【第6回】プランから得られるメリットを確認する

これまでの第1~5回では、ディスカッションのうち個別の場面における振舞い方を見てきました。ちょっと全体的な流れをおさらいしてみましょう。

・ディスカッションのテーマ(議題)を決める
・発表者(最初の意見を提示する人)を決める
・ゴールと手順を決める
・発表者のプランの説明を聞く
・各ポイントにおいて、細かい手順を再設定しながら、質問と反論を受け付ける

といった感じですね。この「各ポイント」って何?という話です。発表者のプランは

・現状の確認
・現状により引き起こされる被害の確認
・プランを提示
・プランによって被害が取り除かれる(メリット)の確認

という順で進みます。

この各ポイントにおいて、あいまいな語句を確認したり、質問や反論を受け付けたりするということですね。

では実際に簡単な例でやってみましょう。ちょうどコロナウイルスの蔓延が話題になっているので、「学校教育」がテーマだった場合を取り上げてみたいと思います。

「学校教育」というテーマを基に、発表者を募ります。複数人の希望者がいた場合、それぞれのプランの概要を聞いて、一人に絞ります。

ここではとある発表者の「コロナウイルスの蔓延を防ぐため、学校を一年間閉鎖しよう」というプランを検討してみましょう(ちょっとテーマが学校教育というより公衆衛生な感じもしますが)。

現状「新型コロナウイルスが蔓延している」
被害「生徒が肺炎になり、死亡してしまう」
プラン「学校を一年間閉鎖しよう」
メリット「生徒が肺炎にかからず、死亡しない」

という概要を持っています。ここで、まず確認すべきことは、あいまい語句の定義です。「新型コロナウイルス」とは?「肺炎」とは? それぞれ実際どのような定義がなされ、どのように死亡リスクが導かれるのかを確かめましょう。

次に反論です。それぞれ考えられる反論を挙げると、
現状では「コロナウイルスは蔓延しているとは言えない」
被害では「新型コロナウイルスにかかっても肺炎は引き起こされない」とか「肺炎が引き起こされても死亡には至らない」など。
プランでは「一年間の閉鎖は不可能である」とか「一年間の閉鎖では効力がない」

などの反論が考えられます。これらを一つ一つ議論し、プランを守っていくことで、メリットが得られるという結論を導くことができます。

そうして、具体的な内容としては、

対象者:生徒
内容:生命
人数:少なくとも一人(これについては第8回で詳しく説明する予定です)

のメリットが確認できましたので、このプランを採択しましょう……ということに「ひとまず」なります。

この「ひとまず」というところですが、ディベート講座をお読みいただいたかたは何となく想像がつくかもしれませんが、このあとに「プランをとったことによるデメリットとの比較」が待ち受けています。前途多難ですね。

しかしディスカッションには制限時間があり、往々にしてこのメリットを確認したあたりで3時間が尽きることが多いです。なので、「ひとまず時間内で話し合えたことによる結論としてプランを採択する」という一時的な結論を設けることで、「何にも決まらなかったわー」という状況を回避します。

形式的なものではありますが、重要なことですので、覚えておいてくださいね。なぜなら、なんにも結論の出ないディスカッションは0点だからです!一時的結論でもいいから何かを結論づけて、評価をもらう必要があるのですね。

では次回はデメリットの確認をしてみましょう。


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