☆☆


ボデガス・イ・ビニュドス・ゴデリア, スペイン, カスティーリャ・イ・レオン州, ビエルソ, 2020, 14%, 1,782円
Bodegas y Vinedos Godelia, Viernes, Bierzo, Spain

山あいのビエルソで地葡萄のゴデーリョ品種、メンシア品種からワインを造る。ビエルソのメンシアはブルゴーニュのピノ・ノワールに例えられることもあるエレガントな味わい。
香りにはカシスリキュール、ブルーベリージャムの濃密な果実香。シソエキスも。アルコールと塩気で鼻が乾くよう。植物、ハーブの心地よい引き締め。よく馴染んだ樽香、
風味には力強くも明るい酸味を伴う甲高く陽気な果実味。しっとり舌に残るタンニンは持続的。ファーストアタックが強いが、奥行きや複雑さにはやや欠けるか。それでも驚異的なコストパフォーマンス。

長崎産クロムツの煮切り醤油漬けに。クロムツの脂の甘みにワインのこぎみよい酸味が調和。醤油には明るく力のあるワインのプラムのフルーツの香りが調和。口に入った直後、ファーストアタックはとても素敵。ただ、中盤から余韻にかけての重なり合いが期待未満か。相性: ★★★☆☆

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