平成バーガー焙煎ごま えびフィレオ 1本2,000円未満カヴァ・ロゼの果実味との調和
マックで5月末から始まった平成バーガーフェア。広告の謳い文句はこちら。
CMでは浜崎あゆみが1999年7月リリースしたBoys & Girlsをバックミュージックに、ギャルメイクの池田エライザが「チョベリグ」。この言葉が流行し始めた頃、私は地方に住んでいた。感度の高い(?)同級生が、ある日、チョベリバ、チョベリグと連発し始め、なんだそりゃ?と聞くも、「知らね~の、チョベリバ~」、と収拾のつかない返しを続けられのはイラっとした記憶だ。当時はインターネット検索がいまほど身近ではなく(携帯電話はパケット通信とやらが高額でもっぱらメッセージ送受信専用にしていた)、今ではすぐに調べればわかることも、知っていることだけでマウント材料になっていたのだ。情報流入の遅い地方では、知っている者はそれはもう、そびえ立つマウントになれた。
さて先日、マックでテイクアウトするから何買ってこよう?と妻に聞かれると、頭の中をBoys & Girlsがミュージックスタート。もちろん、シーフードを使った「焙煎ごま えびフィレオ」(450円)をお願いする。
パッケージはどこか昭和のインベーダーゲームやファミコンに使われそうなフォントのイラストはアナログ感の残るデジタル。ん、平成ってそんなイメージか。きっとマックのメインユーザーと思われる10代、20代から見ると(私がマックを一番利用していた年頃)、平成の印象ってこんな絵なのだろうか。顔文字は確かにメッセージのやり取りでみんなで多様していた。
さて開封してみると、ゴマダレの香りがふわりと広がる。
レタスとエビフィレオの間にたっぷりとゴマダレソースが塗られている。通常のエビフィレオにはオーロラソースが塗られているのでここが一番大きな違い。オーロラソースは、マヨネーズとケチャップを混ぜ合わせたオレンジ色のソース。マクドナルドの通常のエビフィレオとワインペアリングは以下のNoteに。
”焙煎ごま えびフィレオ”はエビの食感がプリプリなのが嬉しい。ファーストフードながら侮れない。一方で食感の存在感の割にはエビの風味は思いのほか穏やか。それに合わせてか、ゴマダレも香りの強さから想像していたよりもおとなしい。ゴマとレタスの香りが重なり、どこか中華料理な香りが鼻腔を抜ける。やはりマックはふわっと全体でリズムを奏でるタイプで、中身の個性やソースは全体調和の構成要因。バランス感は良いがやや刺激やアクセントには欠けるか。バーガーキングのフィッシュバーガーは異なる路線を走り、フィッシュ、ソースに強いアクセントあり。それをイタリア製缶入りフリザンテに合わせたときの以下のNoteに。
今回合わせたスパークリングワイン、スペインのカヴァと相性良し。コーラの泡の刺激のほうがシンクロ率高いのかも知れないが、カヴァもなかなか良い。ほかにも南仏のロゼ(タヴェル地区)、そして珍しいヨルダンの赤ワイン(テンプラニーリョ品種)に合わせてみた。
先ずはカヴァに。
ダミア, カヴァ, ブルット・ロゼ NV アルティガ フステル, 1,793円
Damia Cava Brut Rose Artiga Fustel, NV, 11.5%
ワインについては先日のNoteに。
香りには青果のチェリー、ラズベリーのチャーミングな果実にスパイシーなタッチ。果実味を豊かに感じるも一貫してドライでフードフレンドリー。コスパ最強のカヴァ。トスカニーで購入。
開栓して数日が経過し炭酸は緩めに。凝縮感軽めのこぎみよい果実味とドライなフィニッシュが、バーガーのエビ、ゴマダレの緩いリズムを心地よく引き締めつつ調和。ワインの瓶内二次発酵の奥行きのある香りはバンズ、エビフィレオの衣との繋がりも良し。相性: ★★★★☆
続いて南仏のロゼに。
ギガル, タヴェル・ロゼ, フランス, 2020, 14%, 2,248円
E.Guigal, Tavel Rose, France, 2020, 14%
ワインについては先日のNoteに。
グルナッシュ品種主体、果皮をたっぷりと浸漬して造るので濃い色調。ハリのあるチェリー香にフラワリーなニュアンス。果実味はやや穏やか、ほろ苦さとしっとりとしたタンニン。フェリシティで購入。
焙煎ごま えびフィレオに。ワインの酒質が強い。タンニンの残り方や少し粘性を感じる質感に、バーガーのふわっと重なり奏でるリズムではバランスしないか。ケンカはしないが。もう少しバーガーの具、ソースにパワーがあるとバランスしそう。相性: ★★★☆☆
続いて神秘的なヨルダンワインに。
ハダド・エステート・アンド・ヴィンヤーズ, ジョーダン・リバー, テンプラニーリョ, レゼルヴ, 2014, 13.5%
Haddad Estates & Vineyards, Jordan River, Tempranillo, Reserve, 2014, 13.5%
ヨルダンも他の中東の国々と同じく、ブドウ栽培とワイン醸造には長い歴史があり、ワイン造りは2000年以上前から行われていた。現在、ヨルダンでは2つのワイナリーのみでワインが生産されている(Jordan River、Saint Georgeの2ブランド)。生産量は年間約100万本、ほとんどが国内消費向け。日本では流通していないので、ヨルダンに行く方にお土産としてお願いするしかない。白ワインにはどこかフラワリーなフレーバーが感じられ神秘的。一度飲むと虜になってしまう。
香りにはプルーンなどのドライフルーツ、黄色い花のフラワリーなフレーバーも。微かにスモーキーなニュアンス、熟成による枯れ木やなめし革もあるが全体に軽快で上品な香り。
味わいは9年の熟成を経て落ち着きほどけた果実味が穏やかにあたる。穏やかな酸味、中盤から舌に吸いつくタンニン、ポートのようなほろ苦さと甘やかさをまとう。
焙煎ごま えびフィレオに。深遠な熟成感にたちまちに吸い込まれて跡形もなくなるバーガー。唯一の注目点は、ソースのゴマの香ばしいタッチに、ワインの樽香と熟成感の調和。ただやはり全体としてバランスはしない。相性: ★★★☆☆
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