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じゃ、バーガーキングのフィッシュバーガーにワインはどうなの 缶入りワイン219円+バーガー400円=極上ペアリング619円

マックのフィレオフィッシュに3種のワインを合わせてみた。まずまずだったが、期待を超える相性とまではいかなかった。

これで投げ出してしまっては発見がない、ということでお題の通り。じゃ、バーガーキングのフィッシュバーガーにワインはどうなの。次なるターゲットをバーガーキングから調達する。メニューには文字通り “フィッシュバーガー”(400円)。突如としてハンバーガーチェーン通いを始めた私に、妻と子どもの好奇の視線…。

きっと金太郎飴のようにどこもおなじようなフィッシュバーガーなのにわざわざ…、と自分の執念にも少々嫌気がさした。が、これがなかなか面白い食べ比べに。

バンズにゴマ。これもマックとの小さな違い

同じようで同じでない。バンズ、タルタルソース、フライドフィッシュ、全てにおいて違いがハッキリ。結論から言うと、私はバーガーキングのフィッシュバーガーが好き(個人的趣向)。ひと口かじると、たっぷりと塗られたタルタルソースから、パワフルなマヨネーズとキュッと酸味の効いたピクルスが飛び込んでくる。あ、これではおサカナさんが負けちゃう…、という心配をよそに、ソースに負けずに這い上がってくるたくましき白身のスケソウダラ!口内がタルタルソースとスケソウダラのパワーのぶつかり合いで拮抗しているところに、間髪を入れずワインをグビリ。マックのフィレオフィッシュのゆるっとふわっとジャンキーなリズムも嫌いではないが、酒に合わせるにはメリハリの効いた味わいがはまりやすい。

今回はイタリアの缶入りスパークリングワイン(219円)、シチリアの白ワイン(シャルドネ品種)、長野県の白ワイン(ソーヴィニョン・ブラン品種)の3種を合わせてみた。数ヶ月前にOKストアで購入して冷蔵庫の中に放置していた缶入りワインが特筆の素晴らしい仕事ぶり。チャーミングな果実味、甘みが感じられるスタイルで、タルタルソースとの調和素晴らしく、そのままフィッシュフライにも絶妙にシンクロ。

ちなみに今回の缶入りワインはフリザンテと呼ばれるスパークリングワインに分類される。フリザンテはガスが1~2.5気圧と軽め、アルコール度数は7%以上と軽快(今回のものは10.5%)。ランチにもピッタリ。同じ泡入りのワインでも最高峰のシャンパンは瓶内二次発酵(一度スティルワインを作ってから瓶に詰め、酵母と糖分を追加して二度目の発酵を要する。フリザンテは瓶に詰めずにタンクで一気に二次発酵するか、炭酸ガス注入する)、アルコール度数11%以上、熟成期間15ヶ月以上、たいていガスは5~6気圧と格が違う。

新たな好相性の発見に、次はモスバーガーかフレッシュネスバーガーかと、探求心に火がついてしまった。それはまた後日(バーガーインターバルがあまりに短くなると、ジャンキーオジサンになってしまったかといよいよ家族が心配しそうだw)。缶入りのフリツァンテを持っていけば、テイクアウト直後の出来立てフィッシュバーガーとの極上ペアリングを楽しめよう(迷惑にならない場所で)。

さて、フィッシュバーガーとそれぞれのワインの相性について詳しく。


ノヴァワイン, スパークリング・ホワイト・ワイン, ヴィーノ・フリザンテ, 219円(250ml)
Nova Wine, Sparkling White Wine, Vino Frizzate, Italy, 10.5%

イタリアを代表する生産者協同組合『テッレ・チェヴィコ社』。ローマ時代よりワイン造りが盛んなエミリア・ロマーニャ地域の複数の生産者協同組合を取りまとめて1963年に設立。BacardiやMartini、Campari等の大手メーカーのバルクワインサプライヤーでもある。
微かにグリーンがかった淡めの色調。開栓して約15分で外観上の泡の立ち上がりはほぼ消失。
香りには控えめにグレープフルーツ、ライム、どちらかというと柑橘果皮のビターなフレーバーをはっきり。ほしわらやヴェジエタルな香りも。フレッシュでシンプル。
味わい。プチプチと心地よい泡の刺激、凝縮感は軽快で柔らかい甘みあり、チャーミングさがふわり。酸味は穏やか、余韻にほろ苦さも軽快に残りドライでフードフレンドリー。

フィッシュバーガーにワインを合わせる。タルタルソースを構成するマヨネーズは濃いめ、ピクルスのみじん切りは酸味はっきり。そこに負けない白身のスケソウダラの逞しい風味が絶妙にバランス、メリハリの効いたソースが魚の風味を際立てる。その余韻にワインの穏やかな果実の凝縮感、柑橘のフレーバーがタルタルソースに完璧に調和。そこからソースが際立てた白身魚のカラッと揚がってさっぱりとした旨味にシンクロ。フィッシュバーガーにはフリザンテだった!相性: ★★★★☆


クズマーノ, ヤレ, シャルドネ, シチリア, 2020, 3,069円
Cusumano, Jale, Chardonnay, Sicilia

祖父の代からバルクワインを生産していたクズマーノ家、2000年に現オーナーの兄弟が自社でボトル詰めを開始。海抜700mの畑「フィクッツァ」から収穫されるシャルドネ。"ヤレ"とは、畑沿いの白っぽい小道の呼び名。畑の周りの森に吹く風がブドウにアロマをもたらす。手摘みで収穫、低温でスキン・コンタクト。225Lのバリックでアルコール発酵。そのまま澱と共に6ヶ月間寝かせて瓶詰め。
琥珀がかった力強い色調。
香りには焼きリンゴ、リンゴジャム、コーンや樽由来のバニラの香りの厚み。ホシワラ、アカシアのニュアンスに加え、潮の香りはしっかりと産地の個性を表現。
味わいは瑞々しく重くない。ひとひらの蜜の高貴な甘美なニュアンス。穏やかながらワインを心地よく引き締める酸味。ほろ苦さやミネラルのニュアンスに富む奥行きある余韻。

フィッシュバーガーに。開栓から数日して酸味が穏やかになりまったりとしたワインは、白身魚の軽い風味にまさってしまうが、ケンカなく包み込む。マヨネーズとピクルスの酸味と、ワインのふくよかな完熟果実味が素晴らしい。ワインのほろ苦さ、ミネラルのニュアンスは白身魚の余韻を引き立てる。四つ星か迷う。相性: ★★★☆☆


ベリービーズワイナリー, Zephyr, Sauvignon Blanc, 長野県塩尻市(ブドウは安曇野産), 2020, 12%, 2,420円

ツンとしたネエサマがツンとしたソーヴィニョン・ブランの個性を表現

日本のおへそ(belly)に位置する塩尻から、輝くビーズの輪のように、ぶどうやワインを介して人をつなげていきたい、との思いが込められたベリービーズワイナリー。2018年創業。エチケットがスタイリッシュでおしゃれ。品種ごとにイラストを使い分ける。実際のお味も素晴らしいクオリティのソーヴィニョン・ブラン。
香りにはカボス、スダチ、ライム。柑橘の果皮。穏やかで繊細、微かに白桃や梨。セルフィーユ系の明瞭なハーブ香。フレッシュでピュア、コンパクトに涼やかに品種個性を凝縮。
風味はみずみずしい口当たり、明瞭な酸味、前半からビターネスが広がり一貫してドライでフレッシュ。前菜の葉物系のサラダメニューにぴったりのスターターワイン。

フィッシュバーガーに。ソーヴィニョンのハーブ香がピクルスに完璧に調和。ワインの控えめな風味は白身魚の強すぎない風味にちょうど良い。が、盛り上がるまでには至らない。相性: ★★★☆☆

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