もちもち/日常で使えるディスカッション講座

日常で使える(かもしれない)ディベート講座です。 基本的にはアカデミックディベートを想…

もちもち/日常で使えるディスカッション講座

日常で使える(かもしれない)ディベート講座です。 基本的にはアカデミックディベートを想定しています。 ※ディスカッション講座も始めました。

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最近の記事

この一週間でとても多くの方に記事を読んでいただいているようでたいへん嬉しく思います。どんなことが知りたいかとか、ご意見などありましたらぜひお寄せください!

    • 【第7回】デメリットを確認する

      プランからメリットを導き出せることを確認したら、そこでひとまず「プランをとる」という結論を出す、というところまで前回お話しました。 たいてい、時間がなくなってしまってここで終わっちゃうことが多いのですが、実際にはまだまだ続きます。次は、プランをとることによって発生するデメリットを確認しましょう。そのメリットとデメリットを比較し、メリットの方が大きいとわかって初めて、「ひとまず」ではなく「たしかに」プランをとるという結論を置くことができますね。 まず、プランを発案した人以外

      • 【第6回】プランから得られるメリットを確認する

        これまでの第1~5回では、ディスカッションのうち個別の場面における振舞い方を見てきました。ちょっと全体的な流れをおさらいしてみましょう。 ・ディスカッションのテーマ(議題)を決める ・発表者(最初の意見を提示する人)を決める ・ゴールと手順を決める ・発表者のプランの説明を聞く ・各ポイントにおいて、細かい手順を再設定しながら、質問と反論を受け付ける といった感じですね。この「各ポイント」って何?という話です。発表者のプランは ・現状の確認 ・現状により引き起こされる被

        • 【第5回】質問と反論の出し方

          これは日本人あるあるかもしれませんが、質問に対する過剰な恐怖心があるように見受けられます。議論の場以外でも、ちょっと「それどういう意味?」なんて聞こうものなら、即座に反論しているとみなされ過剰な防衛反応を見せられたり、そんなことありませんか? 単純にその意味が知りたかっただけなのに、なんでここまで突っかかられないといけないのか……それは反論されたと思い込んで、その反論にたいしてさらに反論しようとするからです。 さらにどうしてそうなるかというと「質問」と「反論」の見分けがつ

        この一週間でとても多くの方に記事を読んでいただいているようでたいへん嬉しく思います。どんなことが知りたいかとか、ご意見などありましたらぜひお寄せください!

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        • ディスカッション的考え方講座
          7本
        • ディベート的考え方講座【第1回~第10回】
          10本

        記事

          【第4回】あいまいな語句を確認する

          ゴールと手順を決めたら、手順にそって早速議論を開始しましょう。発案者のプランの内容を一つずつ確認して、そのプランが本当にメリットを生み出せるかどうかを検討します。 その際、ディスカッションではくどいほど行われるのが、あいまいな語句の確認です。例えば、発案者の提示したプランの内容が、 現状「駅に点字ブロックが少ない」 問題「目の見えない人が、線路に転落する」 プラン「点字ブロックをつけよう」 メリット「目の見えない人が、線路から転落しない」 であると仮定します。ずいぶん単

          【第4回】あいまいな語句を確認する

          子育ては車のメンテナンスと同じか? 「喩え話」の落とし穴

          議論をしているときに、つい喩え話が多くなりがちな人っていませんか?何を隠そう、私がそうです。しかし喩え話、つまり比喩表現は、パッと見でなんとなくわかりやすそうにみえても、議論をより複雑にしてしまうという落とし穴があります。今日はそんな話です。 最初に、あえて「喩え」と書いた理由を説明します。「例え」と使い分けたいからです。辞書的な意味はともかく、本記事では、「似たもので表現する」ことと「より具体的な説明をする」ことを分けて考えて欲しいのです。 ここからは「喩え」は「野球と

          子育ては車のメンテナンスと同じか? 「喩え話」の落とし穴

          【第3回】ゴールと手順を決める

          発表者が決まり、現状~メリットを得るまでの過程の説明が終われば、次に行うべきは「ゴール」と「手順」を決めることです。 ゴールを決めるゴールとは「何が決まったらこのディスカッションは終わるのか」ということです。だいたいの企業や学校での会議がぐだぐたと長引くのは、このゴールが決まっていないことが原因です。 「企画を通すかどうかを決める」とか「今月の目標数値を決める」とか、ゴールを達成できたかどうかが一目でわかるものを設定しましょう。あまりよくない例としては「みんなの意見を集め

          【第2回】最初に発表者を決める

          さて、全員がテーブルに着いたらまずやることは、発表者の決定です。与えられたキーワードをもとに、議論題(政策)と、そのメリットを説明する人を指します。 だいたいは、希望者を挙手で募ります。誰もやりたがらなかったら推薦になりますので、議題は必ず一案は用意しておきましょう。その場で作るとなると焦りますからね。 というわけで、今回は発表者になったつもりで議題の提案をしてみましょう。仮にテーマを「教育」と設定します。発表者が議題を組み立てるのに考えるべきことは以下の通り。 現状あ

          【第1回】ディスカッションとは何ぞや

          ディスカッションってどういうもの?ここでは、いわゆる競技ディスカッションにて行われる論理的な思考の方法や議論の手順を紹介しつつ、それが日常生活にどう活かせるのかについてご紹介いたします。 これまでのディベートの話を踏まえて、ディベートとは違ってディスカッションはこうです~というようなことを書きますので、未読の方はディベートのほうから読んでもらうとわかりやすいかと思います。 そもそも競技ディスカッションとは、ディベートと同様「日本政府は○○すべきであるか否か」をテーマに据え

          【第1回】ディスカッションとは何ぞや

          ディスカッションについて書きます

          ディベートの講座が一段落したので、ディスカッションに移ります。ディベートの実際の試合のやり方も書いてみようと思ったのですが、なにせ実際に立論や反論を考えるとなると時間がかかるので、準備している間にディスカッションの解説さを挟もうかと。 また、先日ディベートの代案についてお話ししたとき「実際の生活では代案を出したほうが良いのではないか」というご意見をいただきました。そこで色々考えて、実生活ではそもそもディベート的シチュエーションは非常に限られており、ディスカッションの考え方の

          ディスカッションについて書きます

          ディベートは準備が9割

          アカデミックディベートは、パーラメンタリーディベートとは違って、準備が9割です、というお話です。 ディベートって、相手の繰り出す反論をいなしたり、それにあった追加の反論をしたりとかなり臨機応変に対応しているようにも見えます。 しかし、ディベートの大会に出てかっこよくふるまうためには、実は鬼のような準備が必要なのです。では、どのような準備を行っているのでしょうか。 論題の理解まず初めにやることは、論題の理解です。NAFAなどの機関から発表された論題について、単語どのような

          論理性の三要素:トゥールミンモデル

          そもそも、論理的って何?って話です。 三段論法も非常によく取り上げられますが、ここでは「トゥールミンモデル」について解説します。 論理性というものは3つの要素で構成されます。 1.主張(結論)「AはBである」 2.理由「なぜならCだからだ」 3.データ「○○研究によるとDである」 というような構造です。 主張を補強する2つの要素、理由とデータがあると考えてください。主張は、自分がもっとも言いたいことを充てます。できればある程度具体的に、こうするべきとかこうしたいとかがあ

          論理性の三要素:トゥールミンモデル

          ディスカッションよりディベートのほうが好き

          私は、競技ディスカッションと競技ディベートの両方をそれなりに経験したことがあります。 この二つを比べると、おそらく日常生活でのお役立ち度としてディスカッションのほうがうえです。しかし、私はディベートのほうが好きでした。それはなぜか? 理由は3つです。 1.話す時間が決められているディベートでは一人の人間が話す時間が決まっており、かつ順番に回ってきます。話せないことはないし、話しすぎることもありません。話している間に人に邪魔されることもありません。快適です。 一方ディスカ

          ディスカッションよりディベートのほうが好き

          【第10回】トピカリティー

          さて、皆様お待ちかねの(?)トピカリティーです。 トピカリティー、topicalityとは辞書的な意味では ”話題性、時事性、時事的話題(にすぎないもの)”(weblio英和辞典) とあります。しかしこうして日本語に直してもあまり釈然としませんので、あえて今回は「トピカリティー」とカタカナで進めます。 トピカリティーは否定側から出される議論であり、その内容は「論題の再定義」です。 前回の代案の話ですこし登場しましたが、例えば論題が「Aさんは大学へ行くべき」だったとしま

          ディベートで得た論理性とその挫折について

          ちょっと経験談を挟ませてください。皆さんに向けて「日常で役立つディベート講座」などと銘打っておきながら、それとは真逆のことをお話します。 ディベートで論理的思考能力を磨いて、日常生活で活かそうなどと、軽々しく申し上げましたが、ここには大きな誤りがあります。 もちろん、ディベートで得た考え方が実生活で全く無駄だと思っているわけではありません。ロジカルシンキングといえば聞こえはいいですが、もう少し一般的な物の考え方、思考の組み立て方、プレゼンの仕方としては大いに役立っていると

          ディベートで得た論理性とその挫折について

          【第9回】否定側から代案を出す

          つい先日、某メンタリストさんが「批判ばかりして代案を出さないやつはダメ」的なことをおっしゃっていましたが、理論上では、否定側は論題を否定できればそれで充分です。代案はいりません。 代案を出さなければ問題(論題)は解決しないじゃないかと思われるかもしれませんが、プランをとることによるメリットより、デメリットが上回るのであれば、そのプランにストップをかけるのが最優先です。プランによるデメリットが発生しないようにしたこと、これが否定側の功績です。 とはいえ、否定だけじゃ勝ちにく